MGH術後管理 PACUの手引

麻酔の殿堂“MGH”発

「術後管理」が手に取るようにわかる!




これまで詳しく解説されてこなかった麻酔後ケアユニット(PACU)は、術後患者の安全を守る砦であり、日本の急性期医療には欠かせないものとなりつつある。術後患者の病態生理に関する知識をさらに深め、症例に応じて確認しながら日常診療を実践するための手引。定番姉妹書『MGH 麻酔の手引 第7版』と併せれば、周術期患者管理の理解がさらに深まる。原著者の一人長坂安子先生と日本のPACU研究先駆者である仙頭佳起先生を監訳者に迎え、訳注も充実。麻酔科医のみならず周術期の患者に携わる医師・看護師・コメディカル必携の1冊。



 

¥4,950 税込
原著タイトル
Postoperative Care Handbook of the Massachusetts General Hospital
監訳:仙頭佳起 名古屋市立大学大学院医学研究科麻酔科学・集中治療医学部分野助教・長坂安子 東京女子医科大学大学院麻酔科学分野教授(基幹分野長)/東京女子医科大学病院麻酔科診療部長
ISBN
978-4-8157-3036-9
判型/ページ数/図・写真
A5変 頁430 写真4 図14
刊行年月
2021年11月
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Section I 患者管理
1 頭頸部外科患者の術後管理
2 眼科手術患者の術後管理
3 胸部手術患者の術後管理
4 血管外科患者の術後管理
5 麻酔管理を要する放射線インターベンション患者の術後管理39
6 整形外科患者の術後管理
7 脳神経外科患者の術後管理
8 内分泌外科患者の術後管理
9 消化器,腹部,直腸肛門疾患患者の術後管理
10 泌尿生殖器手術患者の術後管理
11 外傷患者の術後管理
12 熱傷患者の術後管理
13 形成外科患者の術後管理

Section II 術後合併症
14 術後痛管理
15 術後悪心・嘔吐
16 術後気道合併症
17 術後呼吸器合併症
18 周術期の心合併症
19 術後の中枢神経系障害
20 急性期の尿路・腎障害
21 術後出血
22 体温異常
23 体液バランスと電解質の異常
24 酸塩基平衡障害
25 内分泌異常:血糖コントロール,副腎不全,甲状腺クリーゼ
26 消化管合併症
27 術後のアレルギーとアナフィラキシー
28 輸血合併症
29 周術期の損傷性合併症:眼損傷,口咽頭損傷,歯牙損傷,神経損傷,血管外漏出

Section III 特別な考慮をすべき患者
30 小児PACU
31 肥満の患者
32 高齢者の術後管理
33 妊娠中の患者
34 薬物依存のある患者の術後管理

Section IV 倫理的・法的問題とPACU 運営
35 PACU での法的・倫理的問題
36 PACU の入室基準と退室基準
37 PACU の医療の質保証(QA),体制,管理,指針
38 感染制御
39 医療関連感染症
索引

医療は侵襲であり,決して安全なものではないし,術後という状況は本来,快適とはほど遠いものだろう。それでも我々は,それを少しでも安全で快適なものに近づけようという強い気持ちを胸に,今日も現場に向かう。

2021年7月に日本PACU研究会(J-PACU)を設立した。私がPACU(postanesthesia care unit, 麻酔後ケアユニット)の研究を続けているのは,関心を集めやすい術後集中治療を受ける重症患者だけでなく,普通の一般的な術後管理を受ける大勢の患者にも,麻酔科医としてできる限り向き合いたいと考えているからである。普通のことを普通に遂行するのは案外難しいものだが,それが重要なことだと考えているからである。本書を紐解いていただければよくわかるように,術後にはさまざまな問題が起こり得る。それらの早期発見と早期介入のために,PACUはある。周術期医療の安全性(呼吸,循環,意識の評価),満足度(痛み,悪心・嘔吐,低体温の評価),効率化(手術室の有効利用)という3つの要素をすべて成り立たせることが,PACUによって見えてくる。

日本でもPACUが徐々に増えてきている。しかし本邦には,PACUあるいは病棟で手術直後に必要とされる「術後管理」を系統的に扱った書籍が近年なかった。そのため,麻酔の殿堂と称されるMassachusetts General Hospitalのハンドブックを,原著者のおひとりである長坂安子先生と共に監訳するという価値ある大役を拝した。翻訳にあたって,私がそうであったように,翻訳者たちは各診療科や各部門の同僚に多くの助言をいただいたことだろう。感染症関連の章では専門家ご自身にご担当いただいた。縦割りになりがちな現代の病院組織の中で,診療科や部署の垣根を超え,中央部門としてさまざまな医療者や職員と連携して活動する麻酔科医の本領が,ここでも存分に発揮されたのではないだろうか。

