バックナンバー
症例検討
下肢切断術の麻酔
下肢切断術は,患者にとってはもちろん,麻酔科医にとってもストレスであることが多い。人間の外形的なものが損なわれることは,機能的にはもちろん精神的にも大きな損失だからである。下肢切断術が必要な患者は,糖尿病や,動脈硬化症による冠動脈疾患や腎不全,感染症など複雑な合併疾患をもっている場合も多い。外傷や腫瘍によりそれまで普通の生活をしていた人が,下肢切断を余儀なくされる場合もある。術後に幻肢痛が問題となる場合もある。脊髄くも膜下麻酔や硬膜外麻酔,両者の併用,全身麻酔など選択の幅も広い。局所麻酔に用いる薬物も局所麻酔薬やオピオイドなどバラエティーに富んでいる。//今回は下肢切断術の麻酔について,いろいろな角度から検討することにする。
稲田英一