考える腎臓病学 増補版

増補版! 15年の時を経てRevival

「腎臓病の考え方」を身につけるための実践書、増補版となり復活。腎臓の機能・構造から、水電解質・酸塩基平衡や具体的な疾患にいたるまで、腎臓病学の全体像をコンパクトに解説。「問題」「解答」形式で「考え方の筋道」が身につく構成はそのままに、CKDやSGLT2阻害薬など最新の知見を加筆しアップデート。医学生・研修医から、腎臓病の診療に携わる医療従事者に幅広く有用。

¥4,620 税込
著
谷口茂夫(東京織物健康保険組合診療所所長)
ISBN
978-4-8157-3155-7
判型/ページ数/図・写真
A5変 頁254 図28
刊行年月
2026年9月
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増補版の序
初版の序

第 1 章 腎臓の構造と機能
Part 1 腎臓の構造
Part 2 糸球体濾過と尿細管での再吸収と分泌
Part 3 レニンアンジオテンシン系と腎臓

第 2 章 体液量のバランスとその異常
Part 1 体液量のバランス
Part 2 尿の希釈と濃縮
Part 3 尿量の異常
Part 4 体液量の不足:脱水
Part 5 浮腫

第 3 章 血清ナトリウムの調節と異常
Part 1 血清ナトリウムの調節
Part 2 低ナトリウム血症
Part 3 高ナトリウム血症

第 4 章 血清カリウムの調節と異常
Part 1 カリウムの調節機構
Part 2 低カリウム血症
Part 3 高カリウム血症

第 5 章 カルシウムとリンの調節と異常
Part 1 カルシウムとリンの調節
Part 2 カルシウムの異常
Part 3 リンの異常

第 6 章 酸塩基平衡の調節と異常
Part 1 酸塩基調節機構の基礎
Part 2 酸塩基異常の基本的なルール
Part 3 酸塩基平衡異常の解釈法

第 7 章 輸液と利尿薬
Part 1 輸液の基礎
Part 2 利尿薬

第 8 章 腎疾患の検査所見
Part 1 尿所見の異常
Part 2 腎機能の評価

第 9 章 さまざまな腎疾患
Part 1 糸球体腎炎とネフローゼ症候群
Part 2 糖尿病性腎症
Part 3 その他の腎疾患

第 10 章 急性腎障害(AKI)
Part 1 AKI の病態
Part 2 AKI の診断
Part 3 AKI の治療

第 11 章 慢性腎臓病(CKD)
Part 1 CKD の病態
Part 2 CKD の臨床像
Part 3 保存期 CKD の治療

第 12 章 尿毒症と腎代替療法
Part 1 尿毒症
Part 2 腎代替療法
Part 3 血液透析と血液濾過
Part 4 腹膜透析
Part 5 腎移植

索 引

増補版の序

本書の初版が発行され,すでに 15 年が経過した。あたりまえだが,その間の医学の進歩はめざましく,腎臓病学の分野でも多くの新しい知見を得ている。
 本書では主として基礎的かつ普遍的な内容を扱っているが,一部の内容は医学の進歩にあわせ改めることが必要になっており,今回その作業にあたらせていただいた。
 新しい読者の方が「考える」医療を実践されることを願っている。そのためのお役にたてれば幸いである。

2026 年 8 月
谷口 茂夫


初版の序

本書は,腎臓病学をテーマとして取り上げた。腎臓病は腎機能の異常により生じる病態であり,機能を理解していることがその障害による病態を理解するために大きな助けとなる。
 まず機能を理解し,そこから病態の理解に進むという論理的な筋道に沿った考え方は,本来何も腎臓病学に限ったわけではなく,医学のすべての分野に共通して必要なアプローチである。実際に医学教育は,生化学,解剖学,生理学などの基礎医学を学び,それから病理学,臨床医学へと進んでいくというステップを踏んで行われている。
 一方,医師になるために習得すべき知識の量は膨大で(医師という職業の性格上,やむを得ないだろうが),限られた時間で一人前の医師を育てるために,現実の医学教育はどうしても知識の詰め込みになりがちである。じっくりと考えて理解するということは医学教育の建前ではあるが,取り敢えず必要なことは覚えてしまわなければならないというプレッシャーになかなか太刀打ちできない。筆者自身も学生時代にそのことにストレスを感じていたし,多くの医学生や若い医師も同じように感じているのであろうと思う。
 本書は,筆者が前任地の東京大学医学部で腎臓内科のスタッフとして学生や研修医に教えていたこと,その後,東京厚生年金病院で研修医や若手医師に教えていることをまとめたものである。若い人達を教えるにあたって最も心がけたことは,知識そのものよりも考え方を学んでほしいということであった。筆者自身も何人もの素晴らしい師に巡り会い,考えるということを学んできた。研修医の頃には,アメリカから帰国してきたばかりの黒川清先生から,腎臓の病態生理から病気を理解するということを教わり,さらに大学の研究室や
勤務先の病院でも上司や先輩から多くのことを学んだ。それらすべてが,本書の基礎になっていることは言うまでもない。
 もう一つ筆者が心がけたことは,日々みかける疾患にきちんと対応できるようになることである。研修医時代に夢中になって繰り返し読んだ『ワシントンマニュアル』には珍しい病気は一切ふれられていなかったが,その記載は簡潔でありながら迫力に満ちていた。医学生の頃には,やたらと珍しい病気の名前を覚えようとしていたので(国家試験に受かるためにやむを得なかった),この体験は新鮮だった。もちろん日々の臨床の中では見たことのないような病気に出くわすこともしばしばあるし,そのときにはしっかり勉強して症例報告をしていただきたい。だが,取り敢えずは誰もが知っておくべきことをきちんと学ぼう。そこには,医師として本当に必要な「センス」が凝縮されている。蘊蓄は専門家に任せておけばいいのである。
 本書は教科書というスタイルをとってはいるが,体系的な知識を身につけることは目的にしていない。知識そのものを記載するのではなく,「考え方の筋道」を理解するためのものであるよう心がけた。本書の記述は,主として問題とその解答という形で,一つひとつの項目について自ら考えてみるという形式をとっている。全体として有機的なまとまりを心がけたが,皆さんがそれぞれ好きなところから読み始めていき、必要に応じて他の章を参照してもいいと思う。あまり一般向けではないテーマは,「Topic」として扱った。特に興味がある方以外は,読み飛ばしてもよいと思う。
 腎臓は体液調節の要であり,腎機能の障害は臨床の現場では専門を問わず,かかわらなければならない重要な分野である。本書の想定する主な読者層は,意識の高い医学生や研修医であるが,腎疾患に興味をもつすべての臨床家にも参考にしていただければ幸いである。

2011 年 2 月
谷口 茂夫

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