外来診療によく効くBATHE法

 



素養もいらない。

時間もかからない。

SOAPと使うシンプルな『治療的対話術』

シンプル,でも「効く」! いつもの医療面接がガラリと変わる



【限定無料公開】「医療従事者自身の心のセルフケア」について





非専門医であっても容易に習得できる精神療法的アプローチ「BATHE*法」を実践に即して解説。この技法を体系的に身につけることにより、診察する医師に怒り・不信感といった強い陰性感情を持つ「難しい患者」や家族に対しても、医療面接をより円滑に行うことができる。患者応対に伴うストレスや疲労を感じる医師自身やスタッフに対する心理的セルフケアに関しても言及。研修医、臨床家の不安を払拭する一助となる書。 (*BATHE: Background[背景]・Affect[感情]・Trouble[問題]・Handling[対処]・Empathy[共感])



 

¥4,180 税込
原著タイトル
The Fifteen Minute Hour:Efficient and Effective Patient-Centered Consultation,6th Edition
監訳:生坂政臣 千葉大学医学部附属病院総合診療科教授
ISBN
978-4-8157-0194-9
判型/ページ数/図・写真
A5 頁280
刊行年月
2020年5月
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第1章 BATHE法: 患者中心の医療を実践するためのキーポイント
第2章 受診した背景まで視野を広げる
第3章 健康増進と慢性疾患の管理
第4章 短時間で行う治療介入とその効果
第5章 ブリーフカウンセリングのパール
第6章 15分のカウンセリングの構築
第7章 困難な患者への対応:患者と医師双方の痛み
第8章 良い面を強調する: BATHE法を肯定的に表現する
第9章 特別な状況,スタッフ, 自己決定権の確保をどう扱うか
第10章 まとめ:治療の統合,ライフスタイルの修正,成果の獲得

ひとつのことを長くやって高齢化すると,オマージュを含めて「何とかの達 人」と呼ばれるようになる。私も問診の達人と言われることがあるが,実際 には研修医時代から患者の話を聞くのは苦手で,好きな領域はデータで病態を把握できる集中治療と,身体診察で病巣を推測できる神経内科であった。 病歴が無駄話にしか聞こえなかった外来は嫌いだった一方で,話しをしなくて済む意識障害の患者には何時間でも向き合えた。しかしプライマリ・ケアに軸足を移してみると,大多数は軽症患者で,愁訴を説明するデータ異常も身体所見も見つけられず,その解決のために疾患感度が高い問診術を仕方なく磨いてきた経緯がある。
しかしながら疾患除外のための “closed question" 主体の病歴聴取はいきおい尋問調となり,傾聴とはほど遠い代物であったし,正しく診断しても症状改善に繋がらない症例が多数残った。これらの治療抵抗性の症例に共通していたのは心理社会的問題の複雑な関与であり,必要なのは患者と長く寄り添う全人的医療であったが,私にその素養はなく,また大学病院では継続診療自体が難しかった。そのような折りに出会ったのがBATHE法であり,その手法を診療に取り入れたとたん,短時間の対話だけで患者の症状が嘘のように軽減するようになった。自分から一番遠いと思っていた「赤ひげ」的診療に期せずして近づいていたのである。
BATHEとは,まず患者のさまざまな背景(Background)と,それに対する感情(Affect)を聞き,そのなかで最も悩んでいること(Trouble)を抽出さ せ,どのように対処(Handling)しているのか尋ね,最後にその苦労や努力に対して共感(Empathy)を示すだけのシンプルな面接技法だが,うまく患者に自らを語らせることができれば,これだけで症状軽減を期待できる治療的対話術である。
しばしばBATHEと対比されるSOAP(Subject, Object, Assessment, Plan)は「,患者がどんな病気に罹っているのか」を知る方略であり,等しく重要な「どんな患者が病気に罹っているのか」を把握するための方略がBATHEと言える。後者は多忙な外来で軽視されがちだが,短時間でのその把握を可能とした点でBATHEは画期的である。原著のタイトル “Fifteen Minute Hour" は, BATHEを行っても米国プライマリ・ケアにおける平均的な診察時間である15分間で全人的診療を展開できることを意味している。
SOAPとBATHEを短時間の診察にどのように組み込むかは症例による。 BATHEを「お風呂に入れる」, SOAPを「石鹸で洗う」に例えると, “BATHE" した後に “SOAP" したほうが垢を落としやすいが,体を洗わずに湯船に飛び込む行為は失礼にあたるかもしれない。心理社会的問題が明らかな場合はBATHEから入り,明確でない場合にはSOAPのさわり,つまりSの終了時にBATHEを入れるのがベストであろう。入浴に例えると「,まずは体を流して湯船につかり,それから石鹸で丁寧に洗う」というイメージである。
後先は別として,診察中にBATHEを施行しておくことは極めて重要である。SOAPのみ,すなわち疾患中心の診療は,その思考が無意識に患者に伝わり,その疾患が患者の潜在意識の中で確かなものに変容してしまうことがある。いわゆる予言の自己成就(本書第7章参照)である。私どもの外来に紹介される患者は,複数の医療機関で精査を繰り返された結果,疾患存在の確 信が解除不能になっているケースが多い。発症初期の段階でBATHEを行っておけば,心理社会的ストレスが症状発現の原因になりうることを患者に示唆しておくことができ,後の気付きを容易にする。無益なドクターショッピングをなくすためにも,初診時BATHEの重要性を是非とも指摘しておきたい。
本書は,傾聴したいが時間がないと悩んでいる医療者にはもちろん,薬物療法に限界を感じている方や,私のようにそもそも人の話を聞くのが苦手な人にこそ勧めたい一冊であり,多忙な外来においても全人的診療を可能にするこの治療的対話術の普及を願ってやまない。
2020年4月
生坂 政臣
千葉大学大学院医学研究院診断推論学 教授
千葉大学医学部附属病院総合診療科 科長

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