チャンドラセカール 移植・免疫不全者の感染症

免疫不全患者の感染症マネジメントに寄与する決定版テキスト
がん、固形臓器移植、造血幹細胞移植、免疫抑制薬使用などにより免疫不全状態にある患者の感染症診療に関し、81の症例を通して必要不可欠な知識を網羅、解説。各章は症例提示、鑑別診断、治療とその経過、最終診断、ディスカッションなどの順に展開、高度な知識や経験が必要とされる免疫不全患者へのアプローチや思考過程を学ぶことができる。感染症科はもちろん、総合診療科、移植外科、腎臓内科、血液内科など免疫不全患者に関わるすべての医師に幅広く有用。
¥13,200 税込
原著タイトル
Infections in the Immunosuppressed Patient:An Illustrated Case-Based Approach
監訳: 青柳 有紀 Consultant Physician(General Medicine and Infectious Disease), Whangarei Hospital, Northland District Health Board, Honorary Lecturer in Medicine, The University of Auckland, New Zealand 兒子 真之 Assistant Professor, Division of Infectious Diseases, Department of Internal Medicine, The University of Texas Health Science Center at Houston, McGovern Medical School, Houston, Texas, U.S.
ISBN
978-4-89592-898-4
判型/ページ数/図・写真
B5変 頁400 図21・写真218
刊行年月
2017/9/27
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SECTION 1 がん患者の感染症
イントロダクション 固形腫瘍,リンパ腫,白血病患者における感染症 (造血幹細胞移植患者以外)
1.1 下肢浮腫の苦悩
1.2 先生,私は病気になってばかりです
1.3 バリケードの向こうには何が潜んでいるのか?
1.4 食物性抗菌薬の黙示録
1.5 好中球減少患者の虫垂炎ではない
1.6 肺病変,皮膚病変,脳病変―何てこった!
1.7 好中球が減少した白血病患者の肺腫瘤: アスペルギルス症を超えて
1.8 珍しい非典型的な桿菌が主流になるとき
1.9 私の右側はどうしたんですか,先生?
1.10 血液腫瘍患者に芽を出す頭痛
1.11 弱小グラム陽性球菌の驚きのリベンジ
1.12 好中球減少性発熱中の上気道症状
1.13 好中球減少のある白血病患者における多数の皮膚病変: 点と点をつなげ
1.14 新たな「赤潮」: 免疫不全患者における多剤耐性グラム陰性感染症
1.15 肉腫の患者における咳嗽と呼吸困難: 「感染への欲望」
1.16 悪いニュース:ブレークスルー真菌血症
1.17 体中にできた痛みを伴う皮疹
1.18 がん患者の傷:薬に気をつけろ!
1.19 土壌に潜む危険: 農夫に起こった肺病変と皮膚潰瘍
1.20 赤く燃えたぎる混乱

SECTION 2 固形臓器移植レシピエントに おける感染症
イントロダクション 固形臓器移植レシピエントにおける 感染症
2.1 シアトルでの息切れ
2.2 金目鯛的咳嗽
2.3 肺に点々が
2.4 脳に点々が
2.5 紫色をした皮膚の瘤
2.6 受け入れるべきか,受け入れざるべきか
2.7 ぼやけた視界とバランスの問題
2.8 「緑の指」よりもずっと
2.9 何てひどい頭痛だ
2.10 またこの時期が来てしまった
2.11 ヘモグロビンはどこまで低くなったのか?
2.12 肝臓移植のアキレス腱
2.13 移植の怪物は頭をもたげる
2.14 時々,それはバイキンよりも クスリだったりする
2.15 T細胞が眠っている間に
2.16 ちょっとした予防
2.17 クルーズ船の土産物

SECTION 3 造血幹細胞移植患者の感染症
イントロダクション 造血幹細胞移植患者の感染症
3.1 移植後早期のひどい下痢
3.2 予期せぬトラブル
3.3 腫れた眼
3.4 移植病棟での息切れ
3.5 失敗から学ぶ: よくならない頑固なアスペルギルス症
3.6 鼻風邪男は再びやってくる
3.7 ムコール症:まれだが恐ろしい敵
3.8 空気中に何かいる
3.9 息ができない
3.10 終わっていなかった問題: アスペルギルス症の既往
3.11 堤防が決壊するとき
3.12 頸部のしこり
3.13 ひどくタチの悪い酵母感染症
3.14 進むべきか進まざるべきか: 肝炎の既往がある移植適応患者の評価
3.15 移植患者のあまりにもありふれた腹部の大惨事
3.16 移植後の女性の問題
3.17 一度目が成功しなくても, 繰り返しトライしろ!
3.18目を覚ました敵
3.19 熱波
3.20 移植7カ月後の腹痛

