外来診療レファランス 原著第2版

ベストセラー「総合内科病棟マニュアル」と対になる外来診療の「頼れるコンパス」、5年ぶりの改訂。マサチューセッツ総合病院(MGH)の指導医・研修医らに執筆された原著を、翻訳に際し文字サイズを大きくし視認性を向上。いつものマニュアルライクな対応でうまくいかない時や、ローカルルールに陥っていないか、良質なエビデンスは踏まえているか、自身の外来を振り返りたい時など、外来患者を診察する全科の医師たちに贈る。(「プライマリ・ケア ポケットレファランス」を改訂に際し、改題。)



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¥6,600 税込
原著タイトル
Pocket Primary Care, 2nd Edition
監訳:前野哲博 筑波大学総合診療科
ISBN
978-4-8157-0196-3
判型/ページ数/図・写真
B6変 頁544 図54
刊行年月
2020年7月
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1 一般内科 Meghan Kiefer, Kerri Palamara
Evidence-based medicine(EBM)
ヘルスリテラシー
疾患のスクリーニング
予防接種
定期外来
対応困難な患者のケア
患者カウンセリング
肥満
慢性疼痛
長期オピオイド使用
アドバンス・ケア・プランニング(ACP)
転倒予防
周術期評価

2 循環器 Ada Stefanescu Schmidt, David Dudzinski
心電図(ECG)へのアプローチ
冠動脈疾患(CAD)
胸痛と非侵襲的検査
脂質異常症
高血圧
動悸と不整脈
心房細動(AF)と心房粗動(AFL)
失神と起立性調節障害
心不全(HF)
弁膜症
大動脈疾患
頸動脈疾患
末梢動脈疾患(PAD)
下肢浮腫・潰瘍
スポーツと運動の許可
成人の先天性心疾患(CHD)

3 皮膚 Sarah Gee
皮膚病変へのアプローチ
よくある良性増殖性疾患
痤瘡
酒皶
皮膚癌(悪性黒色腫を除く)
悪性黒色腫(メラノーマ)
咬傷と寄生虫感染症
白癬
アトピー性皮膚炎(AD)
皮膚炎
薬疹
蕁麻疹
乾癬
脱毛症
創傷ケア
局所副腎皮質ステロイド
よくある皮膚疾患の典型的な分布

4 内分泌 Marc Wein, Lindsay Fourman
糖尿病(DM)
骨粗鬆症
カルシウム濃度異常
ビタミンD欠乏
甲状腺疾患
甲状腺結節
副腎不全
副腎結節
下垂体疾患
高プロラクチン血症

5 消化器 Kyle Staller, Long Nguyen
腹痛
胃食道逆流症(GERD)
消化性潰瘍疾患(PUD)
H. pylori感染症
嚥下障害
便秘
下痢
過敏性腸症候群(IBS)
セリアック病(セリアックスプルー)
炎症性腸疾患(IBD)
肝機能検査(LFT)異常
肝硬変
胆石
膵疾患
消化管出血(GIB)
痔疾患
憩室疾患

6 血液・腫瘍 Curtis R. Chong
貧血
多血症
深部静脈血栓症(DVT)と肺塞栓症(PE)
抗凝固療法
凝固障害
血小板の異常
白血球数(WBC)の異常
リンパ節腫脹(LAN)と脾疾患
ヘモクロマトーシス
葉酸・ビタミンB12欠乏

7 感染症 Jacqueline T. Chu
インフルエンザ
肺炎
性感染症(STI)
尿路感染症(UTI)
C. difficile
皮膚・軟部組織感染症(SSTI)
単純ヘルペスウイルス(HSV)
帯状疱疹
B型肝炎
C型肝炎
HIV/AIDS
ニューモシスチス肺炎(PCP)の予防
結核
感染性心内膜炎(IE)の予防
不明熱
ダニ媒介疾患
渡航医学

8 筋骨格系 Sara Schoenfeld, Zachary Wallace
関節痛と単関節炎
多関節炎
膠原病関連検査
変形性関節症(OA)
背部痛
股関節痛
膝痛
肩痛
肘痛
手の疾患
足と足関節の疾患
線維筋痛症
痛風と偽痛風
筋痛
筋炎
リウマチ性多発筋痛症(PMR)
全身性エリテマトーデス(SLE)
グルココルチコイドと疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)

9 神経 Michael Bowley, Renuka Tipirneni, Sarah Wahlster
頭痛
複視
浮動性めまいと回転性めまい
Bell麻痺
認知症
脳振盪
筋力低下
末梢神経障害
むずむず脚症候群
振戦
Parkinson病(PD)
痙攣
脳卒中,一過性脳虚血発作(TIA),脳卒中後のケア

