精神科治療薬の考え方と使い方 第4版 - 「ストール精神薬理学エセンシャルズ」準拠 -

152の治療薬を網羅!  臨床に役立つ”もうひとつの”ストール本

「ストール精神薬理学エセンシャルズ」の姉妹書、7年ぶりの改訂。臨床実践に焦点を当て、治療薬の理解を深める考え方と臨床に即した使い方を提示する。改訂にともない新薬が追加され、著者ストールのユニークな主張が垣間見える「臨床の知恵」も大幅更新。ストールの簡潔で鮮やかな記述、オールカラーで見やすく調べやすい構成は引き継がれ、日本での「商品名」「適応」「投与法」「警告・禁忌」の記載は今版でも継続。「エセンシャルズ」との併用でより理解が深まる。



電子版はこちら(医書JP)

¥12,100 税込
原著タイトル
Prescriber's Guide: Stahl's Essential Psychopharmacology, 7th Edition
原著者
Stephen M. Stahl
訳:仙波純一 東京愛成会たかつきクリニック
ISBN
978-4-8157-3076-5
判型/ページ数/図・写真
B5変 頁1024 図21 4色
刊行年月
2023年5月
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1.アカンプロサート acamprosate*  
2.アゴメラチン agomelatine  
3.アルプラゾラム alprazolam*  
4.アミスルプリド amisulpride  
5.アミトリプチリン amitriptyline*  
6.アモキサピン amoxapine*  
7.アンフェタミン(d) amphetamine(d)  
8.アンフェタミン(d,l) amphetamine(d,l)  
9.アリピプラゾール aripiprazole*  
10.アルモダフィニル armodafinil  
11.アセナピン asenapine*  
12.アトモキセチン atomoxetine*  
13.ベンズトロピン benztropine  
14.ブロナンセリン blonanserin*  
15.ブレメラノチド bremelanotide  
16.ブレクサノロン brexanolone  
17.ブレクスピプラゾール brexpiprazole*  
18.ブプレノルフィン buprenorphine*  
19.ブプロピオン bupropion  
20.ブスピロン buspirone  
21.カプリリデン caprylidene  
22.カルバマゼピン carbamazepine*  
23.カリプラジン cariprazine  
24.クロルジアゼポキシド chlordiazepoxide*  
25.クロルプロマジン chlorpromazine*  
26.シタロプラム citalopram  
27.クロミプラミン clomipramine*  
28.クロナゼパム clonazepam*  
29.クロニジン clonidine*  
30.クロラゼプ酸 clorazepate*  
31.クロザピン clozapine*  
32.シアメマジン cyamemazine  
33.デシプラミン desipramine  
34.デスベンラファキシン desvenlafaxine  
35.デューテトラベナジン deutetrabenazine  
36.デキストロメトルファン dextromethorphan*  
37.ジアゼパム diazepam*  
38.ジフェンヒドラミン diphenhydramine*  
39.ジスルフィラム disulfiram*  
40.ドネペジル donepezil*  
41.ドチエピン dothiepin(わが国の呼称 ドスレピン dosulepin)*  
42.ドキセピン doxepin  
43.デュロキセチン duloxetine*  
44.エスシタロプラム escitalopram*  
45.エスケタミン esketamine  
46.エスタゾラム estazolam*  
47.エスゾピクロン eszopiclone*  
48.フリバンセリン flibanserin  
49.フルマゼニル flumazenil*  
50.フルニトラゼパム flunitrazepam*  
51.フルオキセチン fluoxetine  
52.フルペンチキソール flupenthixol  
53.フルフェナジン fluphenazine*  
54.フルラゼパム flurazepam*  
55.フルボキサミン fluvoxamine*  
56.ガバペンチン gabapentin*  
57.ガランタミン galantamine*  
58.グアンファシン guanfacine*  
59.ハロペリドール haloperidol*  
60.ヒドロキシジン hydroxyzine*  
61.イロペリドン iloperidone  
62.イミプラミン imipramine*  
63.イソカルボキサジド isocarboxazid  
64.ケタミン ketamine*  
65.ラモトリギン lamotrigine*  
