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症例検討
筋弛緩モニターを使いこなそう!
日本麻酔科学会から勧告された「安全な麻酔のためのモニター指針」には,筋弛緩モニターは“必要に応じて”行うと記載されている。しかし,その必要性を感じていても,筋弛緩モニターを重視する麻酔科医は少ないのではないだろうか?筋弛緩薬は個々で感受性が大きく異なるうえ,その効果は麻酔薬や麻酔併用薬により容易に影響を受ける。だが,筋弛緩薬の投与量や投与間隔は麻酔科医の経験と勘に頼っているのが実情であろう。また,筋弛緩からの回復も,呼吸量や握力等の臨床症状で判断されることがほとんどであろう。筋弛緩モニターを使用しない理由として,機械が高価,扱いや評価法が難しいなどの意見が聞かれるが,わが国では臨床使用できる筋弛緩薬の種類が極端に少なく,画一的な投与法しかなされない結果,モニタリングの必要性を感じないことも一因だろう。しかし,呼吸,循環,麻酔深度等のモニターに筋弛緩モニターを加えることにより,全身麻酔時の患者管理の質は確実に向上する。それでは臨床に適した筋弛緩モニタリングとはどのようなものであろうか?今回は比較的臨床で経験する症例を通して,筋弛緩薬やその拮抗薬使用に際し,筋弛緩モニターをすぐに使いこなすために役立つ知識,コツやピットフォールについて解説していただいた。
東京臨海病院麻酔科 鈴木 孝浩