製薬医学入門 - くすりの価値最大化をめざして -

日本における医薬品開発の創薬から市販後、ライフサイクルマネジメントまでを網羅的に解説した書。 創薬、安全性監視、関連法規の3部構成で、創薬については、治験や市販後調査について解説し、安全性監視についてはファーマコビジランスの解説およびそれを担うメディカルアフェアーズの役割と、求められるコンピテンシーについて詳述。関連法規では法整備や規制が推し進められてきた経緯や、製薬業界で働くうえで理解すべき法律および製薬協コードなどについて解説。製薬に携わる医療従事者必読の一冊。



社告:『 製薬医学入門 』(2022 年 8 月 27 日 第 1 刷) 弊社の不手際による誤りに関するお知らせ



『製薬医学入門』正誤表



電子版はこちら(医書JP)

¥5,940 税込
編集:内田一郎(大阪大学大学院薬学研究科)・芹生 卓(APCER Life Sciences/京都薬科大学)
ISBN
978-4-8157-3053-6
判型/ページ数/図・写真
B5変 頁224 図45 写真1 2色刷
刊行年月
2022年8月
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第1章
製薬医学とは何か?
1. 製薬医学とその歴史
2. 製薬医学の特徴
3. 医学の専門分野としての製薬医学
4. 製薬医学のための医療研究倫理
(寄り道コラム)
① 英国の医師/専門医制度
② PharmaTrain
③ タスキギー梅毒研究

第2章
医薬品の創薬プロセス
1. 臨床試験までの創薬プロセスの概要
2. 創薬プロセス各論
3. 知的財産とライセンシング
4. 創薬の新潮流
(寄り道コラム)
① 創薬標的分子の探索及びスクリーニング系を構築するための手法
② 疾患モデルの動物
③ 新薬を育むエコシステム
④ バイオマーカー

第3章
医薬品の開発計画
1. 医薬品開発の意思決定
2. 医薬品開発段階における留意点
3. 臨床薬理試験
4. 探索的試験
5. 検証的試験
6. 医薬品開発における最近のトピックス
(寄り道コラム)
① 医薬品開発のGo/No-go決定
② 「レンヌ事件」と「E2082事件」

第4章
臨床試験のデザインと統計解析
1. 臨床試験概論
2. 盲検化とランダム化
3. 評価項目
4. 解析対象集団
5. 統計学的仮説検定と被験者数設計
6. 統計解析
7. 臨床試験の新しい方法論

第5章
治験の実際
1. 臨床研究、臨床試験、治験とは
2. 治験の準備段階
3. 治験の実施中
4. 治験の終了後
(寄り道コラム)
① ICH-GCPと省令GCPの主な相違点
② CAPAについて
付録 治験の統括報告書の構成と内容

第6章
薬事
1. 薬事とは
2. 規制当局と国際調和
3. 各種届出前のPMDA相談
4. 医療上必要性の高い品目に対する制度
5. 治験届
6. 承認申請
7. PMDAにおける承認審査
8. 注意事項等情報(旧添付文書)
9. 承認後の届出
10. グローバル規模での薬事業務連携

第7章
ファーマコビジランス(PV)の概要
1. 薬害から安全性監視へ
2. 医薬品の有害事象と副作用
3. 臨床試験における安全性検討
4. 製造販売後の安全性監視制度
5. 特殊集団の安全性評価
6. その他の安全性監視
7. 企業におけるPV体制
8. 継続的なPVの必要性
(寄り道コラム)
① SMON
② 日本の医薬品取り扱い規制の始まり
③ GVPにおけるMRの役割
④ ソリブジン事件
⑤ 薬害肝炎事件

第8章
ファーマコビジランス(PV)の実際
1. 臨床試験におけるファーマコビジランス(PV)
2. 医薬品リスク管理計画
3. 製造販売後のPV
4. 安全性管理情報の評価
5. 安全性管理情報の報告
6. 再審査・再評価の流れ
7. 薬剤疫学
8. PVの今後

