バックナンバー

 症例検討

Monitored Anesthesia Care

前号(2014年3月号)の徹底分析シリーズで「デクスメデトミジンと鎮静」を取り上げた。これを受けて,Monitored Anesthesia Care(MAC)における鎮静方法について,デクスメデトミジンとそのほかの薬物とで,症例をベースに比較することにした。

MACを日本語にすると「監視下鎮静(麻酔)管理」となるが,どちらの言葉にもなじみがない方もいるだろう。米国麻酔科学会では,MACの定義を「治療,診断に対する処置のための特有の麻酔管理」とし,適応は「手術手技のため,患者の状態あるいは全身麻酔や区域麻酔への移行の可能性のあるもの」としている。具体的には,抗不安作用,催眠作用,健忘作用,鎮痛作用などを有した薬物を単独あるいは複数用いて,各種のモニター下で行う鎮静(麻酔)法である。つまり,われわれ麻酔科医が日常茶飯事として行っている鎮静管理のことを指すのであるが,今回デクスメデトミジンが使用可能になったことで,MACの方法がどのように変わるのだろうか?

本症例検討では,MACとして日常よく経験する「意識下挿管」「CSEAに併用する鎮静」「小児の心臓カテーテル検査」という三つの場面を設定して,具体的な鎮静・麻酔管理方法を提示している。施設ごとにMACのコンセプトが異なることがよくわかる。言うまでもないが,正解は一つではない。読者の実践の参考にしていただきたい。

東京女子医科大学 麻酔科学教室 高木 俊一