フレームワークで考える内科診断

もう鑑別診断で迷わない!直感や記憶力に頼らない、全く新しいアプローチ法



内科でよく遭遇する50の症例に関し、著者が組み立てた診断アプローチを行う上での考え方の枠組み=フレームワークを解説。鑑別診断に際し羅列的に診断名を挙げていくアプローチとは異なり、症例ごとに解剖学・生理学・症候学等に基づいた分類に従いポイントを提示。診断の過程をフローチャートを示しつつ順を追って解説。医学生や研修医が考え方の「型」を身につけるのに役立ち、ケースカンファレンスを行う指導医にも最適。各疾患ごとのフローチャートのみをまとめた別冊付き。



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書評-評者山田徹先生(Hospitalist Vol.9 No.2 2021号掲載)



書評-評者國松淳和先生(INTENSIVIST Vol.13 No.4 2021号掲載)



書評-評者岩田健太郎先生(週刊医学界新聞3433号掲載)



書評-評者青木眞先生(medicina2021年12月号掲載)



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¥9,130 税込
原著タイトル
Frameworks for Internal medicine
原著者
André M. Mansoor
著:André M. Mansoor Assistant Professor of Medicine, Division of Hospital Medicine, Director, Procedure Service, Oregon health & Science University, Portland, Oregon 監訳/訳:田中竜馬 Medical Director, Intensive Care Unit, Pulmonary & Critical Care Medicine, Intermountain LDS Hospital, Utah, USA
ISBN
978-4-8157-3021-5
判型/ページ数/図・写真
A4変 頁676 写真153 図491
刊行年月
2021年6月
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Section 1 本書の使い方
Section 2 フレームワークシステム
Section 3 循環器
1 徐脈 
2 胸痛 
3 心ブロック 
4 心不全 
5 心膜炎 
6 頻脈 
Section 4 内分泌
7 副腎不全 
8 Cushing 症候群 
9 高カルシウム血症 
10 低カルシウム血症 
11 甲状腺機能低下症 
12 甲状腺中毒症 
Section 5 消化器・肝臓
13 腹水 
14 胆汁うっ滞性肝障害 
15 下痢 
16 消化管出血 
17 肝細胞性肝障害 
18 腸管虚血 
Section 6 一般内科
19 せん妄 
20 呼吸困難 
21 不明熱 
22 低血圧 
23 末梢性浮腫 
24 失神 
Section 7 血液
25 貧血 
26 溶血性貧血 
27 汎血球減少 
28 血小板異常 
Section 8 感染症
29 心内膜炎 
30 髄膜炎 
31 肺炎 
Section 9 腎臓
32 酸塩基平衡異常 
33 急性腎障害 
34 糸球体疾患 
35 高カリウム血症 
36 高ナトリウム血症 
37 低カリウム血症 
38 低ナトリウム血症 
39 二次性高血圧 
Section 10 神経 
40 頭痛 
41 多発ニューロパチー 
42 痙攣 
43 脳卒中 
44 筋力低下 
Section 11 呼吸器 
45 喀血 
46 低酸素血症 
47 間質性肺疾患 
48 胸水 
Section 12 リウマチ・膠原病 
49 関節炎 
50 全身性血管炎 
Section 13 教育者のために 
医学教育の略歴とチョークトークの紹介 
チョークトークの7 原則 
チョークトークとフレームワークシステム