(寄り道コラム)
① DSMBによるCOVID -19ワクチン臨床試験モニタリング
② PBRER

第9章
メディカルアフェアーズ(MA)①:MA部門について
1. メディカルアフェアーズ(MA)とは
2. ステークホルダーとの協業
3. MA部門活動
4. MAにおけるコンプライアンス
5. これからのMAの展開

(寄り道コラム)
① 日本製薬医学会によるMA活動の啓発
② RWDの利活用のスキル
③ MA 活動は販売情報提供ガイドラインの適用対象なのか
④ 研究者と企業の役割分担

第10章
メディカルアフェアーズ(MA)②:メディカルサイエンスリエゾン
1. メディカルサイエンスリエゾン(MSL)の歴史
2. MSLとは
3. MSLの活動
4. MSLの資格要件
5. MSLの教育プログラムと認定
6. 製薬企業内におけるMSLの役割
7. MSL、MR、MS
(寄り道コラム)
① インサイトとは
② 日本のMSL、海外のMSL

第11章
薬価と医療経済
1. 薬価収載
2. 市販後の薬価改定
3. 医療技術評価
4. 諸外国の医療制度と薬価
(寄り道コラム)
① 補正加算が付与された事例
② 外国平均価格調整が行われた事例
③ 費用対効果評価、試行的導入の実績
第12章
医薬品と法規制
1. 製薬医学における法律・規制
2. 法のとらえ方
3. 医薬品の安全性に関連する規制
4. 医薬品の販売活動に関連する規制
5. 自主規制
(寄り道コラム)
① 法を守らなければならない理由
② 医療契約
③ 消費者庁の設置目的

製薬医学は,医学領域の専門分野として,海外,特に英国を中心に確立してきた。製薬医学は,医薬品の価値を最大限引き出すために,研究開発に始まり,安全性の監視活動、リスク・ベネフィット評価,市販後の適正使用推進やエビデンス創出というように,医薬品の一生涯にかかわる学問領域である。海外では多くの製薬医学医師や医薬品開発専門家が,製薬企業を中心に,規制当局,医療機関(治験センター)などで主導的な立場で活動している。しかし日本では,製薬医学の認知度は低く、製薬医学の知識を必要とする人は少なくないのにもかかわらず,これを学ぶ機会は限られている。このことが,医療機関に勤務する医療関係者や大学研究者が例えば製薬企業に転職したときに,医薬品開発,メディカルアフェアーズ(MA),ファーマコヴィジランス(PV)などにその専門知識を活かす際の障壁になっている。
 そこで,製薬医学の系統的な知識を習得できる入門書として本書を企画した。現状でも,医薬品開発の規制や臨床試験における有効性や安全性の評価,それらに関連する統計手法など,各論的な教本からテーマごとに(バラバラに?)学ぶ機会はある。しかし製薬医学は,医薬品のライフサイクル全体を対象として,科学的に把握することを前提とした学問であり,本書ではこの一冊で,医療倫理,創薬,医薬品開発から市販後活動までを系統的に理解できるように構成した。各章は,日本で製薬医学を先導してきた日本製薬医学会員を中心に,製薬企業やアカデミアでの実務経験が豊富な著者によって執筆され,薬事規制や医療経済等では,現時点での最新の情報を含めた。
 企業や研究機関で業務にあたる実務者,さらには医学部/薬学部/医療系大学で学ぶ学生の手引として,日本での唯一無二の教本になった。安全で有効な医薬品が適切に患者のもとに届くのを願うのと同様に,本書も多くの読者のもとに届くことを願う。

2022年7月
内田 一郎 芹生  卓

2023-07-19

【正誤表】下記の箇所に誤りがございました。ここに訂正するとともに, 読者の方々ならびに関係者の方々に深くお詫びいたします。

8ページ27行目および32行目
(誤)JAhMed
(正)JAPhMed

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