Hospitalist(ホスピタリスト)2019年4号

特集:内科エマージェンシー

ERにおける時間軸とエビデンスを重視したDecision Making

日本の救急外来では,米国のように救急医がすべての患者の初診に携わることはまれで,内科系疾患は内科系の医師が救急対応をしている施設が多いのが現状です。「臓器横断的な知識をすべてもっていなければ内科救急に対応できないのか?」という問いの答えは「否」であり,「内科の知識さえもっていれば救急に対応できるのか?」という問いの答えもまた「否」です。

救急対応において最も重要なのは患者の命を失わないこと,すなわち蘇生です。そこで本特集では総論として,救急患者の管理で必須のABCD(気道・呼吸・循環・中枢神経)の維持をまとめます。加えて,致死的疾患の適切な初期診療ができる能力,致死的疾患を適切に除外できる診断能力をもつ必要があります。そこで各論では,救急外来でよく遭遇する症候における代表的な致死的疾患を,非専門医であっても適切にマネジメントできるようにまとめます。また,救急外来で知っておくと医療の質をより高められる知識をコラムとして取り上げます。

「科学的裏づけのある診療方針とは何か」に加えて「エキスパートは実際にどうしているか」をバランスよく融合し,ERにおける時間軸(クロノロジー)とエビデンスを重視したDecision Makingができるような,実践的な特集を目指します。特に初期研修医~内科・救急科専攻医の先生方にとって役立つものになれば幸いです。



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¥5,060 税込
責任編集: 舩越 拓 東京ベイ・浦安市川医療センター 救急集中治療科 救急外来部門 森 浩介 横浜市立市民病院 救命救急センター 石丸 直人 愛仁会明石医療センター 総合内科
ISBN
978-4-8157-0081-2
刊行年月
2020年2月
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はじめに|時間軸とエビデンスを重視したDecision Makingで内科エマージェンシーを制す!
  舩越 拓 東京ベイ・浦安市川医療センター 救急集中治療科 救急外来部門

総論(CPA+バイタルサインにかかわる異常)
1. 心肺蘇生:判断の流れを押さえつつ,最新知見と周辺知識をまとめる
  本間 洋輔 東京ベイ・浦安市川医療センター 救急集中治療科 救急外来部門
[ミニコラム①] 死亡診断書と死体検案書:「異状死」なのか否か? 死亡確認後の対応を整理する
  本村 あゆみ 国際医療福祉大学医学部 法医学
2. 上気道狭窄/閉塞の評価と初期対応:上気道閉塞を避けつつ,超緊急事態の対応も理解しておく
  林 実 福井県立病院 救命救急センター
3. 救急外来における緊急気道管理入門:ルーチンを行うことで気持ちを落ち着かせ,次に何をすればよいかを考える
  東 秀律 日本赤十字社和歌山医療センター 第一救急科部
4. 呼吸不全の評価と初期対応:SpO2だけに頼らない現場での評価から酸素療法まで
  加藤 之紀 JA広島総合病院 救急・集中治療科
5. ERから始める人工呼吸管理とNIV/HFNC:呼吸補助導入時の決断とその後の戦術
  井上 彰 愛仁会明石医療センター 救急科
6. ショックの初期評価と蘇生:4つのショックの判別と治療開始で注意すべきポイント
  三反田 拓志 東京ベイ・浦安市川医療センター 救急集中治療科 集中治療部門
7. 出血と輸血戦略:出血性ショックを認識した段階ですみやかに大量輸血プロトコル(MTP)を発動
  小山 泰明 筑波大学附属病院 救急・集中治療部
8. 意識障害:決められたアプローチでERでの原因精査を迅速に行う
  藤井 修一 聖マリアンナ医科大学 救急医学

各論(緊急度と頻度の高い疾患を中心に)
9. 頭痛:脳動脈瘤の再破裂予防もふまえたSAH疑いにおける初動
  鱶口清満・山上 浩 湘南鎌倉総合病院 救急総合診療科
10. 痙攣:3ステップで立ち向かう「てんかん重積状態」初期診療のエッセンス
  鈴木 秀鷹 武蔵野赤十字病院 救命救急科
  江川 悟史 TMGあさか医療センター 神経集中治療部/脳卒中てんかんセンター
[コラム①] 非痙攣性てんかん重積状態(NCSE):疑うべき臨床所見,留意したい脳波検査の要点をつかむ
  鈴木 秀鷹
  江川 悟史
11. 呼吸困難:潔さと思考の柔軟性を大事にしながら心不全,COPD・気管支喘息に臨む!
  濱 義明・加藤 陽一 熊本赤十字病院 救急科
12. Killer chest pain:急性冠症候群,急性大動脈解離,肺塞栓症:専門家に渡すまでにできること
  村石 真起夫 東京ベイ・浦安市川医療センター 循環器内科
13. 失神:心房細動による失神,徐脈性失神を見たらどう動くか
  安藤 裕貴・松窪 将平・丹野 翔五 一宮西病院 総合救急部救急科
[コラム②] カリウム異常:高カリウム血症では診断より治療が重要
  瀬良 聡 広島市立広島市民病院 救急科
14. 急性腹症:AAA破裂をはじめ,ERで見逃したくない腹痛疾患のキモ
  坂本 貴志 東京ベイ・浦安市川医療センター 外科/東京大学大学院医学系研究科 公共健康医学専攻 臨床疫学・経済学
[コラム③] 代謝性アシドーシス:血液ガスの系統的アプローチとエビデンス:DKA・AKAを中心に
  関 藍 湘南藤沢徳洲会病院 救急総合診療部
  舩越 拓
15. 吐下血:初期評価,戦略の立て方を押さえて上部消化管出血に対応できるようになる!
  中山 由紀子 沖縄県立中部病院 救命救急センター
[コラム④] 低体温:偶発性低体温での評価,復温,原因検索のポイント
  佐藤 信宏 School of Public Health and Preventive Medicine, Monash University
16. 発熱:治療と診断を並行して行う敗血症,敗血症性ショックの初期対応
  近藤 豊 順天堂大学医学部附属浦安病院 救急災害医学
[ミニコラム②] 外科的介入が必要な感染症:緊急性が極めて高い壊死性軟部組織感染症
  田頭 保彰 東京都立多摩総合医療センター 感染症科

【連載】
JHospitalist Network
第11回JHNセミナー開催報告
総合内科医のための心不全セミナー:心不全患者で考慮すべき「3つの軸」から実践的な対応まで
   山下 駿 佐賀大学医学部附属病院 総合診療部
第11回JHNセミナー「心不全」補講
急性心不全における血行動態の適正化:目の前の患者のFrank-Starling曲線を推測し個別化治療をしよう!
   平岡 栄治 東京ベイ・浦安市川医療センター 総合内科
根拠のない習慣
第2回|若年女性の急性単純性膀胱炎を疑ったとき,尿定性検査はルーチンに必要か?
   小森 大輝 順天堂大学医学部 総合診療科学講座
Clinician Update
   官澤 洋平・石丸 直人 愛仁会明石医療センター 総合内科

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