2026年4月下旬発売予定!
「撮れる」だけでなく、「診られる」へ
根拠に基づき自信をもって
評価・診断・治療するために
筋骨格超音波で像を描出できる段階からステップアップし、評価や鑑別・治療を正しく行う上で頼れる実践書。世界的権威Dr. Bruyn とDr. Schmidtによる長い臨床経験と鋭い観察力、洞察力に基づいた記述。総説ではエコーの基本をわかりやすく学び、各論では当てづらい部位も含まれる「標準スキャン」に加え、周辺解剖まで記載された超音波解剖図や、正常値、カットオフ値などの定量情報も明確に提示。近年の急速な適応の広がりにも対応すべく、関節のみならず血管、唾液腺、肺も収載。リウマチ・膠原病科専攻医・専門医のみならず、総合診療医、家庭医や超音波技師まで幅広く有用。
1. はじめに
1.1 リウマチ診療における超音波検査の意義
1.2 歴史的背景
2. 筋骨格超音波の基礎
2.1 周波数と波長
2.2 超音波の生成
2.3 反射と伝播
2.4 超音波の減衰
2.5 超音波用語のまとめ
2.6 画像を最適化するには?
3. 超音波装置の選び方
3.1 リウマチ診療における超音波装置選択の基本原則
3.2 超音波装置のデータ保存・付加機能と価格帯
4. 超音波解剖の総論
4.1 横断像と縦断像:筋骨格超音波の基本オリエンテーション
4.2 解剖学的組織や構造の見分け方
5. 肩
5.1 肩の標準的走査法
5.1.1 上腕二頭筋腱の横断像(標準スキャン5-1)
5.1.2 上腕二頭筋腱の縦断像(標準スキャン5-2)
5.1.3 肩の前方横断像(標準スキャン5-3)
5.1.4 肩の前方縦断像(標準スキャン5-4)
5.1.5 肩の外側横断像(標準スキャン5-5)
5.1.6 肩の外側縦断像(標準スキャン5-6)
5.1.7 肩の後方横断像(標準スキャン5-7)
5.1.8 肩の後方縦断像(標準スキャン5-8)
5.1.9 肩鎖関節の描出像(標準スキャン5-9)
5.1.10 肩の腋窩アプローチ(標準スキャン5-10)
5.1.11 胸鎖関節の描出像(標準スキャン5-11)
5.1.12 腱板粗部の描出像(標準スキャン5-12)
5.1.13 肩峰下三角筋下滑液包への超音波ガイド下注射
5.1.14 肩甲上腕関節への超音波ガイド下注射
5.1.15 上腕二頭筋長頭筋腱鞘内への超音波ガイド下注射
5.1.16 肩甲上神経ブロック・傍関節唇囊胞吸引の超音波ガイド下注射
5.2 肩の病的所見
5.2.1 上腕二頭筋腱の病的所見 パートⅠ
5.2.2 上腕二頭筋腱の病的所見 パートⅡ
5.2.3 三角筋下滑液包炎
5.2.4 結晶沈着性関節症
5.2.5 腱板断裂
5.2.6 その他の腱板病変
5.2.7 肩甲上腕関節滑膜炎および関節内液体貯留
5.2.8 肩鎖関節および胸鎖関節の病的所見
6. 肘
6.1. 肘関節の標準的走査法
6.1.1 腕尺関節の前方縦断像(標準スキャン6-1)
6.1.2 腕橈関節の前方縦断像(標準スキャン6-2)
6.1.3 肘関節の前方横断像(標準スキャン6-3)
6.1.4 肘関節の後方縦断像(標準スキャン6-4)
6.1.5 肘関節の後方横断像(標準スキャン6-5)
6.1.6 肘関節外側面の縦断像(標準スキャン6-6)
6.1.7 肘関節内側面の縦断像(標準スキャン6-7)
6.1.8 肘部管の横断像(標準スキャン6-8)
6.1.9 肘部管を通る尺骨神経の縦断像(標準スキャン6-9)
6.1.10 肘関節の超音波ガイド下注射
6.2 肘関節の病的所見
6.2.1 肘の関節滑膜炎
6.2.2 肘関節部の腱付着部炎・腱障害・滑液包炎
6.2.3 肘部管症候群・リウマトイド結節
7. 手
7.1 手関節の標準的走査法
7.1.1 手関節の背側正中縦断像(標準スキャン7-1)
7.1.2 手関節の背側橈側縦断像(標準スキャン7-2)
7.1.3 手関節の背側尺側縦断像(標準スキャン7-3)
7.1.4 手関節の背側横断像(標準スキャン7-4)