10 眼科・耳鼻咽喉科 Rachel Huckfeldt, Aaron Remenschneider
眼科的評価
視力喪失
眼の愁訴
眼損傷
一般的な眼疾患での所見
アレルギー性鼻炎(AR)
上気道感染症(URI)
鼻副鼻腔炎
咽頭炎
嗄声
歯牙顔面の疼痛
耳炎
難聴

11 精神 John B. Taylor
不安障害
注意欠如・多動性障害(ADHD)
双極性障害
うつ病
摂食障害
不眠症と睡眠障害
強迫症(強迫性障害)
向精神薬
心的外傷後ストレス障害(PTSD)
精神病性障害
身体症状症および関連症群
自殺リスクのアセスメント

12 物質乱用 Sarah Wakeman
物質使用障害の診断と治療
アルコール使用障害
オピオイド使用障害
その他の薬物使用障害
喫煙

13 呼吸器 Jessica McCannon, Jessica Zeidman
肺機能検査(PFT)
喘息
慢性閉塞性肺疾患(COPD)
間質性肺疾患(ILD)
閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)
慢性咳嗽
喀血
肺結節

14 腎臓・泌尿器 Andrew Allegretti
慢性腎臓病(CKD)
蛋白尿
血尿
腎結石症
尿失禁
ナトリウム濃度異常
カリウム濃度異常

15 女性医学 Sara Schwanke Khilji, Alaka Ray
乳房の健康
乳癌のスクリーニング
子宮頸癌スクリーニング
閉経
月経異常
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)
女性不妊
避妊
骨盤内炎症性疾患(PID)
膣炎
骨盤痛
親密なパートナーによる暴力(IPV)

16 男性医学 J. Scott Gabrielsen, Allen Chang
前立腺肥大症(BPH)と下部尿路症状(LUTS)
男性性機能不全
男性性腺機能低下症
男性不妊
前立腺炎
陰嚢・精巣病変
前立腺癌
■略語
■索引

地域で,あらゆる健康問題に継続的に対応するプライマリ・ケア医がカバーすべき守備範囲はきわめて広く,しかも医療の進歩に合わせて常に知識をアップデートしていくことが求められる。その期待される役割を実践するうえでは,忙しい外来診療の合間に,疑問が生じたときに,その場でさっと見渡して必要な情報が入手できるツールがあればたいへん有用である。
この『外来診療レファランス』は,まさにそのようなコンセプトで構成されている。症候や疾患に関する医学的なマネジメントはもちろんのこと,スクリーニングやカウンセリングなど,プライマリ・ケア医や一般内科医が外来で直面する健康問題が広く網羅されている。内容はきわめて実践的で,外来でまず行うべき評価とマネジメント,専門医に紹介するタイミングなどがわかりやすく明示されている。特筆すべきは豊富な情報量で,コンパクトな本でありながら,よけいな表現を極力省き,最小限の文字数で要点のみが簡潔に示されているため,実際に目を通してみると,本書の1ページには,普通のA4サイズの本の1ページに匹敵するくらいの情報量がギュッと凝縮されていることに気づく。
いわゆる教科書的な本ではないが,最新の参考文献が随所に示されているので,さらに学びを深めたいときにも活用できる。記述は米国のセッティングで書かれているが,その多くは日本でも十分に活用できる。そのため,忙しい臨床の間にさっと手に取って,実践的な最新知識を効率よく調べられるレファランスとして最適である。
本書は2015年に日本語版が発行された『プライマリ・ケア ポケットレファランス』の第2版にあたる。初版と比べ,すべての章において内容のアップデートが行われ,引用文献も一新されている。図表も40点近く増え,視覚的にも診察の助けになることを目的とした改善がなされている。なお,日本語版の第2版発行に当たっては,外来診療の場に備え付けて使用する機会のほうが多いことや,書籍のデジタル化の流れ等を考慮して,ポケットに入れて持ち歩く携帯性より,読みやすさを重視する方針とした。そのため,書名を『外来診療レファランス』に変更するとともに,文字サイズを一回り大きくして視認性を高めた。ページ数は200ページ近く増えることになったが,その分,格段に読みやすくなり,使いやすい本に仕上がったと考えている。ぜひ,外来診療の現場で,手に届くところに本書を置いて,大いに活用していただきたい。
本書の翻訳は,筑波大学総合診療科および関連施設の指導医・レジデントが,総力を挙げて取り組み完成させたものである。また,メディカル・サイエンス・インターナショナル編集部の神田奨さんはじめ編集部の方々にはたいへんお世話になった。関係各位のご尽力に改めて感謝するとともに,本書がプライマリ・ケア医や一般内科医の外来診療,および研修・指導に広く役立つことを願っている。

