ワシントンマニュアル 患者安全と医療の質改善

指導医と研修医のコラボによる、現場で役立つ「医療安全」本
世界で圧倒的な支持を受ける「ワシントンマニュアル」シリーズに「医療安全」が新登場。各章ごとに症例と問いかけを提示して、基本的な考え方から臨床現場での具体的なアプローチ、役立つ情報やツールを簡潔にまとめる。指導医と研修医がペアとなって執筆するシリーズの伝統は健在。ワシントン大学で研鑽を積んだ監訳陣が贈る、日々医療エラーと隣り合わせの医師、看護師におすすめの1冊。

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『ワシントンマニュアル 患者安全と医療の質改善』電子版

¥5,500 税込
原著タイトル
The Washington Manual of Patient Safety and Quality Improvement
監訳: 加藤良太朗 板橋中央総合病院 副院長/総合診療内科 主任部長 本田 仁 東京都立多摩総合医療センター感染症科 医長
ISBN
978-4-89592-904-2
判型/ページ数/図・写真
A5変 頁448 図・写真54 表79
刊行年月
2018/5/31
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1 患者安全および医療の質改善とは
Section 1 医療の質
2 医療の質改善とは
3 医療システムに高い信頼性を築く
4 質改善と患者安全のためのツール
5 医療の質のモデル
6 責任性と報告
7 医療IT
8 回避可能な傷害
9 医療関連感染症
10 コーディングと診療録記載
Section 2 患者安全
11 患者安全序論
12 安全文化
13 事象分析
14 有害事象と医療エラーの開示:患者・家族・医療従事者支援
15 チームワークとコミュニケーション
16 ヒューマンファクター
17 認知と意思決定
18 患者安全を改善するツール
Section 3 さまざまな医療現場での患者安全
19 手術および手技における領域
20 産科領域における患者安全および医療の質改善プログラムの設置
21 麻酔における患者安全と質改善
22 集中治療
23 救急外来における患者安全
24 小児科における患者安全
25 医学画像
26 外来診療における患者安全と医療の質
27 精神科に関連した患者安全の問題
28 臨床検査,輸血医療,および解剖病理
29 投薬安全性
30 ケアの移行と再入院
31 放射線腫瘍学における患者安全

監訳者序文

米国では医療事故が死因の第3位になっているといわれる。病を治して貰うために病院に訪れたはずの患者が,病によってではなく,医療事故によって亡くなっているというのは何と皮肉なことであろうか。わが国では同じような規模の統計が存在しないため,比較はできないが,おそらく医療事故は少なくないだろう。臨床現場で働いていると,患者安全と医療の質改善のためには,やるべきことは山ほどあるのに,なかなか一歩を踏み出すことができない。問題の1つは,どこから,どのように手をつけてよいのかわからないことにもある。したがって,本書のような,患者安全と医療の質改善についての実用的な教科書は重宝する。
ワシントンマニュアルの魅力は,熟練した指導医の叡智と,若くてエネルギー溢れるレジデントがペアになって各章を執筆している点である。豊富な知識が凝縮されているが,あくまで現場で使える形で提供されている。本書も同様である。
私は2001年から2013年までワシントン大学医学部内科で勤務した。その12年間にお世話になった指導医と,自分の教え子である若手医師たちが共同で本書を執筆してくれたことは非常に感慨深い。なぜなら,私が内科のアテンディングとしてレジデントや医学生を指導していたとき,最も強調していたのは,患者安全と医療の質改善についてだったからである。
野球の世界では,「ホームランは観客を呼ぶが,勝利を呼ぶのは優れた守備である」というらしい。医療の世界も同様ではないだろうか。すなわち,「ミラクルは患者を呼ぶが,予後をよくするのは安全な医療である」と思う。安全な医療,質の高い医療を提供するためには地味な努力が必要であり,派手さがないために,それをキャリアにしようという若い医師は多くない。しかし,患者にとって何がよいのかを考えると,それは決して惜しむべき努力ではないことは明白である。ワシントン大学の後輩たちが,それを理解し,少しでも多くの医療従事者が患者安全と医療の質改善に興味を持ち,身近に感じ,医療現場に活かすことができるように書いたのが本書である。
本書の翻訳版を出版するにあたり,医療従事者以外も含めて,各分野や施設で活躍する若きリーダーたちが積極的に参加してくださった。それだけ医療界,そして一般社会からも患者安全と医療の質改善への注目が集まっている証拠である。その責任の重さを感じながら,丁寧に監訳させていただいた。本書が,わが国における医療のさらなる発展に少しでも貢献できることを切に願う。
最後に,メディカル・サイエンス・インターナショナル社の堀内仁様,綱島敦子様,そして長沢雅様に感謝したい。患者安全と医療の質改善は比較的新しい分野であるため,訳す日本語が存在しないことが多く,大変苦労した。誰も病人が出ず,安全な翻訳ができたのは3名の弛み無い努力によるものである。
明日の医療のために
加藤良太朗


