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 症例検討

閉塞性動脈硬化症患者の麻酔

   閉塞性動脈硬化症(ASO)は,主として腹部大動脈,腸骨動脈,大腿動脈など下肢の動脈に好発する。粥状動脈硬化症が主たる原因であり,虚血性心疾患,脳血管疾患,腎障害など,重要臓器疾患を合併することも多い。しかも,糖尿病や喫煙歴がある高齢患者が多い。大動脈や,下肢の動脈などの血行再建術が必要なことがしばしばあるが,併存する合併症のために,麻酔管理が困難なことも多い。末梢動脈再建と侮っていると,心筋虚血やその他の臓器障害のために苦汁を飲まされることもある。また,血行改善のために,腰部交感神経ブロックが行われることもあり,麻酔科医の基本知識としてもっておきたい。
   今回はASOの血行再建手術に関する麻酔と,腰部交感神経ブロックを中心に症例検討を行う。

稲田 英一