循環器研修テクニカルノート 虚血性心疾患 - 臨床を上手に行うための「頭と実地」のテクニック -

臨床での思考を組み立てる技術が「診療の質」を改善する!
循環器診療において、頭の中の知識をどう整理し、実際にどのように診療するか…。思考と実地をつなぐ実践的な技術を解説した、『心不全』に続くシリーズ第2弾。虚血性心疾患診療の基本を理解するだけでなく、症例を通じて具体的な臨床ストーリーを疑似体験しながら、必要となるテクニックの手ほどきが受けられる。循環器医・研修医はもちろん、心筋虚血に必ず遭遇する総合診療・救急・集中治療医にも必読の1冊。
¥5,500 税込
著: 七里 守 名古屋第二赤十字病院循環器内科部長
ISBN
978-4-89592-887-8
判型/ページ数/図・写真
A5変 頁284 図124・写真55
刊行年月
2017/7/5
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Part 1 診療の基本
A 虚血性心疾患の基本知識
 A-1 虚血性心疾患の疫学
 A-2 器質的冠動脈狭窄と心筋虚血
 A-3 冠攣縮─このやっかいなもの
B 生理検査
 B-1 心電図─胸痛症候群から急性冠症候群まで
 B-2 心エコーと虚血性心疾患
 B-3 ABIと虚血性心疾患の関係
C 画像検査
 C-1 CTの進歩は限りない
 C-2 MRIは心臓にとって特別な検査か
 C-3 心臓核医学─古くて新しい検査
D 侵襲的画像検査
 D-1 冠動脈造影─虚血性心疾患診療の基本中の基本
 D-2 冠動脈造影の実際

Part 2 急性期診療のテクニック
A 救急外来にて
 A-1 急性冠症候群を鑑別せよ
 A-2 Time is life─door to balloon時間を意識すべし
 A-3 救急外来での治療
 A-4 急性冠症候群の冠動脈造影前管理
B 循環器外来にて
 B-1 背景因子に注目する
 B-2 息切れは難しい
C 心臓カテーテル室にて
 C-1 冠動脈形成術─総論
 C-2 緊急カテーテルは循環器診療の華である
 C-3 冠攣縮誘発試験とそのタイミング
 C-4 Pressure wireが冠動脈形成術を変えた─新たな指標FFRmyo
 C-5 血管内超音波(IVUS)のない冠動脈形成術なんて
 C-6 光学干渉断層撮影法(OCT)を臨床応用する
 C-7 冠動脈造影と形成術時の合併症と対応
 C-8 放射線防護を考える
D CCUにて
 D-1 心原性ショックを管理する─低左心機能
 D-2 Forrester分類と右室梗塞
 D-3 急性心筋梗塞による心原性ショックと補助循環装置
 D-4 急性心筋梗塞の機械的合併症
 D-5 急性心筋梗塞直後の不整脈監視
E 循環器病棟にて
 E-1 冠動脈形成術後の評価と造影剤腎症
 E-2 ハートチームカンファレンス
 E-3 リハビリテーション

Part 3 慢性期診療と長期管理のテクニック
A 再び,循環器外来にて
 A-1 二次予防と薬物療法
 A-2 抗血栓療法の考え方
 A-3 脂質低下療法は冠動脈疾患のためにある
 A-4 糖尿病患者とどう付き合うか
 A-5 医療連携と慢性期の再評価─逆紹介の際の指示と患者教育

Part 4 処方のテクニック
A 虚血性心疾患に用いる薬物
 A-1 硝酸薬
 A-2 抗血栓薬
 A-3 レニン-アンジオテンシン-アルドステロン(RAA)系抑制薬
 A-4 β遮断薬
 A-5 カルシウム拮抗薬
 A-6 脂質低下薬

