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 徹底分析シリーズ

脳外科手術のControversies―1

   脳外科手術の麻酔管理は,脳脊髄保護という概念を軸とした神経麻酔学によって担われ,脆弱で繊細な脳や脊髄を侵襲からいかに護るかということを最大の眼目としている。
   従来から,脳神経外科手術における麻酔管理においては,術中の脳循環を適正に保ち,脳を弛緩した状態にして手術をやりやすくし,術中,術後の脳機能の恒常性をいかに維持するかという点が重視されてきた。エビデンスにもとづく医療が問われるなかで,今一度,これまで脳外科手術において脳脊髄保護のために通常のように用いられてきた方法や概念を再考するときにきているのではないかとの印象を強く抱いた。それが,今回の企画を進めた経緯である。そのために,日本における神経麻酔の分野のエキスパートの先生方にお力添えをいただいた。みなさまの抱いておられる疑問の解決に少しでも繋がれば幸甚である。

東京医科大学 麻酔科学教室   内野 博之