がんサバイバーシップ学 - がんにかかわるすべての人へ -

  • 未刊

2022年1月下旬発売予定!



貴重な包括的テキストの決定版、初の邦訳

がん治療後のケアや,経済的問題,加齢,疼痛,仕事,対人関係,さらには身体活動や食事など「がんサバイバー」を取り巻く課題は幅広い。がんサバイバー特有の課題や今後の方向性などあらゆる領域を網羅し,体系的に解説。先行する海外の研究例や実践例を豊富に収載。医師・看護師など医療従事者をはじめ,ソーシャルワーカーや心理士など,がんサバイバーのフォローアップに関わるすべての人に有用な一冊。

¥6,820 税込
原著タイトル
Handbook of Cancer Survivorship, 2nd Edition
監訳:髙橋 都(NPO法人日本がんサバイバーシップネットワーク代表理事ほか)・佐々木治一郎(北里大学医学部新世紀医療開発センター横断的医療領域開発部門臨床腫瘍学教授)・久村和穂(金沢医科大学医学部腫瘍内科学学内講師)
ISBN
978-4-8157-3037-6
判型/ページ数/図・写真
B5 頁420 図27
刊行年月
2022年1月
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第I部 がんサバイバーシップ概論
第1章 がんサバイバーシップ:「インサイダー」による10年後の俯瞰
第2章 疫学
第3章 がんサバイバーとしての人生への適応
第4章 ケアの質

第II部 サバイバー特有の課題
第5章 格差
第6章 加齢
第7章 経済的困難

第III部 症状の問題
第8章 倦怠感
第9章 つらさ
第10章 疼痛

第IV部 機能上の問題
第11章 認知機能障害
第12章 仕事
第13章 睡眠
第14章 対人関係

第V部 生活習慣の問題
第15章 身体活動
第16章 栄養と体重管理
第17章 喫煙

第VI部 医療
第18章 プライマリケア
第19章 包括的ヘルスケア
第20章 国際的な展望

第VII部 今後の方向性
第21章 教訓と今後の課題
索引

本書は,Michael Feuerstein 博士が編者となって2007年に出版した“Handbook of Cancer Survivorship Second Edition”の翻訳である。2007年に出版された初版は,がん治療を乗り越えた人が「その後の人生」で直面するさまざまな身体的,心理的,対人関係的,社会的な問題を豊富な文献を紹介しながら解説し,社会の中でそれらの苦悩が顧みられていないことを明確に示して大きな反響を呼んだ。出版以来,初版は,サバイバーシップ領域の必読書となっている。
初版から10年を経て,新たにLarissa Nekhlyudov 医師が編者に加わり,この第2版が出版された。この間,分子標的薬をはじめとする新たな治療法が登場し,がんサバイバーをとりまく社会情勢も変化してきた。がんの完治は望めなくても長く社会生活を送る人々も10年前と比べて大幅に増加し,「その後の人生」のあり方の多様化が進んでいる。第2版では,そのような変化をふまえて,健康格差,プライマリケアとの連携,個人のさまざまな背景(人種/民族,性的指向,社会経済的状態)の影響などにも 幅広く言及している。サバイバーシップ研究では,がん診断を受けた本人(サバイバー)を,対人関係,組織,コミュニティ,法律や政策などマルチレベルの要因に影響される生活者と位置付けるが,第2版ではサバイバーを社会生態学モデル(social ecological model)の中でとらえる視点が一層強まっていると感じる。
さて,現代の日本でがんと診断され,治療を受け,社会の中で暮らしていくのはどのような体験だろうか。日本人の生涯累積罹患率は男性で65%,女性で50%に及ぶことを考えると,自分のがんだけでなく,家族,友人,同僚らのがんを通じて,ほとんどの人がなんらかの形でがんの影響を受けているはずである。また,5年相対生存率,10年相対生存率はそれぞれ 64%と59%に達し,がんは慢性病へと変化しつつある。がんサバイバーや家族が長期的に充実した人生を送るための支援,すなわちサバイバーシップケアが重要性を増していることに疑いの余地はないが,サバイバーの人生の軌跡を社会的側 面も含めて長期的にとらえる視点は,従来の医療実践や医療従事者の卒前卒後教育において十分とはいえなかった。それでも,明らかな変化の兆しはみられる。2012年度からの国の第2期がん対策推進基本計画では,がんサバイバーの就労支援や経済的困難への対応が課題として明記された。2014年からの国の「がん研究10か年戦略」においては,今後推進すべき領域として「充実したサバイバーシップを実現する社会の構築をめざした研究」も盛り込まれている。さらに,2017年度からの第3期がん対策推進基本計画では「がんとの共生」が重要課題とされ,がん対策全体を下支えするものとして,小・中・高等学校におけるがん教育も始まった。関連する学会の立ち上げが続き,英文論文も増えている(にもかかわらず,第20章の「日本」の項でこれらの動きがほとんど引用されていないのは残念である)。
第1章でFeuerstein博士は,「がん治療医はがんサバイバーのもつ多くの問題のケアに関心はあるが,たいていの場合,当然のこととはいえ,関心の中心は患者を生かすことにある」と述べている。Feuerstein博士自身が脳腫瘍のサバイバーであり,この言葉には重みがある。私たちの暮らしの中で「がんとの共生」を実現していくためには,生存期間を延ばす努力と並んで,本書で取り上げているような多様なテーマ,例えば長期/晩期合併症,生活習慣, 人間関係,プライマリケアとがん専門治療の連携などについて,日本に暮らすサバイバーや医療従事者の実感をふまえた議論がさらに必要だろう。日本の 医療システムや社会文化的背景にもとづいた研究や実践の発信が増え,その知見ががん治療とプライマリケアの双方の現場で共有され,日常業務に活かされなければならない。本書が,がんサバイバーシップケアに興味を持つ医療従事者が増える一助になることを願っている。そして,医療現場だけでなく社会全体としてがんサバイバーを支えるためにも,保健医療・社会福祉・人文社会学領域の教員や研究者,行政関係者や政策立案者,さらに患者支援団体の方々にも本書を手に取っていただければ幸いである。
本書の翻訳にあたっては,多くの方々のご支援をいただいた。翻訳プロセスでは,各章の翻訳を監訳者が確認し,読みやすい表現になるよう編集部と話し合うとともに,時にはFeuerstein博士にも文意を確認しながら作業を進めた。また,本書の多岐にわたるテーマについて,多領域の専門家からもコメントをいただいた。しかし,翻訳の最終的な責任は監訳者にある。ご支援くださった(一社)日本がんサポーティブケア学会,Feuerstein博士,そして,すべての方々のお名前を挙げることはできないが,専門的見地からご助言くださったみなさまに深く御礼を申し上げたい。
翻訳出版が実現するまでの道のりは,決して簡単ではなかった。本書が日本のがんサバイバーへの医療や社会的ケア,そしてサバイバーシップ研究に大きく役立つことをいち早く理解して翻訳出版への道筋をつけて下さった,メディカル・サイエンス・インターナショナルの星山大介さんに御礼申し上げたい。また,編集プロセスにおいて実に細やかにサポートしてくださった髙橋諒さんにも感謝申し上げたい。お二人のような伴走者を得て本書を送り出すことが出来たことを,監訳者一同,心から幸運に受け止めている。

2021年12月
髙橋 都
佐々木 治一郎
久村 和穂

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