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 症例検討

神経因性疼痛の治療:現状と未来(その1)

   神経因性疼痛を有する患者の診察ならびに治療は,ペインクリニックに携わる医師にとっても負担となることがある。われわれが外来で診察する機会を有する疾患として,帯状疱疹後神経痛,CRPS(複合性局所疼痛症候群)などが挙げられるが,多くの患者は年単位で外来受診を続けており,なかなか疼痛を完全に封じ込めることには成功していない,という印象を受ける。その要因として,痛みの評価法が客観的で,十分に疼痛評価がなされていない。そのために適切な薬物投与が行われていないことや,痛みを有するという患者の脳内の代謝や血流の変化などを捉えて疼痛評価や治療効果の評価に応用することがまだ十分普及していないことなども考えられる。
   そこで,症例検討では,神経因性疼痛の病態の特徴,バイタルサインとしての痛みの捉え方について,総論を述べていただいた。さらに,神経因性疼痛に包含される代表的な疾患として,帯状疱疹後神経痛,CRPS(複合性局所疼痛症候群)を取り上げ,痛みの分野のエキスパートの先生方にご執筆いただいた。帯状疱疹後神経痛については,その病態,ドラッグチャレンジテストによる患者の疼痛評価,治療計画のあり方からアプローチしていただいた。また,CRPS については,その病態,MR スペクトロスコピーならびに CPT による患者の疼痛評価,治療計画のあり方と「慢性疼痛治療の限界」をどこにみるかという究極の問題にもお答えいただいた。さらに,心理療法の重要性と心療内科との連携の必要性についても討論いただいた。
   本特集が,読者の方々に痛みの基礎的理解から日常臨床での診断,治療の実際を考えるうえでの一助となれば幸いである。

内野 博之