監訳者前書き

               「外科医は何も知らないが,何でもする。内科医は何でも知っているが,何もしない。
               病理医は何でも知っているし,何でもするが,遅すぎる
               (Surgeons know nothing but do everything. Internists know everything but do nothing.  
               Pathologists know everything and do everything but too late.)」
               ─ロビン・クック(Robin Cook)
このようなセリフが,医師で小説家であるロビン・クック先生の小説“Godplayer”に出てきます。内科医として,「何もしない」には異論があるところでしょうが,「何でも知っている」もちょっと言いすぎな感じがありますね(ちなみに,ロビン・クック先生ご自身は外科医で,のちに眼科医に転向されています)。とはいえ,何でも知ろうとして常に考えている,というのは内科医の特徴として妥当なのではないでしょうか。内科医が考えるなかでも,診断は大きな割合を占め,内科のカンファレンスで話し合うことが多いのも診断です。その診断を,徹底的に読み解いたのが本書です。
 本書では,内科でよく遭遇する 50 の問題について診断的アプローチを解説しています。それぞれの Chapter の冒頭で扱っている症例は,典型的なものが多く,診断することはそれほど難しくありません。しかし,それが本書の目的ではありません。提示された症例を軸にして,同じような主訴をもつ患者を,体系的に診断するための考え方を身につけるのを最終的な目的としています。
 内科診断というと,たとえば「胸痛」だと,鑑別診断として心筋梗塞であるとか大動脈解離とか気胸とか食道痙攣であるとかいうふうに,いきなり診断名を挙げていくアプローチがあり,そちらに馴染みの多い方もいらっしゃるかもしれません。それに対して,本書ではすぐに診断名に入るのではなく,「胸痛」であれば,心臓由来なのかそれ以外の原因なのかで大きく 2 つに分けます。
心臓由来に関してはさらに急性冠症候群とそれ以外の 2 つに分け,心臓以外についても肺,消化管,筋骨格,それ以外の 4 つに分類するというように小分けにして,鑑別診断を体系的に挙げていく方法をとっています。これによって,直感や記憶力に頼ることなく,あるいは直近に診た似たような症例に影響されることなく,もれなく診断を考えられます。これが,本書の「フレームワーク(枠組み)」の考え方です。
 このような方法をとることによって,膨大な数の鑑別診断を力技で覚える必要がなくなり,頭のなかの整理がしやすくなります。必ずしもいつも同じ方法で分類するわけではありません。たとえば,「消化管出血」であれば,上部消化管は食道,胃,十二指腸という解剖的部位で分けますが,下部消化管出血のほうは,器質性,血管性,炎症性と,出血の機序で分類します。「胸水」であれば,お馴染みの滲出性と漏出性で分け,血管炎であれば傷害される血管のサイズによって,大型血管,中型血管,小型血管に分類します。このように,それぞれの問題について,最も適した方法で分類することで,わかりやすさを増し,かつ鑑別のための検査を考えるのにも役立ちます。
 筆者の André Martin Mansoor 先生(Twitter:@AndreMansoor)は,フレームワークで考えることによって,自分で学習するのに役立つだけでなく,教育する立場からも有用であると説明しています。回診や症例カンファレンスで,研修医や学生が鑑別診断を挙げられずに戸惑う場面では,フレームワークに従って「胸痛の原因はどのように大きく分けられるか?」といった質問から始め,鑑別診断を整理していくことによって,学習者の参加を促すことができ,記憶を定着させるのにも役立つとしています。
Mansoor 先生がフレームワークの方法に取り組み始めたきっかけも,症例カンファレンスで参加者が筋力低下の鑑別診断に苦慮しているなか,司会を務めるチーフレジデントが鮮やかに鑑別の方法を示すのを目にしたことなのだそうです。
 これから内科診断を学ぶ学生や研修医の方は,Section 1 と 2で本書の使い方とフレームワークの考え方を理解した後,実際に病棟や外来で遭遇した問題の Chapter を読んで,考え方の「型」を身につけるのがよいでしょう。しっかり型が身についたら,今度は自分なりにアレンジしたり,本書にない問題にフレームワークを当てはめることも可能です。とはいえ,あくまでも本筋をわかったうえでのことなので,近道するためにむやみに手続きを省略するのとは根本的に異なります。守破離です。
 医療では,常に学び続けながらも,すぐに自分も教える立場になります。少しでも後輩を教える立場にある人は,まず Section 13 から読むことをオススメします。そもそも教えるとは何か?,教えるための勘所は?,フレームワークをどのように使えばよいのか?といった,最も知りたいところが書かれています。ここで紹介されている“Chalk Talk”というパワフルなツールは,限られた時間で教えるのに最適です。
 原著では 700 ページを超える本書の翻訳は,熱心な先生方の協力がなくては完成しませんでした。Chapter 1~50 までを,1 人1 Chapter ずつ,丁寧にわかりやすく翻訳してくださった 50 人の先生方のおかげで,素晴らしい本に仕上がったと思います。内容が正しいのはもちろんのこと,読みやすさにまで徹底的にこだわって翻訳して下さった皆様に感謝します。
 内科医でも,これから内科医を志す人でも,内科医ではないけど内科医の考え方に興味がある人でも,何でも知りたい医療者にとって,本書が診断力を高める役に立てば幸いです。
                                        田中竜馬(Twitter:@ryoma_tanaka)

2021-09-15

【正誤表】下記の箇所に誤りがございました。ここに訂正するとともに, 読者の方々に深くお詫びいたします。

103ページ下から5行目
(誤)ビタミンD
(正)ビタミンD欠乏

154ページ下から1行目
(誤)小腸に流れることを示唆する
(正)小腸に原因があることを示唆する

157ページ上から8行目
(誤)感染
(正)感染

161ページフレームワーク内
(誤)(シスト)イソスポラ症
(正)シストイソスポラ症

189ページ上から9行目
(誤)ウイルス要素
(正)ウイルス成分

269ページ下から3行目
(誤)利
(正)利尿

2021-07-05

【正誤表】下記の箇所に誤りがございました。ここに訂正するとともに, 読者の方々に深くお詫びいたします。

p.89
図 9.2腎の横の文字の1番め
(誤)↓PO4 / Ca2+ 再吸収
(正)↓PO4再吸収/ Ca2+再吸収

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