SECTION 4 免疫抑制薬使用患者における 感染症
イントロダクション 免疫抑制薬使用患者における感染症
4.1 硬結に仰天
4.2 ネコとネズミのゲーム
4.3 水槽にご用心
4.4 加工食品の危難
4.5 塵が積もるとき
4.6 飲み込むのが困難な錠剤
4.7 建築工事災害
4.8 呼吸困難な外交官
4.9 ハッと息を飲む
4.10 諸刃の剣
4.11 本を表紙で判断するな
4.12 標的をとらえる:標的病変
4.13 多発性硬化症治療:敵か味方か
4.14 生物学的製剤を使うときには準備(B)しろ
4.15 予防接種してもいいですか?

SECTION 5 さまざまな原因による 免疫抑制患者での感染症
5.1 どうして私の感染症は治らないの?
5.2 なぜ鼠径部におできが…?
5.3 ドライブライン感染症,ポケット感染症, もしくは感染性心内膜炎?
5.4 肺炎治療中に起こったせん妄
5.5 骨髄移植病棟の工事
5.6 Clostridium di cileが再発し続ける: 肝臓移植レシピエント
5.7 特発性CD4陽性リンパ球減少症:めまいと頭痛
5.8 意識障害:メラノーマの患者
5.9 感染した臓器移植提供者 ―どうするべき?

はじめに
“immunosuppressedpatient(「免疫不全」または「免疫抑制」患者)”。それは一見,均一のカテゴリーのように思えるが,そのホストの免疫状態と病原体により,無数の異なる病態と臨床像を引き起こす複雑な患者の集団である。
臨床感染症の領域でも,特に移植感染症など,免疫不全患者における感染に適切に対応するためには,この分野に特化した高度な知識と経験を必要とする。米国でも,この領域は専門分化される傾向にあり,施設によっては移植感染症のみを専門的に扱う感染症医がいたり,それ以外を扱う一般的感染症医との役割を区別するところもある。米国における感染症の専門医教育(フェローシップ)は通常は2年間だが,近年は,その後にさらに1年間かけて移植感染症を専門的に学ぶためのアドヴァンスト・フェローシップ・プログラムもみられるようになってきた。
本書は,2016年にオクスフォード大学出版から刊行された,免疫不全患者における感染症を学ぶための決定版ともいえるテキストである。悪性腫瘍,固形臓器移植,造血幹細胞移植,免疫抑制薬の使用などで免疫不全状態にある患者における感染症に関して,豊富な症例に基づいて,重要な知識を網羅し,実際の診療に役立つパールが随所に散りばめられている。
各章は,まず症例提示,鑑別診断,診断検査結果,最終診断という順に展開し,読者は一流のスペシャリストたちのアプローチや思考過程を学びつつ,自らの診断力を試すことができる(かなり難解な症例もある)。そのうえで,最終診断に関連した知識を深く学べるよう巧みに構成されている。本書を理解することにより,読者はそのホストと病原体により表情を変える臨床像を体感し,日常の臨床レベルを大幅に向上させることができるであろう。これだけの情報量と価値をもった免疫不全患者における感染症を学ぶための成書は,類書も含め,現時点において日本に存在しない。また,米国においても,このように「免疫不全」患者を細分化し,比較,まとめたものはない。これこそ,私たちが本原著の翻訳を決意した理由に他ならない。訳出においては担当者の決定を含むあらゆる段階で細心の注意を払った。訳者はすべて,本書が刊行された米国の,移植センターを有する施設で感染症の専門医教育を受けている。訳出に際し,用語の統一や文体の一致を図るため,青柳,兒子がそれぞれ監訳を行った。また,日米の医療事情の違いを考慮し,必要に応じて訳注を加えるなどし,読者の理解を促すよう配慮した。
本書が,日本で免疫不全患者の感染症診療に携わる1人でも多くの医療従事者の力となることを強く願っている。
本書の刊行にあたっては,編集を担当して下さったメディカル・サイエンス・インターナショナルの佐々木由紀子さんに大変にお世話になった。この場をお借りし,訳者を代表して彼女に深く感謝したい。
2017年春
青柳有紀,兒子真之