筑波大学総合診療科 教授
前野哲博

Will, Liam,Rowan, Elliott,そしてBKに捧げる―MMK
我が娘Leilani Chongに捧げる―CRC

 100年以上も前に,偉大な内科医ウィリアム・オスラー卿はこう述べている。「どんな病気にかかっているかではなく,どんな患者がかかったか,ということのほうが重要である」。専門的な医療が進歩し続ける時代にあって,プライマリ・ケアは,古びた時代錯誤のケアモデルのように思えるかもしれない。しかし,それは自らそれを実践するまでのことであって,誰かの“primary”であることは,その医師が受けてきたトレーニングの内容やレベルと関係なく、医療の実践におけるこの関係性の本質を明らかにする。チーム医療や,新たに注目されているPopulation HealthやMedical Home,電子医療記録の進化など,本領域は変化している。こうした新たな需要に対応するためのイノベーションにより,様々な働き方が生み出されているが,プライマリ・ケア・プロバイダーの役割は,(患者,家族,地域,そして実に提供者自身にとっても)その価値に疑問の余地はない。
 本書は,外来の現場で働く医師や研修医をサポートしたい,という強い願いから生まれた。不眠症患者のカウンセリングから性感染症(STI)の診断まで,あるいは肺機能検査(PFT)の解釈から骨粗鬆症の治療まで,など外来の特異性やその全分野を認識してもらうためである。今回の第2版では,過去5年間の臨床プラクティス,ガイドライン,研究に関する無数のアップデートを行っている。この作業は,MGH関係者や卒業生ら多数の医師によって行われたものであり,適切な臨床判断とあわせて本書を使うことで,読者やその患者の生活が改善することを願っている。
 本書の完成は,各執筆者たちのたゆまぬ努力なくしては決してなし得なかったであろう。彼らは夜も週末も費やして,自らの知恵を我々と共有するための最善の方法を練り上げてくれた。彼ら専門家たちに深謝の意を表したい。また,このプロジェクトが,まだ研修医らの中で生まれたばかりのアイデアだった頃から信じてくれたValerie Stone医師とHasan Bazari医師にも感謝したい。Katrina Armstrong医師とJosh Metlay医師の励ましとリーダーシップは,本書の成功に大いに貢献した。Marc Sabatine医師は,我々に非常に重要な助言を与えてくれた。彼らと,MGHコミュニティには,プライマリ・ケアを重んじていること,そして各自の能力と責任感への信頼に対し,永遠に感謝する。

Meghan M. Kiefer, MD, MPH
Curtis R. Chong, MD, PhD, MPhil, FACP


はじめに

 この数十年の間に,科学知識と医療技術は目覚ましく進歩した。それに伴い,我々の診療能力も様変わりしたが,この新しい世界は同時に,医師‒患者関係がきわめて重要であることを我々に再認識させてくれた。医療を有効なものとし,われわれの多くをそこに立ち向かわせる原動力となるのが,患者と医師の長きにわたる関係である。プライマリ・ケアでは,多くの点で,この医師‒患者関係が現実のものとして立ち現れてくる。したがってプライマリ・ケアは,世の中の技術が進歩しても,医療の一分野として,また医療制度や最終的には国民の健康にとって,ますますその重要性が見直されていくのは当然のことだろう。
 変化のスピードは加速しているため,健康なときも病気のときも強固な医師-患者関係を保つために費やしている時間を削ることなく,プライマリ・ケアの知識とスキルを維持するのは明らかに難しい。健康に関わる行動変容を患者に促したり,情報を十分提示したうえで意思決定をサポートをしたり,終末期を支援したりする際は,一番難しく,かつ重要なコミュニケーションを患者と交わす機会となる。プライマリ・ケア領域の教育と診療を支援する新たなツールが必要なのが,おわかりいただけるだろう。
 本書の初版(『プライマリ・ケア ポケットレファランス』)は,これを支援するのに絶好のタイミングでお届けできた。Massachusetts General Hospital(MGH)の病棟医と指導医たちのひたむきな努力によって,プライマリ・ケアの幅広い領域にわたるエビデンスと経験とともに,慢性疼痛から失禁に至るあらゆるトピックについて無駄のない有効な情報を提供してきた。『内科ポケットレファランス(Pocket Medicine)』の伝統を継いでいるので,疑問が生じたときに,該当箇所をすぐに引いてもらえば理解できるようになっているはずだ。結果的に本書は,プライマリ・ケア医にとって貴重なツールとなっている。今回の第2版では重要なアップデートを行い,プライマリ・ケアの日々の診療に役立つガイドとしての役割を維持している。本書をまとめ上げた素晴らしいチームと,この重要な作業に対する彼らの絶え間ない取り組みに深く感謝する。

Katrina Armstrong, MD, MS
Physician-in-Chief, Department of Medicine, Massachusetts General Hospital
Jackson Professor of Clinical Medicine, Harvard Medical School

Joshua Metlay, MD, PhD
Peter L. Gross, MD, Chair, Chief, Division of General Internal Medicine,
Massachusetts General Hospital
Professor of Medicine, Harvard Medical School

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