INTENSIVIST(インテンシヴィスト) 2023年3号

特集:Critical Care Nephrology



 



急性腎障害acute kidney injury(AKI)はICUでよく遭遇する疾患であり,急性血液浄化療法に関する知識は集中治療に携わるスタッフにとって必須のものであるとも言えます。“critical care nephrology”という概念は,1998年,オーストラリアの集中治療医intensivistであるR.Bellomoとイタリアの腎臓内科医nephrologistであるC.Roncoにより提唱され,AKIを含む多様な腎疾患を合併した重症患者に対する集学的なアプローチを強調したものです。ICUでのAKI診療はこれまで主に集中治療医と腎臓内科医により支えられてきましたが,重要なのはどちらが主導権を握るかではなく,両者の強みを互いに理解し協働していくことであると考えます。Intensivist誌では2009年にAKI,2010年にCRRTを特集テーマに取り上げましたが,それから10年以上が経過しました。本特集ではそれらのアップデートを行うとともに,時代が変わっても誰もが知っておくべき基礎知識を改めて解説し,本特集のみで必要な知識を網羅できることが目標です。critical care nephrologyという視点で,腎臓病に馴染みのある集中治療医,集中治療に馴染みのある腎臓内科医,関連する多職種の方々にご執筆いただきます。



INTENSIVIST0号(創刊当時の座談会の模様)はこちら




  • 「世界標準の集中治療を誰にでもわかりやすく」をコンセプトに、若手医師の育成や情報交換を目的として発足した「日本集中治療教育研究会」(Japanese Society of Education for Physicians and Trainees in Intensive Care=JSEPTIC)の活動をベースに、年4回発行。

  • 毎号1つのテーマを決め、最新のエビデンスに基づいて、現在わかっていること/わかっていないことを検証、徹底的に解説。施設ごとに異なる診療を見直し、これからの集中治療のスタンダードを提示する。

  • 重症患者の治療にあたる医師として最低限必要な知識を手中に収めるべく、テーマは集中治療にとどまらず、内科、呼吸器、救急、麻酔、循環器にまで及び、ジェネラリストとしてのインテンシヴィストを追求する。

  • 集中治療専門医、それを目指す若手医師をはじめ、専門ナース、臨床工学技士、さらには各科臨床医に対し、集中治療を体系的に語り、議論し、意見交換ができる共通の場(=アゴラ)を提供する。



 











JSEPTIC ホームページ

特定非営利法人 日本集中治療教育研究会






電子版はこちら(医書JP)

¥5,060 税込
責任編集:土井 研人(東京大学 救急・集中治療医学)、牧野 淳(東京都立墨東病院 集中治療科)・ 編集協力:岡田 和也(東京都立墨東病院 集中治療科)
ISBN
978-4-8157-2053-7
数量
カートに追加しました。
カートへ進む

1.はじめに:急性腎障害と腎代替療法のこれから
 土井 研人 東京大学大学院医学系研究科 救急・集中治療医学

Part 1:critical care nephrologyのキホン
2.急性腎障害に対するアプローチ:原因による分類:腎前性,腎性,腎後性
 是枝 大輔 日本赤十字社和歌山医療センター 救急科・集中治療部

3.急性腎障害に対するアプローチ:発生場所/基礎疾患による分類
 山口 晃典 信州大学医学部附属病院 集中治療部/腎臓内科

【コラム】見逃してはいけない鑑別診断:原因疾患によって異なるAKI,その臨床的特徴と診断につながる検査
 耒田 善彦 沖縄県立中部病院 腎臓内科

【コラム】ICUにおける尿検査:各検査の有用性とその理由
 坂井 正弘 浦安ツバメクリニック/東京ベイ・浦安市川医療センター 腎臓・内分泌・糖尿病内科

4.AKIに対する薬物治療:AKIの予防と管理における輸液製剤,血管作動薬,利尿薬の考え方・使い方
 岡田 和也 東京都立墨東病院 集中治療科

5.血液浄化療法の基本と最新アップデート:各モードの原理に基づき適切に施行する
 山中 隆広・本間 康一郎 慶應義塾大学医学部 救急医学

6.小児の持続的腎代替療法(CRRT):成人CRRTとの違いと国内外の現状
 井手 健太郎 国立成育医療研究センター 集中治療科/小児透析・血液浄化センター

7.CRRT施行時のアラーム対応とトラブルシューティング:状況ごとの押さえておくべきポイント
 山田 麻有佳 済生会横浜市東部病院 臨床工学部
 上岡 晃一 東京医科大学病院 臨床工学部

