がん治療の薬理学 - 図でわかるメカニズム -

がん治療薬を作用機序から解説します

進歩が著しい多種多様ながん治療薬に関し、複雑な作用機序と全体像について直感的にとらえられるイラストを多数用いて解説。従来からの細胞傷害性抗がん薬・ホルモン治療薬をはじめ、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬などすべての種類の抗がん薬を網羅し、レファレンスとしても有用。造血幹細胞移植やCAR‒T細胞療法についても解説。腫瘍内科医、血液内科医をはじめ、各診療科でがん治療に関わる医師、および薬剤師に最適。



電子版はこちら(医書JP)

¥4,620 税込
原著タイトル
Cancer Pharmacology: An Illustrated Manual of Anticancer Drugs
監訳:照井康仁 埼玉医科大学病院血液内科教授
ISBN
978-4-8157-3043-7
判型/ページ数/図・写真
B5変 頁256 図119
刊行年月
2022年4月
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Chapter 1 抗がん薬の開発:序論
がんの病態生理:抗がん薬の標的
抗がん薬の有用性はどのように評価するのか?
なぜ抗がん薬は効かなくなってきたり,あるいは最初から効かなかったりすることがあるのか?
薬物動態:投与された薬物の分布と代謝
薬物の効果的な作用を制限する要素

Chapter 2 アルキル化薬
ナイトロジェンマスタード類
ニトロソウレア類
トリアゼン類
アジリジン類
白金製剤

Chapter 3  代謝拮抗薬
ヒドロキシカルバミド,ピリミジン/プリン類似体,L‒アスパラギナーゼ
リボヌクレオチドレダクターゼ阻害薬
チオプリンメチルトランスフェラーゼ
L‒アスパラギナーゼ

Chapter 4 代謝拮抗薬:葉酸代謝拮抗薬
代謝における葉酸の役割
葉酸代謝拮抗薬とその作用機序
葉酸輸送体
葉酸と葉酸代謝拮抗薬の細胞内での代謝
葉酸代謝拮抗薬の吸収と排泄
葉酸代謝拮抗薬の有害事象
高用量メトトレキサート療法の毒性と救護療法

Chapter 5 有糸分裂阻害薬
ビンカアルカロイド
タキサン系薬物
微小管を標的とする新規薬物

Chapter 6 DNA 修復経路,アポトーシス経路,CDK 阻害薬
トポイソメラーゼ:DNA 損傷の原因となりうる内因性酵素
DNA 損傷応答経路を標的とする薬物
アポトーシスの促進:BH3 模倣薬とその他の薬物
CKD 阻害薬:細胞周期,抗アポトーシスタンパク質などを標的とする薬物

Chapter 7 エピジェネティックモジュレーター
ブロモドメイン阻害薬

Chapter 8 腫瘍微小環境と分化誘導薬

Chapter 9 単独および併用ホルモン療法による乳がんの治療
エストロゲン受容体陽性乳がん
選択的エストロゲン受容体調節薬
アロマターゼ阻害薬
アロマターゼ阻害薬とキナーゼ阻害薬の併用
選択的エストロゲン受容体分解薬
卵巣機能抑制

Chapter 10 抗アンドロゲン療法
前立腺がんとアンドロゲンの生合成
アンドロゲン受容体とそのシグナル伝達の前立腺がんにおける役割
前立腺がんの治療戦略

Chapter 11 低分子薬による分子標的治療
ヒト上皮増殖因子受容体(HER)と上皮増殖因子受容体(EGFR)
血管内皮増殖因子(VEGF)受容体
MAPK シグナル伝達経路
ALK 転座
BCR‒ABL 相互転座
イソクエン酸デヒドロゲナーゼとTET2
ブルトン型チロシンキナーゼ
JAK‒STAT シグナル伝達経路
FMS 様チロシンキナーゼ3
プロテインキナーゼとその阻害薬の分類

Chapter 12 モノクローナル抗体薬(抗体‒薬物複合体を含む)
およびサイトカイン療法
非結合型モノクローナル抗体薬
抗体‒薬物複合体
放射性免疫複合体
サイトカイン療法

