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 症例検討

小児のよくある問題

   日常よく遭遇する疾患である急性虫垂炎や肥厚性幽門狭窄症では,術前に十分な輸液と電解質の補正を行ってから術中管理(手術)を行うのが標準的な手順である。小児の麻酔管理の特徴は,麻酔科医が術前から患者のケアに「自然に」関与でき,それが術中,さらに術後の経過にも大きな影響を与えうることではないだろうか。
   「自然に」参加できるのであるから,参加しようとする「意志」があれば,期待されるものも大きいだろう。術中管理の技術,経験をもつ麻酔科医が,術前から患児の管理に参加し,その延長線上で術中・術後の管理を行うことで,急性期の一貫した質の高いケアを提供できる。これこそが,小児麻酔の面白さであろう。

阪井 裕一