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 症例検討

漏斗胸手術(Nuss法)の麻酔

   漏斗胸の多くは無症状であり,美容的な問題をもつに過ぎない。しかし,中には著しい胸郭変形のために,心機能障害や拘束性肺機能障害を起こす場合がある。漏斗胸はMarfan症候群に伴って見られる場合もある。高度の漏斗胸に対しては,胸骨挙上術や,日本最初の心臓移植を行った和田寿郎が開発した胸骨翻転術などが行われてきた。最近では,胸腔鏡下においてNuss法が施行される機会が増えてきた。
   漏斗胸手術においては,術前の心肺機能評価が重要である。また,低侵襲手術とはいえ,術中に気胸などの呼吸器のトラブルが起きたり,循環系のトラブルが起こる場合もある。術後痛も強い。術前から術後に至るまでの綿密な患者評価と治療が必要となる。そこで,今回はさまざまな問題点を抱える漏斗胸患者に対する手術療法と麻酔管理について検討する。

稲田 英一