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徹底分析シリーズ
遺伝子多型と麻酔
「赤毛の患者はそうでない患者に比べて,デスフルランの必要量が多くなる」
もう 5 年以上前になるが,こんな論文が Anesthesiology 誌に掲載された。 確か Sessler らのグループによる発表だったと思う。
古くから欧米では,赤毛の患者は麻酔が効きにくい,出血が止まりにくいなどと経験的に語られてきたが,この研究はそれを遺伝子レベルで裏づけるものであった。このあたりから麻酔と遺伝子多型の研究は飛躍的に発展を遂げることになる。遺伝子多型と麻酔をキーワードに PubMed で検索すると,この分野の研究が年々増えていることがわかる。
本徹底分析では,わかりにくいといわれる遺伝子多型を総論的に新川詔夫先生に解説していただいたあと,各種病態と遺伝子多型の関係をレビューしていく。十分に鎮痛薬を投与されているにもかかわらず患者が痛みを訴えるとき,人工心肺離脱後に外科医が止血に難渋しているとき,ふと遺伝子レベルにまで思いをはせながら麻酔をするのも,たまには面白いかもしれない。
国際医療福祉大学/化学療法研究所附属病院 麻酔科
志賀 俊哉