 心疾患は長きにわたり欧米諸国で第1位の死因でした。虚血性心疾患はそのなかでも重要な疾患でした。虚血性心疾患を対象としたテキストは数多くあり,ガイドラインが最も多く作成されている領域でもあります。すでに多くのデータやエビデンスが存在し,循環器内科後期研修医が学ばなければいけない知識も多いということです。情報の海に溺れるような領域かもしれません。よい診療のためには,平板な知識のなかからベッドサイドで重要な情報の強弱を体得することが必要です。ガイドラインでは,診療の推奨基準としてClass分類がなされているものの,一般論となりがちです。本書ではこれを補うために,症例を通じて若い循環器内科医がベッドサイドで実践してほしいストーリーを提示しました。
 本書では,虚血性心疾患に対する循環器内科後期研修医の“診療の質”を向上させるために必要な部分を中心にページを割くようにしました。虚血性心疾患では急性期の部分が大きくなります。急性冠症候群は突然発症するため,夜間・休日を問いません。救急外来のみならず,心臓カテーテル室・CCUでも,若き循環器内科医の働きがこの疾患に対する“診療の質”に直結します。冠動脈形成術が始まって40年が経過し,カテーテル治療の有用性に疑いの余地はありません。かつては急性心筋梗塞の院内死亡率は20%を超えていましたが,primary PCIは院内死亡率を劇的に低下させました。primary PCIは,循環器内科後期研修医が1日も早く習得したい技術でしょう。デバイスの改良により,冠動脈形成術は循環器内科後期研修医にも身近なものとなっています。ガイドカテーテルを冠動脈に挿入すること,病変部位にガイドワイヤーを通過させること,バルーンとステントにより病変を拡張することは,急性心筋梗塞の治療成績を改善するために重要です。問題は,手順通りprimary PCIが進まなかったときです。技術というと,デバイスを操作することに注目しがちですが,選択理由を踏まえて最適のデバイスを選択すること,冠動脈形成術の合併症を避けること,合併症からbail outすることも“技術”です。困難な局面を打開するために“技術”が求められます。本書で取り扱う“技術”とは,知識を有機的に結び付け,心臓カテーテル室で,外来で,ベッドサイドで,“診療の質”を改善するために思考を組み立てる技術です。
 本書は,臨床の第一線で働き学ぶ後期研修医が実践的な知識と“技術”を手に入れられるように企画された単行本シリーズの一部です。初級者が指南書の字面を追っかけても,すぐには実践できません。文章にまとめられた手先の技術を理解することは,なかなか難しいものです。技術は現場で習得することが最も効率が良いのです。その技術を習得した後で指南書を読み返すとよく理解できる,という皮肉な現実があります。当科にも,毎年多くの初期研修医と若干名の後期研修医が来てくれます。手に入れなければならない知識と技術は増えるばかりであるにもかかわらず,研修期間は今も昔も同じようなものです。時は待ってくれません。本書を通じて,循環器内科を志す一人でも多くの若い医師たちが,自分が学んできたものの“いいとこ取り”ができれば,本書の目的は達成です。
 私も,学生時代から多くの方々に教えを受けました。その結果,今の自分と本書があります。聖路加国際病院の研修医時代には,山科章先生(現・東京医科大学医学教育推進センター教授)から循環器診療のあり方を教えていただきました。心電図を夜な夜な判読したことは,循環器内科医としての礎となっています。向井済先生(現・新横浜循環器科・内科院長)には,緊急カテーテルの素晴らしさを教えていただきました。循環器診療の“華”と今でも思えるのは,その頃のおかげです。名古屋第二赤十字病院に移った後,平山治雄先生(現・今池メディカルパーク院長)から「良きインターベンショニストの条件はどれだけ“引き出し”をもっているかだ」と言われました。“引き出し”とは,まさに“技術”でした。室原豊明先生(現・名古屋大学循環器内科教授)からは「先人の知恵を使うだけではなく,次の人のために新しい何かを作りなさい」とご指導いただきました。本書が次の循環器内科医に役立つことを祈っております。
 最後に,本書を作成するにあたり,当院の医療技術部・栄養課のスタッフから専門職としてご助言をいただきました。循環器診療はチーム医療であることを改めて教えられました。この場を借りて御礼申し上げます。院内外の学会や勉強会において虚血性心疾患の発表を何度も行ってきましたが,口述したことを文章にまとめることと書籍にまとめることでは,想像以上に距離がありました。メディカル・サイエンス・インターナショナル編集者の染谷繁實さんには,本書を書き上げていく際のハードルを越えていく架け橋となっていただくとともに,私の散文を流れるような文章と章立てにしていただきました。良き本は良き編集者とともにあることを実感しました。ただ感謝あるのみです。

2017年5月
七里  守

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