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取材レポート「輪読会のすすめ」慶應SFC青山研 その1

2014年9月04日 更新

カンデルのすすめ
みんなで勉強するのって、楽しんですねぇ。

慶應義塾大学の湘南藤沢キャンパス(SFC)にある環境情報学部。『カンデル神経科学』の輪読会が行われていると聞き、のぞいてきました。ヒトの脳のメカニズムを解析している、青山敦研究室の学生のみなさんが中心になって自主的に開いている輪読会です。

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緑に囲まれたキャンパス内の一室で、7〜8名の学生が集まって準備をしているところでした。「取材の方がいらっしゃるというので、今日は特別に広い会議室を借りました」。この輪読会の呼びかけ人の上野太郎さん(2年生)が、笑顔で私たちを迎えてくれました。

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さて準備も整い、輪読会の始まりです。今回の参加者は、2年生4名、3年生2名、4年生2名の総勢8名。大学院入試で忙しい時期のため、4年生の参加がいつもよりは少ないとのことでした。輪読会は隔週、プレゼン方式で行われるとのこと。毎回数名が発表を担当します。発表者は『カンデル神経科学』から好きな章を1つ選び、その章の内容やおもしろいと思ったことなどを、コンピュータのパワーポイント資料にして、プレゼンするのだそうです。

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発表の最中に、コメントや質問が自由に飛び交います。発表者は話を中断して、議論に。他の参加者が、インターネットですぐにその話題を調べ、情報を付け加えることもありました。活発なやりとりが、おもわぬ展開をみせることも。「議論があちこちに寄り道するのはいつものことです。2〜3時間の輪読会はあっという間にすぎてしまいます」と、2年生の藤井優人里さん。そうした議論を楽しんでいる様子が伝わってきました。

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難しい言葉やわからない内容が出てきたときは、4年生の出番です。丁寧にわかりやすく説明してくれます。それでも答えられない内容については、「これはわからないな」と言いながらも、知っている知識を総動員してなんとかヒントを見つけようとしてくれます。会の終了後、「上級生の存在は大きいですね」と感心する私に、「人に説明することで自分の理解を深めることができ、助かります。わかった気になっていたけど、本当はよくわかっていなかったことも見えてくるので」、4年生の江部正周さんが答えてくれました。

この輪読会のスタートは1年前。ロボット好きで、ロボットは心を持つのかという問題に興味があった上野太郎さんが、脳科学のきちんとした知識の基礎を築きたいと思い、輪読会を皆に呼びかけました。英語のテキストに挑戦するのもよいのですが、初心者ですから日本語でしっかり読みたいと思ったのです」。上野さんの呼びかけに、脳科学を勉強したい人たちが集まりました。教室を使用させてもらう都合などから、輪読会の位置づけを、青山敦専任講師の研究室のサブゼミという形にしたそうです。「困ったときには、青山先生が何かと相談にのってくださり、とても感謝しています」と上野さん。

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参加者は、「みんなで勉強するのは楽しい」と異口同音。「しっかり本を読んで準備するのは大変ですが、『カンデル神経科学』の説明は論理的な飛躍がなくて、フォローしやすい」とも。『カンデル神経科学』は、輪読会に最適なテキストとして、人々をつなげる役目も果たしているようです。次回、輪読会の詳しい情報をさらにご紹介していきます。

(2014年7月9日取材。文:Yoshiko Fujikawa)

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