原著序文
“Whataprofessionthisisthisdailyinhalationofwonder(何という職業だ―日々,驚きを吸い込むばかりだ)”という,フランスの発生学者JeanRostrandの言葉に出合った。免疫機能の弱った患者の日常診療に深くかかわるにつれ,読者がこの言葉とのつながりを意識することを確信している。本書,“InfectionsintheImmunosuppressedPatient”は,そういった探究からできあがった産物である。鮮明で消えることない記憶とともに,疾患のマネジメントにおける非常に重要な原則を私に教えてくれた多くの患者にこの本を捧げたい。どんなに控えめにいっても,彼らの命は無駄ではなかった。
この本は,免疫の障害された患者の一般的な臨床カテゴリーとして認識されている5つのSectionからなる。症例は,まれすぎず,難解すぎないように慎重に選ばれている。その一方で,一般的かつ特徴的な病原体のさまざまな臨床像を強調している。病原体が同じであっても,大胆に変化する観点と臨床像を全Sectionにわたって表現している。病原体の重複がSection間においてみられるのは,それぞれのホストで臨床像にわずかな変化が生まれることを強調するためである。本書の目指すところは,独特な免疫機能不全を伴う患者を診る外来や入院病棟で日々みられる一般的な臨床シナリオを,読者に感じ取り,願わくばその適切なアプローチを取り入れてもらうことである。
本書中のほとんどの症例を通して,こういった患者のマネジメントにおいて非常に重要となる6つのコンセプトが繰り返されている。まず第1に,感染症の原因を考えるうえで,ホストの原疾患が果たす役割,その免疫機能の強健さもしくは脆弱さ,そして処方される治療を理解することは非常に重要である。さらに,こういった要因を踏まえることは,診断と治療においても必要となる。第2に,免疫が健常なホストとは違い,一般的あるいは非典型的な病原菌の双方が免疫不全ホストにおいては登場する。そのため鑑別診断のリストは多くなり,早期に正しい診断にたどり着くのは難しい。第3に,いくつかの非感染性の原因も,感染症の臨床像に類似することがある。この可能性を認識し損なうと,しばしば不必要な侵襲的/非侵襲的な診断検査や,潜在的に毒性のある薬剤の投与をもたらし,さらにはすでに脆弱なホストの健康を損なうことになる。第4に,適切な診断や治療の選択,あるいは侵襲的か非侵襲的かの選択において,賢明な臨床的判断が必要となる。正確な早期診断の必要性が,診断検査に関連するリスクを上回る必要性がある。入院や手技にかかる費用,薬剤にかかる費用といった“econotoxicity”は小さくない[訳注:economyとtoxicityを合わせた著者の造語と考えられる]。第5に,治療において経験主義を避けることは常に賢い選択ではあるが,重症な患者や侵襲的手技を受けるような患者では,経験主義が賢明な選択であったり,それしか選択肢がないことがある。免疫不全患者が入院している病棟において,抗菌薬耐性が蔓延していると判明したときには,広域なエンピリカルな治療が避けられないことがある。そのような状況下においては,エンピリカルな治療の期間を絶えず気にする必要がある。最後に,臨床的な判断に基づき適切な時期に介入を行うことが,よいアウトカムをもたらすのに非常に重要である。早すぎず,そして遅すぎずに。
本書のデザイン上,ヒト免疫不全ウイルス(humanimmunodeciencyvirus:HIV)感染者と原発性免疫不全患者は含まれていない。願わくば,これらの分野に関しては将来取り扱うことができればと思う。各Sectionの編集者に,非常に大きな恩義を感じている。彼らは非常に深い洞察と知識をもち,「完璧な」症例を慎重に選んでくれた。各症例の執筆者のわかりやすい症例提示とそのすばらしい描写に,心より感謝している。
出版社であるOxfordUniversityPressには,このプロジェクト開始から最もサポートしていただいた。彼らの激励とサポート,そして最も重要なことに忍耐強さを非常にありがたく思っている。

2018-05-16

【正誤表】下記の箇所に誤りがございました。ここに訂正するとともに, 読者の方々に深くお詫びいたします。

50ページ右段上から12行目
(誤)造影硬化
(正)造影効果

2017-10-03

【正誤表】下記の箇所に誤りがございました。ここに訂正するとともに, 読者の方々に深くお詫びいたします。

118ページ下から2行目
(誤)MRSA
(正)MSSA

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