結末への道筋:アポトーシスとさまざまな細胞死

アポトーシス、ネクローシス、オートファジー細胞死……その解説は見事なまでに明快

アポトーシスを中心にさまざまな細胞死研究を総括し、コンパクトにまとめたテキスト。がんや免疫、発達障害などの原因解明や治療法開発への応用もカバーする。重箱の隅をつつくことに終始せず、根幹となる概念と最新知見も合わせて理解できるように周到に練られた章構成と読みやすい文体。入門者から専門家まで、医学、生物学、薬学、農学分野の大学院生、研究者に最適な書。

¥4,840 税込
原著タイトル
MEANS TO AN END Apoptosis and Other Cell Death Mechanisms
原著者
Douglas R. Green
監訳:長田重一 京都大学大学院医学研究科分子生体統御学講座医化学分野 教授
ISBN
978-4-89592-711-6
判型/ページ数/図・写真
B5変 頁244 図192・写真80 4色刷
刊行年月
2012/6/1
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序章
第1章 生と死の問題
第2章 カスパーゼとその基質
第3章 カスパーゼの活性化と阻害
第4章 アポトーシスのミトコンドリア経路-1
     MOMPとその周辺
第5章 アポトーシスのミトコンドリア経路-2
      BCL-2タンパク質ファミリー
第6章 アポトーシスのデスレセプター経路
第7章 他のカスパーゼ活性化機構
第8章 非アポトーシス性細胞死経路
第9章 死んだ細胞の埋葬―死細胞の除去とその後
第10章 発生における細胞死
第11章 細胞死とがん
第12章 死の未来

監訳者の序

プログラム細胞死(Programmed Cell Death)あるいはアポトーシス(Apoptosis)をPubMed でサーチすると,最初に出てくるのは,1965 年のLockshin & Williams による,カイコにおける脱皮(ecdysis)過程での筋肉細胞の変性,退化過程を“Programmed CellDeath”と命名した論文(J Insect Physiol 11: 123-33.)である。そして,1972 年,JF Kerr が,プログラム細胞死を起こしている細胞を光学顕微鏡,電子顕微鏡によって丁寧に観察し,細胞の凝縮,核の凝縮,細胞の断片化をへて,隣接する細胞に貪食されることを見いだした。彼は,この細胞死の過程を“アポトーシス”と命名した(Br J Cancer 26: 239-57.)が,これは“マイトーシス(細胞分裂)”に対応させた言葉である。

当初,この分野は限られたグループでのみ研究が進められ,1989 年に発表された論文のうち,Apoptosis あるいはProgrammed Cell Death の言葉をその要旨に含むのはわずか82 報。しかし,この数は1990 年代の初頭から飛躍的に増えはじめ,2002 年に1 万を超え,昨年は2 万に迫る論文数となった。その間に,細胞死に関与する分子が同定され,そのシグナル伝達経路が解明されるとともに,細胞死の生理作用や病理作用も明らかとなった。

一方,急激に発展する分野では避けがたいこととも考えられるが,発表される大量の論文のなかには,追試できないものも多い。この分野の人たちは学会などでの(裏)情報をもとに,その内容や真偽を検討することもできるが,この分野への新たな参加者や経験の浅い者には,「結論の一致しない大量の論文を前に,途方に暮れる」ことになる。このような状況であるから,この分野を紹介する教科書が必要ではあるものの,その作成は非常に困難な作業と考えられた。実際,私のところにも教科書執筆の依頼があったが,躊躇していたのである。

そのようなときに,ある国際会議でDr. Douglas R. Green から,彼の講演のあとに,「ColdSpring Harbor Press から“Means to an End”と題する教科書を書いた。面白いと思うので読んでください」との紹介があった。Dr. Green は,この分野の揺籃期,1990 年代初頭から活発に仕事をしている研究者であり,Keystone, Cold Spring Harbor Laboratory Meeting,Gordon Conference, EMBO meeting など,細胞死の主だった国際会議には必ず出席し,活発に討論に参加してきた,ある意味でこの分野の牽引者である。そこで,早速,この本を読んでみると,小生が信じていないところはそのようなコメントが書かれており,かつ,非常に面白くまとめられていた。そこで,日本の若い学生さんや一般の人たちに細胞死の分野を紹介したく,小生の研究室の大学院生と日本語に翻訳することとした。

“Mean to an End”の題がそうであるように,この本においては,通常のサイエンスの教科書における文章と異なる,非常に凝った「名文」が使われている。単純に翻訳できない箇所も多く苦労したが,サイエンスは正しく,かつ原文に込められたDr. Green の「哲学」を正しく翻訳するようつとめたつもりである。しかし,解釈の間違いもあろうかと思うので,その点は指摘していただきたい。

なお,細胞死の分野,特に第6 章で扱っている「デスレセプターによるアポトーシス」の解析は,私たちを含めた日本のグループによって確立された分野である。それにもかかわらず,日本からの成果が引用されることが少ない傾向にある。今回は訳者の特権を利用して,原著の「CD95」,「CD95 ligand」を「Fas」,「Fas ligand」に変更するとともに,私たちの論文を引用した。Dr. Green にその許可を求めたところ,彼は,「of course」と快諾してくれた。

原書の翻訳は昨年の2 月に企画されたが,3 月の大震災の影響などで大幅に遅れてしまった。私たちの研究室でこの本を訳そうと思っているとのメールに,「It would be so excited if youwould be willing to do so」との返事をくれたDr. Green の友情に感謝するとともに,作業にかかわった研究室の5 人の大学院生,メディカル・サイエンス・インターナショナルの藤川良子さん,後藤亮弘氏に感謝します。

長田 重一
2012 年6 月

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