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 徹底分析シリーズ

α2受容体作用薬薬[基礎編]:α2アドレナリン受容体と中枢機能

   αアドレナリン受容体が解剖学的局在によってα1とα2に分類されたのは,今から約30年前のことである。中枢神経系におけるα2受容体の多様な役割の解明は,その後発見された選択的α2作動薬clonidineとともに始まった,と言っても過言ではない。そして,三つのサブタイプが相次いでクローニングされ,遺伝子改変マウスが作製された現在,治療薬としてのα2受容体作動薬への関心は,当初の循環器領域から,麻酔科あるいは精神科領域へと移りつつある。本稿では,α2受容体とその作動薬の発見から現在に至る流れと,中枢神経系におけるα2受容体の機能的役割について,薬理学的アプローチによって得られたわれわれの動物実験データを交えながら紹介する。また,“中枢機能調節薬”としてのα2アドレナリン受容体作用薬の現状と今後の展望について,受容体サブタイプとの関連性を含め概説する。

北海道大学大学院医学研究科 脳機能学専攻 情報薬理学講座 機能薬理学分野
富樫 広子・吉岡 充弘