MDアンダーソン サイコソーシャル・オンコロジー

いまのケアを、一歩深める
世界的に名高いM.D. Anderson Cancer Centerにおける膨大なエビデンスと臨床経験をもとにまとめられた、緩和ケアに関する手引。がん患者やその家族が抱える苦痛、身体的・精神的・社会的・スピリチュアルな問題を包括的に取り上げ、どのように考えていくべきか、対処すべきかを具体的に解説。緩和ケアチームの一員として患者を支えるうえでのベースとなる知識を学べる。(185)
¥8,580 税込
原著タイトル
MD Anderson Manual of Psychosocial Oncology
原著者
James D. Duffy・Alan D. Valentine
監訳:大中俊宏 東京医療センター緩和ケア内科医長 岸本寛史 高槻赤十字病院緩和ケア診療科部長
ISBN
978-4-89592-721-5
判型/ページ数/図・写真
B5 頁424 図15
刊行年月
2013/2/1
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第Ⅰ部 苦痛とがん
第1章 臨床におけるサイコオンコロジー評価
第2章 ストレスとがん
第3章 がん患者のレジリエンス
第4章 苦痛の臨床評価

第Ⅱ部 精神症状の評価と対応
第5章 気分障害
第6章 がん患者における不安
第7章 せん妄
第8章 ニコチン依存
第9章 物質乱用とがん
第10章 がんとセクシュアリティ
第11章 がん患者の倦怠感
第12章 精神医学,睡眠,がんの接点
第13章 痛みに対する心理社会的アプローチ
第14章 がん,およびがん治療の神経行動学的副作用

第Ⅲ部 コミュニケーション
第15章 患者や家族とのコミュニケーションを行う

第IV部 家族と文化
第16章 がんに関連した危機的状況に直面した介護者へのサポート:一つのモデル
第17章 スピリチュアルな側面,宗教的な側面からみたがんとその苦しみ

第V部 特定の患者群
第18章 子供とがん
第19章 がんと高齢者
第20章 サバイバーシップ
第21章 ボディ・イメージと容姿の変貌
第22章 理学療法とリハビリテーション

第VI部 統合医療
第23章 がんのケアと統合医療

第VII部 悲嘆と終末期の問題
第24章 悲嘆とは
第25章 緩和ケアをとりまく現状

第VIII部 がん医療従事者
第26章 医療者のストレス

監訳者のことば
 本書はDuffy JDとValentine ADの編集によるMD Anderson Manual of Psychosocial Oncology(McGraw-Hill,2011)の全訳である。当時四国がんセンターにおられた大中俊宏先生から本書の監訳を誘っていただいたのは2011年10月11日のことであった。大中先生とは以前、Greenhalghらの編集による『ナラティブ・ベイスト・メディスン』(原著はBMJより1998年に、邦訳は金剛出版より2001年に出版)の翻訳をご一緒させていただいた時以来のご縁で、その後もご一緒させていただく機会が時々あり、今回のお誘いもとても嬉しく感じたので、早速、出版社から原著を送っていただいて目を通した。そして、ぜひ紹介したいと感じた。多数の執筆者が寄稿しているので、あまり実のない形式的な記述に終始しているような章から、医師や患者の苦悩や思いが行間に滲み出ているような渾身の章まで、ある程度ばらつきがあるのは仕方のないことであるが、全体としては、がん医療における心理社会的な側面について考えるうえで、有用な知見が満載である。特に筆者の印象に残ったのは、まず、患者理解の大切な柱の一つとして、精神分析の知見がある程度共有されていると感じられたことが挙げられる。第1章で臨床的なサイコオンコロジー評価について述べられているが、ここではDSMの診断基準を横目で見ながら、患者の苦痛に焦点を当て、病態形成の影響を見ておくと同時に、こちらの聞き方や場のセッティングにも目を配るという、非常にバランスのとれた見方がされている。さらに患者のコーピングスタイルや自我防衛の在り方を理解しておくことで、患者が示す症状を、単に疾病分類の手掛かりとして見るのではなく、患者の理解へとつなげることが可能になる。このように精神分析の知が生かされていることに、筆者は強く共感を覚えた。第2章では、がんの進展がストレスと関連することを示す研究が多数あり、分子レベルでも理解が可能になりつつあることが示されている。第16章では、介護者へのサポートについて、介護者の視点からも論述されていて、はっとさせられることも少なくなかった。統合医療について論じている第23章は、多くの知見が示されていて参考になったが、相対危険度の減少を生存率の上昇と誤って解釈して紹介するなど、論文の読みが甘いと思われる個所も散見された。これは訳者の藤井光恵先生が、引用論文に当たって一つ一つ確認されて明らかとなったことであり、藤井先生の真摯な姿勢に大いに学ばせていただいた。
 翻訳作業の間に、上記の点以外にも、単なる誤植から、修正が必要な誤解と思われる箇所に至るまで、多くの確認を要する事項が出たため、最初は出版社を通じて、後には編者のDuffy教授に電子メールを介して直接、質問をしたが、残念ながら、本書の出版までに回答を頂けなかったので、明らかな誤植は訂正し、確認を要する箇所については訳注として本文中に指摘をしておいた。
 最後に、MEDSi編集部の水野資子さんには大変お世話になった。筆者としては、もう一人の監訳者として名前を連ねてもらいたいほどである。訳文の一つ一つに丁寧に目を通して、さまざまな指摘をしていただき、プロだなあと感じ入ることも少なくなかった。心から感謝申し上げる。
本書ががん医療の現場で活用されることを心から願うものである。
平成24年12月26日
岸本寛史

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