7.1.5 尺側手根伸筋腱の縦断像(標準スキャン7-5)
7.1.6 尺側手根伸筋腱の横断像(標準スキャン7-6)
7.1.7 手関節の掌側正中縦断像(標準スキャン7-7)
7.1.8 手関節の掌側橈側縦断像(標準スキャン7-8)
7.1.9 手関節の掌側尺側縦断像(標準スキャン7-9)
7.1.10 手関節の掌側横断像(標準スキャン7-10)
7.1.11 手根管への超音波ガイド下注射
7.1.12 手関節背側への超音波ガイド下注射
7.1.13 第1伸筋区画への超音波ガイド下注射
7.2 手関節の病的所見
7.2.1 手関節の滑膜炎 パートⅠ
7.2.2 手関節の滑膜炎 パートⅡ
7.2.3 手関節の腱鞘滑膜炎 パートⅠ
7.2.4 手関節の腱鞘滑膜炎 パートⅡ
7.2.5 手根管症候群
8. 手指
8.1 手指関節の標準的走査法
8.1.1 MCP関節の掌側縦断像(標準スキャン8-1)
8.1.2 MCP関節の掌側横断像(標準スキャン8-2)
8.1.3 MCP関節の背側縦断像(標準スキャン8-3)
8.1.4 MCP関節の背側横断像(標準スキャン8-4)
8.1.5 PIP関節の掌側縦断像(標準スキャン8-5)
8.1.6 PIP関節の掌側横断像(標準スキャン8-6)
8.1.7 PIP関節の背側縦断像(標準スキャン8-7)
8.1.8 DIP関節の掌側縦断像(標準スキャン8-8)
8.1.9 DIP関節の背側縦断像(標準スキャン8-9)
8.1.10 手指腱鞘内への超音波ガイド下注射
8.1.11 MCP関節への超音波ガイド下注射
8.2 手指の病的所見
8.2.1 手指関節の骨びらんと骨棘
8.2.2 手指関節の関節滑膜炎と関節内液体貯留
8.2.3 手指屈筋腱の腱鞘滑膜炎
9. 骨盤部 仙腸関節・仙骨裂孔・坐骨結節を含む
9.1 仙腸関節の超音波像
9.2 仙骨裂孔の超音波像
9.3 坐骨結節の超音波像
9.4 骨盤部の病的所見
10. 股関節部
10.1 股関節の標準的走査法
10.1.1 股関節の前方縦断像(標準スキャン10-1)
10.1.2 股関節の前方横断像(標準スキャン10-2)
10.1.3 股関節の外側縦断像(標準スキャン10-3)
10.1.4 大転子部の縦断像(標準スキャン10-4)
10.1.5 大転子の横断像(標準スキャン10-5)
10.1.6 股関節の超音波ガイド下注射
10.2 股関節の病的所見
10.2.1 股関節の関節滑膜炎と関節内液体貯留
10.2.2 腸腰筋滑液包炎
10.2.3 股関節の変形性関節症および骨壊死
10.2.4 結晶沈着性関節症および人工股関節置換術後
10.2.5 大転子部の異常所見
11. 膝
11.1 膝関節の標準的走査法
11.1.1 膝蓋上囊の縦断像(標準スキャン11-1)
11.1.2 膝蓋上囊の横断像(標準スキャン11-2)
11.1.3 膝関節外側面の縦断像(標準スキャン11-3)
11.1.4 膝関節内側面の縦断像(標準スキャン11-4)
11.1.5 膝蓋骨下部の縦断像(標準スキャン11-5)
11.1.6 膝蓋骨下部の横断像(標準スキャン11-6)
11.1.7 膝関節後面の横断像(標準スキャン11-7)
11.1.8 膝関節後面の縦断像(標準スキャン11-8)
11.1.9 膝関節への超音波ガイド下注射
11.2 膝関節の病的所見
11.2.1 膝関節の関節滑膜炎と関節内液体貯留 パートⅠ
11.2.2 膝関節の関節滑膜炎と関節内液体貯留 パートⅡ
11.2.3 膝部の腱障害 パートⅠ
11.2.4 膝部の腱障害 パートⅡ
11.2.5 膝関節の骨棘・骨びらん・関節内遊離体
11.2.6 膝蓋骨前部および膝蓋骨下部の滑液包炎
11.2.7 ベーカー囊胞
11.2.8 軟骨および結晶沈着症
12. 足部と足趾
12.1 足部の標準的走査法
12.1.1 足関節の背側縦断像(標準スキャン12-1)
12.1.2 足関節の背側横断像(標準スキャン12-2)