Chapter 13 免疫療法
免疫チェックポイント阻害薬,がんワクチン,CAR‒T 療法,二重特異性抗体
免疫系からの攻撃を回避するがん細胞
腫瘍細胞を殺傷するCD8 陽性エフェクターT 細胞
抗PD‒1 免疫療法と抗PD‒L1 免疫療法
免疫チェックポイント阻害薬
抗腫瘍免疫を回復させる免疫チェックポイント阻害薬
免疫チェックポイント阻害薬による免疫関連有害事象
予防ワクチンは免疫を刺激する
CAR‒T 療法と二重特異性抗体療法

Chapter 14 多発性骨髄腫のさまざまな治療標的
アルキル化薬
免疫調節薬
プロテアソーム阻害薬
コルチコステロイド
抗体薬
その他の免疫療法
エピジェネティックモジュレーター
その他の多発性骨髄腫治療薬

Chapter 15 移植関連薬物
移植前処置に用いられる薬物
GVHD の予防と治療に用いられる薬物

Chapter 16 医薬品開発の基礎
臨床試験の流れ
臨床試験の問題点
患者選出と研究デザイン
2011~2016 年に開発された新規分子標的薬
新規抗がん薬の作用機序
生存評価項目

Chapter 17 臨床試験のデザインに不可欠な要素
PK/PD,統計,合理的な併用療法の原則
臨床試験の流れ
医薬品開発の三要素
橋渡し研究から臨床試験へのアプローチ
臨床試験におけるバイオマーカーの役割
バイオマーカーの特徴の評価と選択
使用目的にもとづいたバイオマーカーの開発
予後バイオマーカー
効果予測バイオマーカー
がんに対する分子標的治療
併用療法の早期臨床試験のデザイン
適応的デザインを使用した早期臨床試験
医薬品開発への道筋
バイオマーカーの同定,検証,実際の使用の流れ
薬理学的オーディットトレイル
分子・薬理学的オーディットトレイル(MoPhAT)と薬理学的オーディットトレイル(PhAT)の比較
臨床試験におけるバイオマーカーの使用

Chapter 18 医薬品の前臨床・臨床試験と承認申請

索引

この約20年間でがんの化学療法や治療法は大きく変わりました。それまでは,従来型抗がん薬の使用のみで治療を行なっていて,副作用などで治療が続けられず,効果が思うようにいかない患者さんも多かったに違いありません。分子標的治療薬が登場し,われわれの視界と視野は変化し,がん患者さんの予後やQOL に改善がみられるようになりました。リツキシマブ,トラスツズマブ,ベバシズマブなどの抗体医薬の登場,イマチニブなどのチロシンキナーゼ阻害薬の発見から始まり,がんの標的分子の発見と分子標的薬の開発がどんどん進むようになりました。いわゆる“Bench to Bed”が実現されたということになります。
 このような状況では,それぞれの薬剤ついて整理し,理解することが重要になってきますが,このタイミングで,本書の原著“Cancer Pharmacology”の第1 版が2019 年12月に出版されたことは喜ばしいことと言えます。本書では,細胞周期および細胞分裂の関連分子を標的とした従来型抗がん薬から,遺伝学的分子,エピジェネティック分子,ホルモン関連分子,免疫生物学的分子を標的とした薬剤までの薬物開発の発展について各章で取り上げています。さらに,薬物療法のみならず,造血幹細胞移植や最近の話題であるCAR‒T 細胞療法,そして薬剤開発のプロセス,臨床試験についても詳しく記述されています。また,分かりやすい図表が豊富にもちいられているため,各項目について理解しやすくなっています。各の章末には,まとめとクリニカルパール,多肢選択問題とその回答・解説が付属しているので,知識の整理と確認ができることを特徴とした書籍です。本書は,知識を整理したい方,研修医,専攻医,医学生,薬学生,医師,薬剤師など幅広い層にお役立ていただけると思いますので,是非活用していただければ幸いです。
 最後に,翻訳にあたっては,株式会社メディカル・サイエンス・インターナショナルの星山大介さん,水野資子さんに大変お世話になりました。この場をお借りして心よりお礼を申し上げます。
2022 年3月
照井康仁

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