絶対失敗しない!臨床研究実践ナビ 臨床研究法時代のトラブル防止法教えます

データマネジメント? CRF? モニタリング?

PMDA・ARO経験者が語る 不正といわれないコツとテクニック



2018年施行の臨床研究法を踏まえ、臨床家でありPMDA(医薬品医療機器総合機構)とARO(研究支援部署)での業務経験のある著者が伝授する、臨床研究を「失敗しない」ためのコツとノウハウを収載したテキスト。研究の準備段階から、承認、開始~終了、社会実装に至るまでの遵守すべき一連の手順(研究作業工程)と付随する「掟」や御法度を手取り足取り解説。付録のプロトコル・同意説明文書・CRF などの雛形には「記載上の注意」を明記。迷いのない臨床研究をナビゲーションする一冊。

¥3,300 税込
菅原岳史 千葉大学医学部附属病院准教授
ISBN
978-4-8157-0195-6
判型/ページ数/図・写真
A5 頁224 図14 表9
刊行年月
2020年5月
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第1章 研究トレンドを探り,評価方法を工夫する
研究のトレンド(研究の分類から論文読解まで)
評価方法を工夫する意識

第2章 プロトコルを工夫する(研究立ち上げ段階)
プロトコルは臨床研究の設計図
リアルワールドとトライアルワールドの差別化
ベースラインにこだわる計画性
研究における仮説
評価項目の上手な使い方
多施設共同研究の極意
プロトコルを支える標準化

第3章 承認を得てから開始する
ガバナンスなき研究では研究者自身の身が危ない
研究スタート前の工程と倫理の意識改革
臨床研究法に目を向ける
利益相反マネジメント
研究者になるには施設内の許可証が必要
研究工程に欠かせないARO機能との取り組み

第4章 研究の作業工程(同意説明からモニタリングまで)
組み入れ作業
データ取り扱い対象の絞り込みから解析まで
モニタリングで作業工程の質を上げる
CRFはカルテからデータを運ぶためのアイテム
安全性情報の収集と報告
研究工程に潜む「運営上」のトラブル対策

第5章 結果を適切に発信する
監査についての基本的考え方
不適切な研究とは何かを理解する
データの良いとこ取りの発表はタブー
研究者のためのデータマネジメント
研究を終了させるにも手順が必要
論文化してからはコントロール不能となる

第6章 社会実装するためのレギュラトリーサイエンス
レギュラトリーサイエンス
橋渡し研究を目指す
PMDA相談
知っておくべき行政機関の業務や制度
研究運営リソースと契約
研究環境の整備

コラム
・私の「母校」PMDA
・文系スキルの活用
・左右ある臓器の場合どちらを用いるのか
・危機感をもつための怖い告発話
・調査が入る日
・ARO協議会

各種ドキュメントの雛形
1)研究実施計画書(プロトコル)
2)同意説明文書(ICF)
3)モニタリング計画書
4)症例登録票
5-1)症例報告書(CRF) 表紙と患者背景
5-2)症例報告書(CRF) 表紙
6)施設登録依頼書

知っておきたい臨床研究の必須用語
索引

以前の私は,本書で記載した多くを知りませんでした。同じような臨床医の方は多いと思うので,知って貰いたいという思いで執筆しました。
長年,大学病院の臨床医として手術や当直をしてきました。関連病院への出向時には,全科当直もしました。基礎研究で2年間アメリカに留学し,帰国後から治験や臨床研究にも結構携わってきました。その後,厚生労働省所管である医薬品医療機器総合機構PMDAに2年半勤務しました。大学復帰後はPMDAで得たスキルを活かせると, AROと呼ばれる研究支援部署の業務を5年半経験しました。このPMDAとAROの双方で経験したことを,以前の私は,ほとんど何も知らなかったのです。
臨床研究法に対応するには必須な知識であるにもかかわらず,私が知らなかった多くを,大勢の臨床医も知らないと感じることが多いです。研究者になる大半は臨床医ですが,医学部のカリキュラムになかったためか,医師になってからも,医局の上司や先輩から教わる機会がありません。PMDAやAROのスタッフ,製薬企業の方は知っている知識も多いのですが,臨床医に対しては,臨床医からのメッセージのほうが届きやすいと思っていました。PMDAやAROの声を,臨床医に届けることができればと思っていました。
知らなかった知識の例を示すと「,プロトコルに書いてないことはしてはいけない」ということ,反対に「プロトコルに書いていることはしなくてはならない」ということです。プロトコルにないことを「したり」,プロトコルにあることを「しない」と,プロトコル違反では逸脱扱いとなり,データとしては使用できないことになります。
以前の私は企業治験でCRFを使用したことはあっても, CRFを作成したことはなく, CRFがないとモニタリングができないこと,モニタリングができないと監査できないこと,そして,モニタリングやデータマネジメントそのものをイメージできませんでした。さらに研究が終了していないと論文投稿や学会発表できないこと,その研究終了には必要な手順があり勝手に終了できないこと,臨床上と研究上の同意が異なること,倫理委員会後ろ盾の拡大解釈とそれを使い回す悪しき習慣があること,臨床研究に対する規定やSOPがあることを知りませんでした。
私が知らなかった,臨床医の大勢が知らないであろうそれは,臨床研究作業工程における掟の数々です。身近に臨床研究テキストが多数ありますが「これしちゃダメ」,「こうしなきゃダメ」の事例を解説しているテキストがあったらいいなと思っていました。
掟ばかりのルールブックでは工程がイメージできず,もう一冊ないとマニュアルとしては不完全です。プロトコルを作成するポイント,例えば「,選択・除外基準によって絞られる対象集団のベースラインによって,結果は異なることが少なくない」というようなPMDA業務の「いろは」を解説していれば,書籍として有益です。
研究工程としてまず,計画段階では,臨床研究に関する情報整理の方法として,研究登録サイトを利用して類似の研究を検索することが有効です。組み入れ症例の逸脱時の対応やデータ化する際の症例の取り扱い検討会,多施設共同研究におけるスタートアップミーティング,研究初期のブレインストーミングなど,あらゆるコツやテクニックを教えてくれるテキストがあったらいいのにと思っていました。
そして,プロトコル,同意説明文書, CRFなどの雛形に「記載上の注意」があったら便利なのにとも思っていました。
そういうテキストがないので,ないなら作ってみようと思いたちました。構想におよそ2年かかり,今回, PMDA仲間で冷静な許斐健二先生と櫻井淳先生が標準仕様にアレンジ,レビューしてくれ,生物統計専門家の朴慶純先生が統計的なアドバイスをくれ,真面目で厳しいMEDSi書籍編集部の綱島敦子さんの手でわかりやすい手引書が出来ました。企画段階ではMEDSiの藤川良子さん,星山大介さんにもお世話になりました。
臨床研究法時代の臨床研究に関する豊富なコツも散りばめつつ,一冊で全体が把握できるようなテキストを目指しました。本書は治験に絞っていないので,データマネジメントとモニタリングの箇所は上手く読み分け,フレキシブルに使いこなさないと,オーバークオリティになるかもしれません。治験と異なり,リソースが限られる臨床研究では,やったほうが良いことは目指すものの,やらなくても良いことはしない工夫が必要です。本書を,先生方が研究で失敗しないための,ヒントとして使ってください。失敗しないためのヒントとは臨床でいうならば,あらかじめ術中トラブルや合併症を知っておくことと同様です。
臨床研究の作業工程を,トリリンガル(臨床─規制当局─研究支援部門)な私から発信します。ぜひご自身のために臨床研究における護身術を身につけてください。

2020年4月
菅原 岳史

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