66.レンボレキサント lemborexant*  
67.レベチラセタム levetiracetam*  
68.レボミルナシプラン levomilnacipran  
69.リスデキサンフェタミン lisdexamfetamine*  
70.リチウム lithium*  
71.ロフェプラミン lofepramine*  
72.ロフェキシジン lofexidine  
73.ロフラゼプ酸 loflazepate*  
74.ロラゼパム lorazepam*  
75.ロキサピン loxapine  
76.ルマテペロン lumateperone  
77.ルラシドン lurasidone*  
78.マプロチリン maprotiline*  
79.メマンチン memantine*  
80.L−メチル葉酸 methylfolate (L)  
81.メチルフェニデート(d) methylphenidate (d)  
82.メチルフェニデート(d,l) methylphenidate (d,l)*  
83.ミアンセリン mianserin*  
84.ミダゾラム midazolam*  
85.ミルナシプラン milnacipran*  
86.ミルタザピン mirtazapine*  
87.モクロベミド moclobemide  
88.モダフィニル modafinil*  
89.モリンドン molindone  
90.ナルメフェン nalmefene*  
91.ナルトレキソン naltrexone  
92.ナルトレキソン/ブプロピオン naltrexone/bupropion  
93.ネファゾドン nefazodone  
94.ノルトリプチリン nortriptyline*  
95.オランザピン olanzapine*  
96.オキサゼパム oxazepam  
97.オクスカルバゼピン oxcarbazepine  
98.パリペリドン paliperidone*  
99.パロキセチン paroxetine*  
100.ペロスピロン perospirone*  
101.ペルフェナジン perphenazine* 
102.フェネルジン phenelzine  
103.フェンテルミン/トピラマート phentermine/topiramate  
104.ピマバンセリン pimavanserin  
105.ピモジド pimozide  
106.ピポチアジン pipothiazine  
107.ピトリサント pitolisant  
108.プラゾシン prazosin*  
109.プレガバリン pregabalin*  
110.プロプラノロール propranolol*  
111.プロトリプチリン protriptyline  
112.クアゼパム quazepam*  
113.クエチアピン quetiapine*  
114.ラメルテオン ramelteon*  
115.レボキセチン reboxetine  
116.リスペリドン risperidone*  
117.リバスチグミン rivastigmine*  
118.セレギリン selegiline*  
119.セルチンドール sertindole  
120.セルトラリン sertraline*  
121.シルデナフィル sildenafil*  
122.ナトリウム・オキシベート sodium oxybate  
123.ソルリアムフェトール solriamfetol  
124.スルピリド sulpiride*  
125.スボレキサント suvorexant*  
126.タシメルテオン tasimelteon  
127.テマゼパム temazepam  
128.チオリダジン thioridazine  
129.チオチキセン thiothixene  
130.チアガビン tiagabine  
131.チアネプチン tianeptine  
132.トピラマート topiramate*  
133.トラニルシプロミン tranylcypromine  
134.トラゾドン trazodone*  
135.トリアゾラム triazolam*  
136.トリフロペラジン trifluoperazine  
137.トリヘキシフェニジル trihexyphenidyl*  
138.トリヨードサイロニン triiodothyronine  
139.トリミプラミン trimipramine*  
140.バルベナジン valbenazine*  
141.バルプロ酸 valproate*  
142.バレニクリン varenicline*  
143.ベンラファキシン venlafaxine*  
144.ビラゾドン vilazodone  
145.ボルチオキセチン vortioxetine*  
146.ザレプロン zaleplon  
147.ジプラシドン ziprasidone  
148.ゾルピデム zolpidem*  
149.ゾニサミド zonisamide*  
150.ゾピクロン zopiclone*  
151.ゾテピン zotepine*  
152.ズクロペンチキソール zuclopenthixol