12.1.3 足関節内側部の横断像(標準スキャン12-3)
12.1.4 足関節内側部の縦断像(標準スキャン12-4)
12.1.5 足関節外側部の横断像(標準スキャン12-5)
12.1.6 足関節外側部の縦断像(標準スキャン12-6)
12.1.7 足関節後方部の縦断像(標準スキャン12-7)
12.1.8 アキレス腱および足関節後方部の横断像(標準スキャン12-8)
12.1.9 足底近位部の縦断像(標準スキャン12-9)
12.1.10 中足部の背側縦断像(標準スキャン12-10)
12.1.11 足趾の背側縦断像(標準スキャン12-11)
12.1.12 足関節への超音波ガイド下注射
12.1.13 腓骨筋腱鞘内への注射
12.1.14 MTP関節への注射
12.2 足部と足趾の病的所見
12.2.1 足関節および距舟関節の関節滑膜炎と関節内液体貯留
12.2.2 足部と足趾の腱鞘滑膜炎
12.2.3 アキレス腱の病的所見 パートⅠ
12.2.4 アキレス腱の病的所見 パートⅡ
12.2.5 踵部の疼痛:付着部障害・踵骨部の骨棘・液体貯留
12.2.6 足底腱膜炎および中足部の病的所見
12.2.7 MTP関節の病的所見
13. 血管
13.1 血管炎
13.1.1 巨細胞性動脈炎
13.1.2 頭蓋外の巨細胞性動脈炎および高安動脈炎
13.2 手指動脈
14. 唾液腺
14.1 シェーグレン病
15. 肺
15.1 リウマチ性疾患における肺超音波検査
参考文献
索引
訳者まえがき
『リウマチ診療のための筋骨格超音波検査―実践ガイド―』(原題:Musculoskeletal Ultrasound for Rheumatologists: An Introductory Guide)を手に取っていただき,ありがとうございます。本書は,欧州リウマチ学会(EULAR)および米国リウマチ学会(ACR)の筋骨格超音波コースの立ち上げに尽力し,2026年現在も世界各国で開催されるリウマチ診療における筋骨格超音波講習会で精力的に指導を行っている2人のリウマチマスター,George Bruyn先生とWolfgang Schmidt先生によって執筆され,2024年末に出版された筋骨格超音波検査の成書です。欧州や米国では,筋骨格超音波検査を学び始める学習者にとって,避けては通れない必携の教科書となっています。
後出の「原著の序」でも述べられているように,本書は科学的厳密性を徹底した重厚長大な教科書ではなく,日常臨床ですぐに役立つ実践的なガイダンスを提供することを目的として執筆されています。
第1~4章では総論として,筋骨格超音波の発展の歴史や,超音波機器を実際に選択・購入する際のポイントなど,普段体系的に学ぶ機会の少ない基礎知識が整理されています。第5~12章では,各関節における標準スキャン,超音波ガイド下穿刺,そして病的所見が統一された構成で解説されており,実臨床に直結する包括的な知識を学ぶことができます。また,他書では触れられることの少ない仙腸関節を含む骨盤部の超音波検査や,肩関節における腱板疎部(rotator interval)など,リウマチ科医にとって理解が難しい解剖領域についてもわかりやすく解説されています。第13~15章では,血管,唾液腺,肺の超音波検査が扱われています。Bruyn先生はシェーグレン症候群における唾液腺超音波検査の第一人者であり,Schmidt先生は巨細胞性動脈炎における血管超音波診断の第一人者です。これらの章では,それぞれの分野におけるエッセンスを学ぶことができます。
エキスパートならではの,示唆に富んだ記述が随所にさりげなく盛り込まれている点も,本書の大きな魅力です。なかでも,特に実践に有用と考えられる記載や重要な記述については,翻訳に際して下線を引いて強調しています。また本文や図には適宜,意訳や補訳も加え,日本の読者にとってわかりやすいよう訳注も付しました。