監訳者序文

患者安全と医療の質は誰のためのものか?

先進国では医療は高度に発展し,過去に治癒が困難である症例も治癒を迎えたり,治癒に至らなくても患者が満足する形でソフトランディングするような事例が見られるようになってきている。その過程において医療はただ提供されればよい時代から,より質の高い形で,安全を担保した形で提供されるべき時代に突入している。米国において,医療における有害事象の発生頻度を種々のデータから把握することが行われている。ある研究では入院患者における有害事象は100入院あたり25件程度起きており,そのトレンドに大きな変化はないことがいわれている。有害事象の把握は最重要だが,必ずしもそれは容易な作業ではない。ましてやその有害事象の把握から改善に導くことはさらに困難を伴う。
本書“The Washington Manual of Patient Safety and Quality Improvement”にはこの分野についての実践的な内容から,関連した歴史,哲学,必要な思考,知識など包括的な内容が惜しみなく提供されている。原著は各分野で患者安全,医療の質改善の活動にかかわるWashington Universityの医師を中心に執筆されている。
私自身も米国の別の内科プログラムを修了後,ワシントンマニュアルシリーズを発刊しているWashington Universityで2年間の感染症フェロー,1年間の病院疫学フェローを修了した。病院疫学フェロー中は医療関連感染症対策を専門に学び,この分野は患者安全,医療の質と密接に関連する。医学部長として名前のあるVictoria Fraserは私の感染症フェロー時代の感染症科Division Chiefであり,感染症診療と患者安全の多くを彼女から学んだ。第二著者のMichael Laneは同期の仲の良い感染症フェローであり,彼はPatient Safety Officerとして同大学の基幹病院で活躍している。
患者安全と医療の質が高いということは第一に患者のためである。ただ有害事象が起きた際にそれを把握し,反省と振り返りを行い,改善に導き,次のステージに駆け上るという営為は私たち自身のためにも必要である。本書にはそれがどのようになされるべきか必要なtipsが各項目にちりばめられている。なお医療提供の形態の違いから日本の現状にそぐわないと感じる事項もあるかもしれない。その点は米国の医療ではどのように患者安全と医療の質改善を進めているのか,コンセプトを参考にしていただければありがたい。
最後に,類書が少ないなか,本書の日本語版を出版するにあたり,各章の翻訳の先生方,メディカル・サイエンス・インターナショナル社の堀内仁様,綱島敦子様,長沢雅様,佐々木由紀子様の多大なるご尽力をいただいた。あらためて御礼申し上げたい。ぜひ手にとってご覧いただき,日々の現場に役立てていただければ幸いである。
本田仁