略語  
わが国の薬品名索引  
使用法索引  
分類別索引  

*のついたものは,日本で発売されているもの( 2023年4月現在)

ストールの「精神科治療薬の考え方と使い方」改訂第4 版の翻訳をお届けする.翻訳は1 版ずつ飛ばしているので,今回の改訂4 版は,最新の原書第7版(2020)に相当する.原書の初版は2005 年に出版され,この時に紹介されていた薬物はちょうど100 余りであった.改訂のたびに,精神科固有の薬物だけではなく,精神科に紹介されることのあるパーキンソン病,心理的原因による肥満,男女の性機能障害などに対する薬物も含まれるようになった.結局,前版で紹介されたのは136 の薬物であったものが,今回の版ではさらに152 となった.
 改訂された点を詳しく見ていくと,新薬としては18 であるが,従来薬にも新しい適応症が追加されたもの,あらたに貼付製剤や持続投与製剤などが開発されたものなどがある.ちなみにわが国で現在発売されている新規の薬物はほとんど今回の改訂に含まれている.すなわち抗精神病薬ではブレクスピプラゾール,アセナピン,ルラシドン,抗うつ薬ではボルチオキセチン,アルコール症治療薬ではナルメフェン,ADHD 治療薬ではグアンファシン,リスデキサンフェタミン,遅発性ジスキネジアの治療薬であるバルベナジンなどで
ある.わが国で未発売のcariprazine,pimavanserin,lumateperone などについては今後開発が予定されることであろう.
 本書の特徴でもあるストールのユニークな主張が混じる「臨床の知恵」は,ほとんどの薬物で大きく改訂されているのも注目されるところである.抗精神病薬については,経口薬から長期作用型の注射薬(LAI)への変更や,効果がなかったときの他の第2 世代抗精神病薬への切り替えについての記載も詳しくなっている.
 最近の精神科治療薬の開発では大手の製薬企業が手を引き始め,以前ほどの活気がないように見える.1 つの理由としては,抗精神病薬ではドーパミンアンタゴニスト,抗うつ薬ではモノアミントランスポーター阻害薬(SSRI やSNRI と呼ばれるもの)の限界が明らかになったためであろう.上記のpimavanserin はドーパミン受容体への直接作用は小さいとのことで,今後の開発の方向性の1 つを示すものかもしれない.抗うつ薬については,モノアミン系以外に作用するという産後うつ病へのbrexanolone や難治性うつ病へのesketamineの作用機序が注目されるところである.
 翻訳にあたって訳者からいくつか断らなければならないことがある.1 つは病名の件である.DSM-5 による病名に対しては,精神神経学会で公式の訳語が決められている.しかし,本書ではその薬物が承認されたときの病名が適応症として記載されている(そのためわが国では聞き慣れない病名となっていることもある).
 なお,今回の改訂版の翻訳に当たっては,メディカル・サイエンス・インターナショナル社の藤堂保行さんに再びたいへんにお世話になった.彼の協力なしには,これほど早く翻訳することはできなかったはずである.ここに感謝いたします.

2023 年5 月
仙波 純一


このガイドブックは「ストール精神薬理学エセンシャルズ」(Stahl’s Essential
Psychopharmacology)と相互で補完することを意図している.「ストール精神薬理学エセンシャルズ」は,作用機序や向精神薬がどのように脳内の受容体や酵素に作用するかを重視している.本書では,臨床実践でこれらの薬物の使用法についての実践的な情報を提供している.
 1 冊の本の中にほとんどの薬物について得ることのできるすべての情報を集めることは不可能と思われたので,ここでは包括的なものにしようとすることはしなかった.本書の目的は,むしろ精神薬理学という科学と臨床実践の技法を統合することにある.これは,ものごとを簡略にしておくためには本質的な事実だけを取り入れるということである.このことは,残念なことであるが,さほど重要でない事実だけでなく,余分な情報も除外することでもある.これらの事実や情報は読者にとって有益であるかもしれないが,本はさらに大きいものになってしまい,最も重要な情報を目立たなくしてしまうことになるであろう.どれを含めどれを除くかを決定する際には,著者は健全な良識と30 年に及ぶ患者との臨床経験に基づいて行った.また,多くの経験ある臨床家にも相談し,比較対照試験や政府機関の規制資料からのエビデンスを分析した.
 臨床家の要求に応じ,本書をこれから改訂をして新しいものにしていくために,読者からの意見を心から願うものである.フィードバックはcustomerservice@neiglobal.com のアドレスにメールをしてほしい.具体的には,最善かつ最も重要な向精神薬が本書に取り入れられているか? 事実に関する誤りを見つけられたか? 個々に記載されたさまざまな筆者の意見に対し,同意することや同意できないことがあるか? 今後の改版のために付け加えるヒントや知恵についての提案があるか? など,ありとあらゆる提案やコメントも歓迎する.
 掲載したすべての薬物は情報をすぐに利用しやすくするために,同じスタイルの書式で示した.特に,それぞれの薬物は5 つの項目に分類されており,各々が独自の色を使って分類してある.■は治療,■は副作用,■は投与法と用法,■は特別な患者,■は精神薬理学の技法,最後に主要な参考文献が続いている.
 治療therapeutics では次のものを網羅している.主要国での商品名,薬物のクラス,何に対して通常処方されるか,米国食品医薬品局(FDA)によって何に対して承認されているか,薬物の作用機序・作用までの時間・作用したときあるいは作用しなかったときにどうするか,部分的な反応や治療抵抗性に対する最善の増強効果のある組み合わせ,および(あるとすれば)必要となる検査.
副作用side effects では,薬物がどのように副作用を引き起こすかを説明している.また注意すべき,生命にかかわる,あるいは危険な副作用のリストを示すとともに,体重増加や鎮静に対して具体的な評価を与え,さらに最善の増強薬を含む副作用に対処する方法についてアドバイスしている.
 投与法と用法dosing and use では,通常投与量域,剤形,投与法と投与法のヒント,過剰服用の症状,長期使用,もし習慣性が形成されるのならば中止法,薬物動態学,薬物相互作用,使用禁忌の場合とその他の警告や予防策を記している.
 特別な患者special populations では,すべての起こりうる腎,肝,および心障害についての具体的な情報,また高齢者,小児,青年期患者,さらに妊娠中あるいは授乳中の女性を治療するために注意すべきことを示した.
 精神薬理学の技法art of psychopharmacology では,すべての薬物について考えられる長所と短所,主な標的症状,および最善の薬物を利用するための臨床の知恵について著者の意見を述べた.
 さらに,薬物間の置換が複雑になりうる薬物には,「置換法」の特別なセクションを作り,そこに臨床の知恵と置換手順の手引きとなる図を示した.