8.腎障害患者における薬物投与量の適正化を考える:薬剤師の役割
 柴田 啓智 済生会熊本病院 薬剤部

9.AKIにおける栄養療法:その考え方と実施のうえでの注意点
 岩本 昌子 神戸市立医療センター中央市民病院 栄養管理部
 東別府 直紀 神戸市立医療センター中央市民病院 麻酔科

10.CRRT施行中の集中治療患者の早期離床・リハビリテーション:理学療法士の役割
 齊藤 正和 順天堂大学保健医療学部 理学療法学科

Part 2 critical care nephrologyの未解決課題
11.AKIや体液過剰のde-escalation:4つの輸液フェーズを理解する
 北村 浩一 東京ベイ・浦安市川医療センター 腎臓・内分泌・糖尿病内科

12.開始/離脱のタイミング,モダリティの選択:現状と課題
 八木 洸輔・藤井 智子 東京慈恵会医科大学 麻酔科学講座 集中治療部

13.ヘモフィルターについてのPros & Cons:Pro:予後を改善する
 成宮 博理 京都第二赤十字病院 救急・集中治療科

14.ヘモフィルターについてのPros & Cons:Con:予後を改善しない
 小泉 三輝 京都医療センター 腎臓内科

【コラム】エンドトキシン吸着療法(PMX-DHP)は終わったのか?:背景をふまえて複数のエビデンスから読み解く
 青松 昭徳 自治医科大学附属さいたま医療センター 麻酔科集中治療部/腎臓内科

Part 3 critical care nephrologyの新たな標的
15.subclinical AKI(バイオマーカーAKI)とAKD:AKIに関連する新しい分類と再定義
 小丸 陽平 セントルイス・ワシントン大学医学部 腎臓内科
16.AIによるAKI発症予測,AKIアラート:最適な予測と介入でAKIの重症化を予防する
 西岡 典宏 京都大学大学院医学研究科 社会健康医学系専攻 予防医療学分野
 井澤 純一 沖縄県立中部病院 集中治療科

17.AKIにおけるCRRTのtime-limited trial, shared decision making:患者が望む医療実現のためのストラテジー
 山田 博之 京都大学大学院医学研究科 初期診療・救急医学/腎臓内科学

18.おわりに:20年を振り返って
 内野 滋彦 自治医科大学附属さいたま医療センター 集中治療部 非常勤講師

連載
■最新エビデンスを読む
第8回:重症市中肺炎へのステロイド投与
 小中 理大・片岡 惇 練馬光が丘病院 総合救急診療科 集中治療部門

■え?知らないの?EITの使い方
〈シリーズ構成:上岡 晃一 東京医科大学病院 臨床工学部〉
 宇佐見 直 東京ベイ・浦安市川医療センター 臨床工学室

■集中治療に関する最新厳選20論文
 田邊 翔太 松江赤十字病院 救急部
 吉田 英樹 聖マリアンナ医科大学 救急医学

おすすめ商品

脳科学を網羅する教科書

周術期管理を核とした総合誌[リサ]月刊/毎月1月発売

エビデンスの先のベストプラクティスを描くクオータリー・マガジン。季刊/年4回発行

患者全体を見すえた内科診療のスタンダードを創る!季刊/年4回発行

救急に関わるすべての医療者のための総合誌

際限なき医学欲を満たす、極上の教科書を召し上がれ。

カテゴリ一覧

ページトップへ