Part 1 生命科学系研究室の新人が絶対に知っておくべき5 つのツール
1章 PubMed で論文を効率的に検索する
2章 PowerPoint で欲しいイラストを描く
3章 Google のサービスを活用する
4章 BLAST で遺伝子の配列類似性検索をする
5章 PCR プライマーを設計する- Primer3Plus とPrimer-BLAST
Part 2 「 仮説・実験・解析・出版」の研究サイクルを加速させる便利なツール
6 章 ImageJ で画像ファイルを操作する
7 章 ゲノムブラウザを使って遺伝子を知る─ UCSC Genome Browser など
8 章 英語表現や略語をすばやく検索する─ inMeXes とAllie
9 章 最新知見を日本語で知る・読む・学ぶ─新着論文レビューと領域融合レビュー
Part 3 生命科学系データ解析の現場で,押さえておきたい「鉄板」ツール
10 章 MEGAで系統樹を作成する
11 章 RefEx とChip-Atlas で公共の遺伝子発現データを快適に検索する
12 章 Metascapeでエンリッチメント解析をして自分の持つ遺伝子リストを解釈する
Part 4 ビッグデータ時代の疾患ゲノム解析で使いこなしたいデータベース
13 章 TCGAで各がん種の公開データのダウンロードや解析を行う
14 章 COSMIC でがん遺伝子の体細胞変異を調べる
15 章 GWAS Catalog で形質とバリアントの関連について検索する
16 章 ClinVar で疾患に関連するバリアントを検索する
17 章 gnomAD でヒトのエキソームやゲノムのデータから変異を探す
18 章 GTEx Portal でヒトの各組織での遺伝子発現量や影響するeQTL を調べる
付録 動画作製の舞台裏
生命科学分野では,1990年代後半から急速に進展したゲノムプロジェクトやオミックスプロジェクトにより大量のデータが産み出されるようになり,その研究成果として,世界中で数千をこえる多種多様なデータベースが公開されている。また,それらのデータベース上にある情報を検索し,取捨選択して利用するためのウェブツールも数多く作成され,公開されている。データベースやウェブツールを上手に使いこなすことは効率的な研究に不可欠であり,その活用スキルは研究者に必要な素養の1つになっている。
その一方で,データベースやウェブツールの多さや複雑さのために,初学者にとっては,自分の研究に役立つ「データベースがあるかわからない,見つけられない」場合や,仮に見つけられたとしても「使い方がよくわからない」ことも多い。ある一定の研究歴を積んだ研究者であっても,「それらを適切に組み合わせて,効率的で効果的なデータ解析をしたい(がやり方がわからない)」と考える方が多いのではないだろうか。また,データ解析の専門家でなくても,研究をまとめ上げる際には,データベースやウェブツールを使いこなすことが求められる時代である。本書は,そうした人たちのために,データベースやウェブツールの使い方のポイントを図解し,わかりやすく解説した本である。
監修者が所属するライフサイエンス統合データベースセンター(DBCLS)では,データベースやウェブツールを日々利用する生命科学系研究者にその価値を届けるため,サービスやコンテンツの充実を図っている。その代表的なコンテンツのひとつである統合TVは,生命科学分野の有用なデータベースやツールの使い方を動画で紹介するウェブサイトである。本書でも,操作の具体的な詳細を動画でも確認できるように,統合TVの動画へのリンクを示した。
本書により,生命科学分野でどういったデータベースやウェブツールが「定番」としてよく使われているのかがわかり,その使い方や研究での活用の仕方もわかる。情報系研究者はもちろんのこと,実験系研究者を読者対象と想定し,仮説立案から始まり,実験計画・検証,データ解析,そして論文執筆という研究サイクルを加速する上で役立つものとなるよう工夫した。制作にあたっては、ラボに入りたての学部学生や修士課程の大学院生にもわかりやすい本となるよう心がけた。
なお,本書の構成を考える際には,研究サイクルを想定して各章の内容を設定したが,章の数は18を数えた。武士が習得すべき武技の総称として「武芸十八般」という言葉もあるが,本書で紹介するさまざまなデータベースやウェブツールの使い方に習熟し,研究者にとっての「十八般」を会得してほしい。また,それらを自分の「十八番(おはこ)」と自負できるほど究めることができれば,研究サイクルの加速化・効率化は間違いないだろう。生命科学研究に携わる多くの人にとって,本書がその一助となれば,監修者として望外の喜びである。
2020-02-28
【正誤表】下記の箇所に誤りがございました。ここに訂正するとともに, 読者の方々に深くお詫びいたします。
152ページの右段 下から17行目
(誤)GenBank 31
(正)GenBank 30
2019-02-27
【正誤表】下記の箇所に誤りがございました。ここに訂正するとともに, 読者の方々に深くお詫びいたします。
14ページの2行目の『パワーポイントの図形描画機能で科学イラストを作る・2 ~「図形の結合」「グラデーション」編~』のURLを追加
URL:https://doi.org/10.7875/togotv.2018.100
31,52,67,81ページのコラムタイトル
(誤) ツールできることを動画で見る
(正) ツールでできることを動画で見る
47ページの右段の11行目
(誤) カーソルがj十字から
(正) カーソルが十字から
75ページの右段9行目
(誤) ②をクリックして「MEGAX」をダウンロードする。
(正) ②をクリックして「MEGA7(32-bit)」をダウンロードする。
75ページの右段12行目
(誤) (本書執筆時はMEGA7)
(正) 〔本書執筆時はMacOSにてMEGA7(32-bit)がデフォルトで表示される。Windowsの場合はMEGAX(64-bit)である〕
80ページの右段12行目のサンプルデータのURL
(誤)http://doi.org/10.7875/togotv.2018.093
(正)https://dbarchive.biosciencedbc.jp/data/togotv/movie/sample/180403_test-fasta.txt
80ページの③の画面のURL
(誤)http://tree.bio.ed.ac.uk/software/figtree/software.html
(正)http://tree.bio.ed.ac.uk/software/figtree/
93ページの右段2行目,および98ページのコラム「このツールを動画で確認」の統合TVタイトル
(誤) metascapeでヒト,マウス,ラットのエンリッチメント解析を行う
(正) Metascapeを使って,遺伝子リストの生物学的解釈をする
151ページの下から6行目のURL
(誤)http://ngs5.org/index.html
(正)http://www.ngs-field.org/top-page/meeting5/
2018-12-10
【正誤表】下記の箇所に誤りがございました。ここに訂正するとともに, 読者の方々に深くお詫びいたします。
iiページ 執筆者一覧
(誤)坂本卓磨 東京農工大学大学院 連合農学研究科 動物生化学(昆虫学)研究室
(正)坂本卓磨 東京農工大学大学院 連合農学研究科 動物生化学(昆虫系)研究室
101ページ 上から1行目
(誤)まだ
(正)また
149ページ 上から7行目
(誤)全公開動画の3分の1強
(正)全公開動画の3分の2強