優しく熱く導いてくださった長坂安子先生,臨床現場の第一線で活躍するなか翻訳にも真摯に取り組んでくださった14名の先生方,私がPACUの研究を始めた当初から常に応援してくださっている鈴木利保先生と祖父江和哉先生,今でもいつも私を奮い立たせてくださる故・森田茂穂先生に感謝の意を表したい。監訳者ふたりのこだわりを尊重してくださったメディカル・サイエンス・インターナショナル社の堀内仁氏と江田幸子氏にも深く感謝している。

麻酔科医,PACU看護師,ICUやHCUのスタッフ,術後一般病棟の看護師,各診療科の医師,初期研修医,周術期に関わる薬剤師や臨床工学技士。術直後の不安定な患者と向き合うすべての医療者たちへ本書を捧げる。本書を手に取った人々が施す医療が,数多の患者の術後経過をより安全でより苦痛が少ないものにしてくれることを心より願ってやまない。

2021年10月 名古屋市立大学病院のPACUにて
仙頭佳起


PACU、それは旅⼈が⾏き交う院内の空港ターミナル。
術直後の患者が遭遇する多彩な問題は、実は成層圏を⾶⾏中の術中から始まっていることが多く、患者の覚醒とともにこれまで潜在していた何かが露わとなる。ICU など頭をよぎることすらない「普通」の術後患者であっても、急激な呼吸不全、⼼筋梗塞や不整脈、脳梗塞、敗⾎症など、ともすれば命を落としかねない病態に襲われることもある。そうした患者の安全を、私たちはどのようにして確保するのか。
あらゆる事態に対応できる PACU という存在が⾝近にあるならば、患者⾃⾝のみならず病棟看護師や術者にとって、さぞ⼼強いことだろう。⼿術や侵襲的な検査を終了した患者が、そのあと病棟で重篤な事態を迎えないようにと、そこかしこに⾒守りの⽬が張り巡らされている。思いもよらない事態が⽣じれば、浮腫のある喉頭への挿管や虚脱した⾎管に挿⼊する中⼼静脈カテーテルだけでなく、急な除痛のための確実なブロックや⼗分な体位がとれない中での硬膜外カテーテル再挿⼊など、熟練した上級スキルがモノをいう。専⾨知識を基盤とした柔軟な対応と各科コンサルタント医師との抜群のコミュニケーションも求められる。ICU のように必ずしも全てが揃っていない環境だからこそチャレンジも⼤きいが、⼼通うチームが協⼒することで多くの難局は乗り越えられる。
⽶国ボストン・ハーバード⼤学病院のひとつ Massachusetts General Hospital(MGH)の PACU で、素晴らしい医療者の集団に出会った。PACU アテンディングは⿇酔科 ICU の医師が担当し、看護師の多くは ICU 出⾝者で⾼度な臨床能⼒を発揮する、術直後に起こり得るあらゆる合併症の即時診断と治療についての専⾨家チームがそこにあった。アテンディングの⼀⼈ Bittner 医師はプロフェッショナリズムに満ち溢れ、常に最新の論⽂から勉強し、誇りをもって術直後の患者の診療にあたっていた。臨床医として優秀なだけでなく、暇さえあれば PACU の⽚隅でレジデントに講義をおこなう素晴らしい教育者だ。
その彼を中⼼として、原著 Postoperative Care Handbook of the Massachusetts General Hospital を監修したおりに、私は MGH の⿇酔・集中治療・ペイン科レジデントから⼼臓・胸部外科⿇酔フェローにかけての修⾏時代にその⼀部を担当した。この本を⽇本のみなさまに向けて監訳する幸を拝命し、相棒としてPACU 普及のために果敢に尽⼒されている仙頭佳起先⽣とのご縁をいただいた。メディカル・サイエンス・インターナショナル社の堀内仁、江⽥幸⼦両⽒には度重なる校正に際し多⼤なご⾼配を賜った。お世話になったみなさまに深く感謝申し上げる次第である。
本書は⿇酔科専攻医だけでなく、ICU、救急部、外科病棟の医師、看護師、初期研修医、医学⽣など、対象としている患者群の幅と同じあるいはそれ以上に読者の対象は幅広いと感じている。⽩⾐や術⾐のポケットだけでなく、医局、当直室、⾃宅の⼦供の絵本の本棚などにさりげなく置き、専⾨医試験の前にはそっと⽬を通していただく。そんな⾝近な存在となってほしいと願う。
近年、⽇本列島のそこかしこに、⼿作りの優しさが詰まった私たちの PACU が開花してきた。すべては患者さんのためにという思いと機が熟した今こそ,術後急性期ケアの知識を⾝に纏い、⼤空に向け⼀丸となってテイクオフしたいものである。
長坂安子

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