本書を翻訳するにあたり,あえて「筋骨格超音波検査」という言葉を用いました。日本では,リウマチ膠原病や整形外科領域の教科書において「関節エコー」や「運動器エコー」という表現が用いられることが多いですが,欧米の多くのテキストブックでは「Musculoskeletal Ultrasound」という用語が用いられています。リウマチ診療において超音波検査の対象となるのは関節だけではありません。軟骨,靱帯,腱,筋肉,滑液包,皮膚および皮下組織,爪およびその周囲組織,さらには血管,唾液腺,肺など,多岐にわたる軟部組織と臓器システムが対象となります。こうした広い領域を対象とするという意味を込め,本書では「筋骨格超音波検査」という用語を邦題に採用しました。
本書の日本語翻訳プロジェクトは,2025年6月にスペイン・バルセロナで開催されたEULAR MSUS TTTコースに参加したことがきっかけとなりました。TTTコースは午前9時から午後7時まで行われる1日集中のコースであり,受講には事前にEULAR公認のMSUS Advancedコースまで修了していることが求められます。参加者は,受講者4人とインストラクター2人からなるグループに割り当てられ,超音波機器とモデル,プロジェクターが設置された小部屋で1日を過ごします。
コース中はその部屋から外に出ることはほとんどなく,文字どおり小部屋に閉じ込められたような環境で終日過ごすことになります。午前中は指定された解剖部位について模擬ハンズオンレクチャーを行い,受講者全員が指導者役として実演します。各レクチャーにはインストラクターからのフィードバックが与えられ,その内容を踏まえてハンズオンレクチャーを再度実施します。午後には事前に提出したスライドを用いて模擬レクチャーを行い,同様にインストラクターからのフィードバックを受けて内容を修正し,再度プレゼンテーションを行います。1日という短い時間ながら,非常に密度の高い学びの機会でした。
このコースを修了すると,EULAR Competency Assessment in Musculoskeletal Ultrasound in Rheumatology Level 2 の資格が付与され,EULAR公認の筋骨格超音波ベーシックコースを企画・開催し,インストラクターとして指導することが可能になります。このTTTコースで,私のグループのインストラクターの1人を務めておられたのがBruyn先生でした。コース終了後の集合写真撮影の際,持参していた原書にサインをもらったとき,「この本の日本語版があればよいのに」と何気なく話したところ,「ぜひやろう。翻訳する時間は取れそうかい?」と声をかけていただきました。この一言をきっかけに,本書の日本語翻訳プロジェクトという小さな冒険が始まりました。
訳稿が完成したものの出版社が決まらず困っていた際に,本企画を丁寧に検討してくださり,厳しいスケジュールのなかで本書の刊行を実現してくださったメディカル・サイエンス・インターナショナル社の神田奨 氏をはじめ,同社関係者の皆様に心より感謝申し上げます。
また,忙しい診療の合間に原稿に目を通し,貴重な助言をいただいた多摩総合医療センター リウマチ膠原病科の寺島侑希 先生,髙增英輔 先生,山梨大学医学部 リウマチ膠原病内科学の間渕央子 先生,中込大樹 先生に深謝いたします。さらに,多摩総合医療センター リウマチ膠原病科の横川直人 先生,生理検査室の検査技師の皆さまにも多くのご支援をいただきました。
本書の翻訳プロジェクトの開始以来,メールでのやり取りを通じて常に温かい励ましの言葉と助言を送り続けてくださったBruyn先生,Schmidt先生にも心から御礼申し上げます。最後に,本書の翻訳作業に多くの時間を割くことを快く受け入れてくれた妻と子どもたちに感謝します。
この邦訳書を通じて,日本国内において筋骨格超音波検査を用いたリウマチ診療がさらに普及し,日本のリウマチ膠原病患者の早期診断と適切な治療につながることを心より願っています。
2026年4月
東京都府中市にて
三好 雄二




























