医師として知らなければ恥ずかしい50の臨床研究 神経編

EBMをしっかりと理解し使いこなすための論文解読法、教えます
医師として「これだけは押さえておくべき」神経領域の50の臨床研究をコンパクトにまとめた、シリーズ第3弾。common diseaseを中心に米国の神経学者の査読を経た、回診や症例検討で頻繁に登場する研究を中心に厳選。エビデンスに基づく医療の専門知識を構築し、実践するのに役立つ。各研究に対する批判や制限事項、関連研究にも言及。若手の神経内科医をはじめ総合診療医やそれを目指す研修医に最適。
¥3,850 税込
原著タイトル
50 Studies Every Neurologist Should Know
監訳:岩田 淳 東京大学医学部附属病院神経内科講師
ISBN
978-4-89592-883-0
判型/ページ数/図・写真
A5 頁304 図50
刊行年月
2017/4/13
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SECTION 1 行動神経学
SECTION 2 てんかん
SECTION 3 頭痛
SECTION 4 神経感染症
SECTION 5 運動疾患
SECTION 6 多発性硬化症
SECTION 7 神経救急医学
SECTION 8 神経筋疾患
SECTION 9 神経腫瘍学
SECTION 10 神経眼科学
SECTION 11 神経耳科学
SECTION 12 睡眠
SECTION 13 脊椎障害
SECTION 14 血管神経学

監訳者序文

私が神経内科医として第一歩を踏み出したのは1990年代前半のことである。その頃は漸くMRIが一般的に使用できるようになり,神経内科領域に新しい画像診断という流れが到来しており,遺伝性の神経疾患の遺伝子異常が次々と同定されていた時代でもあった。やっと神経疾患が他の領域の疾患と同様に理解できるようになった,と若いながら感じたことを覚えている。ただ,そうはいっても,神経内科の疾患は「病態の理解が難しく」,「治療が難しく(治療方法があればまだましといえた)」,「希少な疾患」が多いというイメージを払拭できていなかったように思うし,それはいまだにそうかもしれない。
 そのために,今回監訳させていただいた50 の臨床研究はすべて「治療の研究」という点が小医にとって隔世の感があるわけである。そもそも「稀少疾患」では症例数が限られてしまうために「治験」はきわめて困難である。それゆえ,本書に記載されている疾患はどれも神経領域のcommon diseaseばかりである。改めて考えさせてくれるのは,私たち神経科医の多くがそのような治療可能なcommon diseaseにもっと目を向ける必要があるのは明白だ,ということだろう。本書に含まれる認知症,てんかん,頭痛,脳卒中だけでも我が国の人口の3割以上が罹患する疾患群である。そのような疾患に対して「知らなければ恥ずかしい」は言い過ぎにしても,「知っておくベき」臨床治療研究の成果を一覧できたことは訳者一同にとっても大きな収穫であった。
 本書が先生方の日常の診療にお役立ていただけることを切に願う。また,本書を刊行するにあたり,メディカル・サイエンス・インターナショナルの佐々木由紀子氏に多大なる貢献をいただいたことに感謝の意を表したい。

2017年3月
監訳者
岩田 淳



原著序文

臨床神経科学においては病変の局在が強調されるが,それは当然のことである。世界中の医学生は,教科書に記載されている中枢および末梢の機能神経解剖学を記憶するために,果てしのない時間を投入している。脳幹の脳卒中症候群から腕神経叢の回路構成に至るまでの神経系の伝達経路を習得することは,神経疾患を有する患者の治療を行うためには古典的な出発点となる。
 とはいえ,最もよく勉強している新人の神経内科のレジデントであっても,最初のローテーションを始めてすぐに,神経画像検査を用いてすら患者の病変部位を特定するということは,必ずしも簡単ではないうえに,患者の治療にとっては始まりにすぎないことを見いだすのである。特に,神経学の分野においては過去50年間に爆発的な数の治験が施行され,今までにないほどの治療法を私たちの分野にもたらした。この爆発的な数の治験の存在により,新しく神経科医としてゼロからエビデンスに基づく医療の専門知識の構築を開始することがさらに困難になっている。すべての医師にとって,患者に何をすべきか,そしてなぜそうするのかをみつけ出すことは終わりのない過程であり,インターンから1年目の神経科医へと移り変わる時期や,初めてチームを率いようとしている新しいシニアレジデントといった特定の人々にとっては特に手強いものになる。総合診療医として初めて開業するような場合においても,熟練した学術的な専門家としてこれからの1 か月間病棟に勤務することに備えている場合でも,臨床神経学の基本的な研究についての自らの知識に対して自信をもてるようになることは容易なことではない。
 1冊だけで,何年も読書をして臨床経験を積むことでのみ培われる知識を提供できる本などない。しかしながら,“Oxford's 50 Studies”シリーズの精神として,臨床に影響を与えた重要な治験を紹介することがこの本の目的である。この本は,回診や症例検討会に出席する者に,「なぜ」,「何を」という考えについてより自信をもってもらうための出発点として書かれた。意図的に,それぞれの章は1つもしくは複数の治験を要約している。仕事で忙しいレジデントでも十分に消化できるほど短いフォーマットではあるが,包括的にアプローチしており,その結果だけでなく,それぞれの治験がどのように一般化できるか,についてきちんと説明した。実際,要約されている論文のいくつかは,すでに私たちが行っている標準的な医療とは異なるが,その当初の影響力は劇的であり,いまだに,特定の疾患をどのように治療したらよいのかについて,その考え方を雄弁に物語っている。神経疾患の治療を関連づけて理解し,膨大な情報量からなる臨床の神経学をもう少し理解しやすくする助けとなることを願っている。
 このような本をまとめ上げるうえでの最大の問題は,50の研究にどの研究を取り上げるのかということである。この本で研究を選択する際には,米国内の神経学の教育者からなる委員会による査読を経たのであるが,肝心な点は,回診で頻繁に登場するような研究を単純に選ぶということであった。公平かどうかはわからないが,大規模な多施設共同研究の数の多い専門分野も重要視した。目次を一目みれば,この本は入院患者の診療,特に脳血管障害にとても重きをおいていることがおわかりになるだろう。ある専門分野の研究の紹介がとても少ないという事実は,神経学においてその分野の重要性が小さいということを反映しているわけではない。むしろ,良かれ悪しかれ,圧倒的に患者数が多いために,ほとんどすべての神経科医には,脳卒中患者の診療を行う責任があることを認識いただきたい!
 私たちはこの初版本がまだ発展途上にあると考えている。この本に選ばれた,もしくは選ばれなかった研究について,読者の方々のご意見をぜひうかいたいし,この本が将来も版を重ねること,そしてその内容を改善する機会のあることを信じている。影響の大きい研究について議論を始めることは興味深いことではあるが,研鑽を積み始める方にとってこの本がエビデンスに基づく臨床神経学を少しでも受け入れやすくする基礎となれば,と思う。本書を選択いただき感謝します。本書があなたにとって有用となることを願っています。

David Y. Hwang, MD
David M. Greer, MD, MA

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