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徹底分析シリーズ
心臓を守れ!麻酔科医 1
われわれ循環器医は,心臓・血管に対する障害を最小限にしようとして日夜働いている。特に心血管疾患は,急激に発症して,急速に進展するため,循環器医は待ったなしに現場にかり出される。この点は,麻酔科医と共通している。お互い,時間が勝負である。急性心筋梗塞に対していち早く,不整脈予防・心不全改善をはかりながら再疎通療法をしうるかどうかが生死を分けるといっても過言ではない。だから,循環器医はせっかちが多い。
でも,実は,患者の予後を改善できるかどうか,勝負は短時間での治療の後に続く現象である。いかに,虚血・再灌流障害を抑制しうるかを知らなければ,いち早く再疎通しても梗塞サイズ縮小・心臓リモデリングは十分改善せず,その予後はよくならない。これは,ACバイパスのような心臓手術でも同様であり,心臓外科医・麻酔科医の腕の見せどころであろう。
そのためには,どうすればいいのか。それは,誰も教えてくれない。そこで,分子生物学・薬理学・生化学・生理学的観点から,それを考えるヒントを本特集は取り上げた。いかに,心筋虚血・再灌流障害を改善して,その後のアウトカムをよくするかに焦点を絞り,各方面のエキスパートの先生方にご執筆頂いた。本特集が,時間が勝負の麻酔科医・循環器医の心血管保護を考えるヒントになれば幸いである。特にこの2月号では,特に心筋障害・保護のメカニズムについてハイライトをあててみた。
国立循環器病センター 心臓血管内科 北風 政史