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症例検討
マグネシウムと麻酔
「マグネシウム」が測れるようになった!?
私が研修医生活を謳歌していた 1970 年代には,血液ガス(つまり,PO2 やPCO2)を測定するのも一大事で,微妙な校正を必要とし,安定した測定が可能なことも珍しい時代でした。その意味で,血液ガス分析については,電解質測定やヘモグロビン濃度の測定も同時に可能となり,技術的進歩には目覚しいものがあるといえます。ここ数年,血液ガス分析と同時にビリルビンやクレアチニン,そしてマグネシウムや乳酸といった新しいパラメータの測定が可能になってきました。従来,1日1回の測定が常識であったパラメータについても“いつでも”,“必要に応じて”測定できるようになったわけです。こうした測定機器のメーカは得られる情報の重要性を強調していますが,果たして診療方針に影響するほどの情報量があるのでしょうか? 電解質のなかでも「イオン化カルシウム」については,測定が可能となって以来,臨床的意義が多く語られるようになりました。「イオン化マグネシウム濃度」測定については,バックナンバー(Vol. 7 No. 3,No. 5)を参考にしていただきたいのですが,同様の臨床的意義があるのでしょうか? 今回は,基礎的な意義から臨床的な内容にわたる広範囲な特集を企画いたしました。でも,臨床的意義を評価するのは読者のあなたです。
落合 亮一