原著序文

世界中で,医療従事者は,患者の健康と生活の改善に日々向き合っている。ときには最善を尽くしても目標を達成できないこともある。それどころか,患者に害を及ぼすことさえある。あまりにも長い間,そのような間違いやエラーは,同僚の医療従事者や病院,患者,一般市民の手には届かないところにあった。その間,患者安全と医療の質改善に従事する人々は,システムおよびプロセスの改善,エラーの防止,傷害が発生したときの開示に関する透明性の向上に尽力してきた。
本書“The Washington Manual of Patient Safety and Quality Improvement”では,患者安全と医療の質改善の基本的な考え方について網羅的に概説するだけにとどまらず,これらの原則を臨床現場に応用する際の具体的な方法について考察を加える。各章の冒頭では症例を紹介し,読者への問いかけを行っている。そのねらいは,患者安全および医療の質改善の原則を臨床現場にいかにして応用するか,その方法を提示することにある。各章の章末には文献リストを設け,個別のテーマに関してさらなる情報が得られるようにした。本書は,ワシントン大学の各学部に所属する多くの教員の協力により生みだされた。現代の医療システムでは,患者安全および医療の質改善に向き合うには,多職種連携の専門家集団による効果的なアプローチが欠かせない。実際,本書の制作にあたり,多様な専門領域や背景を持つ専門家の協力を得られたことは,現代の医療システムにおけるこうした原則を裏付けている。
本書は,医療に携わるすべての人に向けられている。患者安全および医療の質改善を初めて学ぶ人にとっても,経験豊富な人にとっても有用である。本書は,白衣のポケットに入れて持ち運ぶこともできるし,オンライン情報へアクセスしたり文献を参照するための参考資料として使用することもできる。医療従事者がそれぞれの知識とスキルを習得し,患者安全と医療の質改善に積極的に取り組むための貴重なツールとして本書が役立つことを,我々編者は願ってやまない。
初の試みとなる患者安全と医療の質改善のマニュアル制作にあたって,多くの方々に感謝したい。まず,医学部の責任者であるVictoria Fraser医師とAlex Evers医師は,優れた医療を患者に提供し,具体的なロールモデルとして行動するよう,我々を励ましてくださった。著者である我々3人の部門長にあたる,Melvin Blanchard医師,William Powderly医師,Rene’Tempelhoff医師は,このような試みが成功するよう導いてくださった。シリーズ編者のTom De Fer医師には,本書の構想から発行に至るまで,すばらしい示唆を与えていただいたとともに,日々ご指導いただいた。
Katie Sharp氏には,進行を厳しく管理していただいただけでなく,最大限の援助をしていただいた。
最後に,それぞれの家族に感謝したい。Emily Fondahnより──AndyとCaroline,君たちは私が本書を編集していた長い間,そっと支えてくれた。Dean Fondahn医師には,良医とは何かを,その姿をみて学ばせていただいた。Mike Laneより──Laura,Sara,Alexは,長い間,家庭生活やいろいろなことが疎かになりがちななか支えてくれて,理解を示してくれた。父のHalと母のJulie,あなた方は公平と正義を貫いたという点で理想のロールモデルだった。Andrea Vannucciより──妻であり同僚でもあるLauraは,セントルイスでの家庭生活を立て直してくれた。父のOrnellaと母のRodolfoは,遠くイタリアから私を励ましてくれて,初めてのWashington Manualへの参画を応援してくれた。兄弟のEnricoと,子どもたちのBianca,Pietro,Angelicaには,多くのアドバイスをくれたことに感謝したい。
Emily Fondahn,Mike Lane,Andrea Vannucci

2019-05-31

【正誤表】下記の箇所に誤りがございました。ここに訂正するとともに, 読者の方々に深くお詫びいたします。

9頁  章末の「文献」5
(誤)Emanuel LBD,
(正)Emanuel L, Berwick D,

103頁 「予防」の項,最終行
(誤)5.9症例/カテーテル日数2.6へと減ったと報告されている。 
(正)1,000カテーテル日あたり5.9症例から2.6症例に減少したと報告されている。

107頁 下から9行目
(誤)ベンゾジアゼピン系抗菌薬などの鎮静薬
(正)ベンゾジアゼピン系などの鎮静薬

167頁 下から13行目
(誤)「タラレバ」の質問(侵入反射)
(正)「タラレバの質問(侵入的な自省の念)」

345頁 上から 6行目
(誤)(quality not sufficient : QNS)
(正)(quantity not sufficient : QNS)

360頁 上から10行目
(誤)投薬エラーの重大性かつ範囲も非常に広く,すべての医療エラーにおける重大な一因となっている。
(正)投薬エラーはとてつもなく深刻かつ範囲も広く、医療エラー全体に占める割合も非常に大きい。

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