本邦初!「股関節・骨盤」領域に特化した本格テキスト
関節領域の中でも特に股関節・骨盤領域に特化した画像診断のテキスト。モダリティ別の撮像法など画像診断の基本を解説した上で、日常診療でおさえるべき疾患、まれだが重要な疾患を厳選し、豊富な画像写真を交え詳述。MRI診断が重要な役割を占めるようになってきた整形外科診療の現状を踏まえた記述。放射線科、整形外科をはじめ、股関節・骨盤の画像診断に携わる医師・技師必携の書。
著 |
編著:川原 康弘 長崎労災病院放射線科部長 |
ISBN |
978-4-89592-879-3 |
定価 |
8,424円(本体7,800円+税8%)
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判型/ページ数/図・写真 |
B5 頁336 図57・表40・写真573 |
刊行年月 |
2017/09 |
総論
第1章 MRIによる正常解剖
1.1 冠状断(T1強調像)
1.2 横 断(T2強調像)
1.3 矢状断(T2強調像)
第2章 筋肉の起始・停止・支配神経
第3章 各種画像の撮像法
3.1 股関節の撮像法
単純X線写真
関節造影
CT
MRI
シンチグラフィ
3.2 腫瘍,腫瘍類似疾患の撮像法
単純X線写真
CT
MRI
シンチグラフィ
各論
第4章 股関節疾患:大腿骨頭疾患
4.1 特発性大腿骨頭壊死症
4.2 外傷性大腿骨頭壊死症
4.3 一過性大腿骨頭萎縮症
4.4 大腿骨頭軟骨下脆弱性骨折
第5章 股関節疾患:関節症
5.1 変形性関節症
5.2 臼蓋形成不全
5.3 関節唇断裂
5.4 大腿骨寛骨臼インピンジメント
5.5 急速破壊性股関節症
第6章 股関節疾患:感染症,膠原病,代謝性疾患など
6.1 化膿性関節炎
6.2 結核性関節炎
6.3 関節リウマチ
6.4 強直性脊椎炎
6.5 ピロリン酸カルシウム結晶沈着症
6.6 アミロイド関節症
6.7 人工股関節合併症
第7章 股関節疾患:小児疾患
7.1 発育性股関節形成不全
7.2 単純性股関節炎
7.3 ペルテス病
7.4 大腿骨頭すべり症
第8章 股関節周囲・骨盤疾患
8.1 滑膜囊胞,ガングリオン,関節唇/傍関節唇囊胞
8.2 滑液包,滑液包炎
8.3 大転子疼痛症候群
8.4 恥骨結合炎
8.5 坐骨大腿骨インピンジメント
8.6 石灰沈着性腱炎
8.7 感染性仙腸関節炎
8.8 非感染性仙腸関節炎
第9章 骨折,骨折類似疾患
9.1 大腿骨頸部・転子部骨折
9.2 大腿骨頸部ストレス骨折
9.3 骨盤骨折
9.4 骨盤ストレス骨折
9.5 裂離骨折
9.6 坐骨恥骨軟骨結合
第10章 腫瘍,腫瘍類似疾患:骨
A.良性疾患
10.1 類骨骨腫/骨芽細胞腫
10.2 骨軟骨腫 藤本 肇・川原康弘
10.3 軟骨芽細胞腫
10.4 骨巨細胞腫
10.5 骨内脂肪腫
10.6 良性脊索細胞腫
10.7 動脈瘤様骨囊腫
10.8 骨Paget病
10.9 骨内ガングリオン
10.10 線維性骨異形成
B.悪性疾患
10.11 骨肉腫
10.12 軟骨肉腫
10.13 ユーイング肉腫
10.14 脊索腫
10.15 転移性骨腫瘍
第11章 腫瘍,腫瘍類似疾患:軟部組織疾患,その他
A.良性疾患
11.1 色素性絨毛結節性滑膜炎
11.2 滑膜骨軟骨腫症
11.3 腫瘍状石灰化症
B.悪性疾患
11.4 放射線誘発性肉腫
和文索引
欧文索引
... MRIの出現,普及に伴い,骨軟部領域の画像診断は飛躍的に向上した.高侵襲である関節造影や脊髄造影の多くはMRIにとって替わられ,これらの検査の適応は減少した.それとともに,放射線科医は日常診療において骨軟部領域の画像診断の占める割合が激増し,この領域を避けて通れなくなった.
本邦では,骨軟部領域の画像診断に関する多くの成書が出版されている.総括的な成書から,脊椎,肩関節,膝関節,足関節などの各部位における専門書まであり,日常臨床において頻繁に活用されている.しかし,股関節においては,成書のなかで項目のひとつとして記載されるのみで,特化した専門書はない.一方,股関節の鏡視下手術は増加傾向にあり,術前に股関節のより詳細な画像診断が必要になってきたとよく耳にする.これらを背景に,股関節中心の画像診断の専門書である本書の執筆に踏み切った.本書では総論と各論に大別し,3章よりなる総論では「MRIによる正常解剖(1章)」に始まり,「筋肉の起始・停止・支配神経(2章)」,「各種画像の撮像法(3章)」について述べ,各種画像の撮像法は“股関節の撮像法”と“腫瘍,腫瘍類似疾患の撮像法”に分けて解説している.
各論では頻度の高い疾患から比較的まれだが重要な疾患まで選択し,臨床的事項,画像所見,治療・予後について解説し,必要に応じて病期分類や診断基準も記載している.さらに,本文の重要なポイントは「BOX」で,重要事項の追加は「NOTE」としてまとめている.ただし,治療に関しては,私自身が実際に行っているわけではないので,僭越ながら画像診断をするうえで知っておきたい範疇で述べるに留めた.
本書が放射線科医だけでなく,放射線技師,研修医,医学生,整形外科医など,初学者から骨軟部領域を専門とする方々まで役立てていただければ幸いである.
最後に,本書を作成するにあたり,貴重なご意見をいただいた長崎大学大学院医歯薬学総合研究科整形外科学尾﨑誠教授と千葉恒先生,症例を提供してくださった東京慈恵会医科大学放射線医学講座福田国彦名誉教授,長崎大学大学院医歯薬学総合研究科放射線診断治療学上谷雅孝教授,佐世保共済病院放射線科野々下政昭先生,編集作業をしていただいたメディカル・サイエンス・インターナショナルの後藤亮弘氏に深く御礼申し上げる.
2017年8月
川原康弘