 この序文に続いて,本書で使用されたアイコンのリストがあり,また本書の巻末にはいくつかの索引がある.最初の索引は薬物名による索引で,本書に掲載された薬物のうち,一般名(大文字でない)と商品名(大文字で,カッコ内に一般名が続く)を収録した.次のものは本書に掲載されている薬物に対する一般的な使用法の索引で,病名や症状によって整理してある.特別な使用に対してFDA が承認した薬物は太字で示している.3 番目の索引は薬物のクラスによって分類されており,それぞれ特定のクラスに含まれる薬物のすべてが載っている.これらの索引のほかに,略語の表を示している.
 読者は,標準的な参考書1)やさらに詳しい知識を得るために,包括的な精神医学や薬理学の教科書を参照してほしい.また,精神薬理学の技法のところは著者の意見であることを銘記してほしい.
 通常には行われない薬物の組み合わせや使用など,本書で述べたより非標準的な使用のいずれかを試みる前に,読者はこれらの薬物の標準的な使用に慣れておくことが重要である.ある1 つの薬物を他の薬物を用いて増強する前に,両方の薬物についてよく理解しておくことも強く推奨する.今日の精神薬理学者も大部分の患者に対して,定期的に血圧,体重や肥満度指数body mass index(BMI)を追跡するべきである.誠意ある臨床家もまた,他の医師によって処方された薬物を含んだ,中枢神経系(CNS)で作用しない薬物と作用する薬物との相互作用を確認することであろう.
 ある種の薬物は専門家のみに対するものであることもある.これには,とりわけクロザピン,thioridazine,pimozide,nefazodone,およびモノアミン酸化酵素(MAO)阻害薬などであろう.FDA によって承認されていない承認外使用off label use や,研究不十分な薬物の投与量や組み合わせもまた,ときには曖昧で矛盾し合う証拠があることを知りながら,危険性と利便性を評価することができる専門家のみに対するものである.妊娠中あるいは授乳中の女性,または複数の精神疾患,薬物乱用,さらに付随する身体疾患を伴う患者もまた,専門家による対応が適切な患者であろう.規制されている薬物もまた専門的知識を必要とする.自分の専門的知識の水準に基づいて最善の判断を自ら下し,われわれは誰もがこの急速に進歩している分野で学習中であることを自覚していなければならない.医学の実践は,しばしば科学というよりはむしろ技法である.きわめて重症でしばしば難治の患者を,ときには彼らの生命を一変させ,その苦悩を和らげる以上のことができる薬物で治療を試みながらも,この分野で医療の標準内にとどまることや,医師個人の安全な領域にとどまることも重要である.
 最後に,本書は,著者によって選んだ事実と考えをまとめて,精神薬理学の実践者に提供することによって,読者らに対して本当に役立つものであるようにと意図している.最終的には処方の選択は読者の責任である.出版当時承認されていた標準と実践に合致している正確で最新の情報を提供するように,本書の出版の準備の時点ではできる限りの努力を払った.にもかかわらず,精神薬理学の分野は急速に進歩しており,本書に含まれている情報が完全に間違いがないとは著者も出版社も保証できない.それは,とりわけ臨床の標準は,研究と規制によりたえず変化しているからである.さらに,著者と出版社はこの情報が現在も通用するかの責任について,またどのような損害に対してもその責任を負わない.これは,本書に含まれる情報を使用したことによる,直接的あるいは間接的な損害も含まれている.これらの薬物を推奨する医師やそれを使用する患者は製薬会社から提供される情報に慎重に注意を払い,それを参考にすることが強く勧告される.

1) 例えば,Physician’s Desk Reference やMartindale:The Complete Drug Reference(訳注:MARTINDALE’S THE REFERENCE DESK. http://www.martindalecenter.com)

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周術期管理を核とした総合誌[リサ]月刊/毎月1月発売

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