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 症例検討

脊髄くも膜下麻酔

   脊髄くも膜下麻酔(脊麻)の歴史は100年以上にもなる。その間,好んで使用される局所麻酔薬もコカインから,プロカイン,テトラカインやリドカイン,ジブカイン,そしてブピバカインへと変化してきた。穿刺針もcutting針からnon-cutting針へ,太いものから細いものへと,脊麻の大きな合併症の一つである脊麻後頭痛を少なくするように変化してきた。俗に「半身麻酔」などと言われることもあるが,その全身的な影響は大きい。高度の低血圧や,徐脈,さらには呼吸停止なども起こりうる。
   脊麻には,症例に応じたさまざまなテクニックや,局所麻酔薬にオピオイドを追加する方法などがある。さらに,硬膜外麻酔の併用も増えている。脊麻はシンプルにみえるが,その奥は深い。そこで,今回はさまざまな状況に応じた脊麻のテクニックや,問題解決法について検討する。

稲田 英一