ドゥガーウィン 診断のための診察と検査

最も網羅されている、身体診察本原初の1冊

1965年に初版が刊行された歴史的に著名な身体診察本の原初の1冊、初の邦訳版。診断をつけるための診察・検査法を、異常所見・疾患の解説を重視し、実際の診療を想定した視点で収載。全身の身体診察と診断を幅広く網羅しながらも、要点を絞った簡潔な記述と図・シェーマにより、読み通せるボリュームで臨床に役立つ知識が身につく。研修医からベテランまで医師必読の一冊。



電子版はこちら(医書JP)

¥9,900 税込
原著タイトル
DeGowin's Diagnostic Examination, 11th Edition
監訳:上田剛士(洛和会丸太町病院救急・総合診療科部長)
ISBN
978-4-8157-3060-4
判型/ページ数/図・写真
A5変 頁1168 図279・写真28 2色/4色刷
刊行年月
2022年9月
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Part 1 診断のフレームワーク
Chapter 1 診断
Chapter 2 病歴聴取とカルテ
Chapter 3 身体診察

Part 2 診断のための診察
Chapter 4 バイタルサイン,身体計測データ,疼痛
Chapter 5 局在性のないシステムと疾患
Chapter 6 皮膚と爪
Chapter 7 頭頸部
Chapter 8 胸部:胸壁,肺,心血管系,乳房
Chapter 9 腹部,会陰,肛門,直腸S状結腸
Chapter 10 泌尿器系
Chapter 11 女性の生殖器と生殖器系
Chapter 12 男性の生殖器と生殖器系
Chapter 13 脊椎,骨盤,四肢
Chapter 14 神経系
Chapter 15 精神状態の評価,精神科的評価,社会的評価

Part 3 術前評価
Chapter 16 術前評価

Part 4 検体検査と診断的画像検査の活用
Chapter 17 診断検査の原則
Chapter 18 一般検体検査

本書は“DeGowin’s Diagnostic Examination 11th Edition” の和訳本である。“DeGowin’s Diagnostic Examination”を一言で説明するならば「臨床医のための身体診察+α本」である。

本書はDiagnostic Examination,つまり診断のための診察や検査について解説したものであり,身体診察のみに限った書籍ではない。しかしながら身体診察は非侵襲的で,迅速にベッドサイドで評価ができるという優れた点がある。身体診察は問診よりも疾患や病態に
特異的な所見が得られることが多いことも優れた点である。そのため,本書では必然的に身体診察について詳しく書かれている。
 人は見たいと思ったものしか見ることができないといわれるが,このことは身体診察においても当てはまる。身体診察の適切な知識がなければ,何を診るべきかがわからず,診るべき所見を診ることはできないのである。そこで本書では,まれではあっても知ってさえいれば一発診断できる身体診察が多数紹介されている。アミロイドーシスによる肩パッド徴候などはその例といえよう。これらの身体診察は職人芸と呼ばれるようなものではなく,知ってさえいれば診断に直結するものが多い。これらは臨床をまだ知らない学生にとっては難しいと感じられるかもしれないが,臨床医ならば日々の診療スキルをレベルアップさせてくれる至極の身体診察のオンパレードを堪能できるであろう。

数多くある身体診察の書籍のなかでも“Bates’ Guide to Physical Examination & History Taking”は身体診察の入門書として名が高い。また“Sapira’s Art and Science of Bedside Diagnosis”は身体診察を極めし者の愛読書ともされる。しかし臨床医になってから“Bates”を読み直す医師は少なく,“Sapira”を通読している医師も多くはない。身体診察を系統的に学び直すことは,時間の限られた臨床医にとって些かハードルが高いようである。
 本書の特徴の一つは,臨床推論の流れを再現していることである。理解に必要な解剖学・生理学的な解説にはじまり,特定の症候を呈する患者に対してどのような疾患を想定すべきか,どのような問診や身体診察を行うべきか,あるいはどのような検査を追加すべきかについて解説している。そのため臨床医はストレスなく楽しみながら読み進めることができる。この点だけでも本書は臨床医が身体診察を学ぶにはうってつけの書籍といえよう。

また,本書は必ずしも重大ではないが臨床医が知っておくべき病態について数多くふれている。これが「身体診察+α」の「α」部分である。この病態の記述は一つ一つは非常にコンパクトではあるが,実に臨床に役立つ。最初に本書と出会ったのは監訳者が医師4年目の時であったが,precordial catch症候群や流行性筋痛症といった病態は本書で初めて知り,またすぐに臨床の場で役立ったことを今でもよく覚えている。今回,監訳の任にあたって本書を見直したが「理容師の指間部にできる毛巣洞」など知らなければ診断が難しい疾患を数多く学び直すことができた。
 この文章を執筆している2022年8月はサル痘流行が世界的に問題となっているが,本書にはサル痘についても記載されており,書籍サイズに似つかわしくない膨大な情報量であることが窺える。もちろんサル痘は昨今まではあまり国内では問題視されることは少なかった疾患であり,このような日本の実情に即さないと思われる記載については,監訳にあたり適宜訳注をつけさせていただいているので,ご安心いただきたい。

問診・身体診察・検査という診断学の一連の流れを学びなおしたい臨床医,洗練された身体診察の知識を身につけワンランク上を目指したい臨床医,自分の専門外領域の診察方法を学びたい臨床医,学生時代には習わなかったが知っておくと役立つ病態を学びたい臨床医,今よりも広く鑑別診断をあげられるようになりたい臨床医,さまざまな病態の診療を行う必要があるプライマリケア医や総合診療医に,特に薦めたい一冊である。若手医師のみならずベテラン医師であっても学ぶことが多い書籍であり,「(すべての)臨床医のための身体診察+α本」と思う次第である。

50年以上にわたり世界中の医師に愛読され,個人としても思入れの深い“DeGowin’s Diagnostic Examination”を,洛和会丸太町病院 救急・総合診療科の同僚たちとともに翻訳する機会を得られたことはこのうえない僥倖であった。協力してくれた多くの方々に感謝するとともに,少しでも多くの医師が本書を手に持ち,明日からの診療に役立ててくれることを願う。

2022年8月吉日

上田 剛士
洛和会丸太町病院 救急・総合診療科

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