Hospitalist(ホスピタリスト)2023年1号

特集:コマネジメント



それは内科医の新しい働き方



コマネジメントとは、内科系のジェネラリストが、専門科の患者の診療のうち内科部分を受け持ち、専門科と診療の責任や権利を共有するケアモデルのことを指します。一般的なコンサルテーションモデルと異なり、入院から退院まで、内科系のジェネラリストと専門科が密にコミュニケーションをとりながら伴走する診療スタイルです。これまでのエビデンスの蓄積、米国での広がりもあり、日本でも少しずつ注目され、導入する医療機関がみられるようになっています。

 コマネジメントを始めるにあたり、特別な技能や特別なスタッフが必要とされるわけではありません。必要なスキルは、ホスピタリストに求められる基本的なスキルにほかならないともいえます。加えて、開始時の入念な準備、科の垣根を超えたよりオープンなコミュニケーション、多職種連携が必要とされますが、それによりさまざまなメリットをもたらすことができるのです。

 今回の特集では、コマネジメントの“幹”と“枝”になぞらえてPart分けをしています。前半では、そもそもコマネジメントとは何なのか、背景となるエビデンス、日本での実践例を紹介し、後半では、実践への移行のために必要とされる主な知識やスキルを解説します。かかわる他科、他職種の視点も織り交ぜて、より深い学びができるような構成となっています。

 今回の特集がきっかけになり、コマネジメントの輪が少しずつ広がり、その先で患者ケアの改善につながることになれば望外の喜びです。



電子版はこちら(医書JP)

¥5,060 税込
責任編集:山田 悠史 Brookdale Department of Geriatrics and Palliative Medicine, Icahn School of Medicine at Mount Sinai・濵田 治 愛仁会高槻病院 総合内科
ISBN
978-4-8157-2043-8
刊行年月
2023年9月
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はじめに|コマネジメント、それは内科医の新しい働き方
  山田 悠史 Brookdale Department of Geriatrics and Palliative Medicine, Icahn School of Medicine at Mount Sinai

Part 1 コマネジメントの“幹”
1. コマネジメントとは何か?:患者のケアを劇的に変える仕組み
  山田 悠史
2. なぜコマネジメントが必要なのか、そのエビデンス:コマネジメント導入のベネフィットとリスクを吟味する
  原田 洸 Department of Medicine, Mount Sinai Beth Israel
3. 日本におけるコマネジメント
Case 1:愛仁会高槻病院:大腿骨近位部骨折のほとんどの症例で手術以外の管理を総合内科が行う
  恒光 綾子 愛仁会高槻病院 総合内科
Case 2:板橋中央総合病院:ポリファーマシー改善の可能性、整形外科医1人当たりの手術件数の増加が示された
  友田 義崇 板橋中央総合病院 総合診療内科
Case 3:飯塚病院:Fix and Relay(FR)システムで早期手術からすみやかに引き継ぐ
  松永 諭 飯塚病院 総合診療科

Part2 コマネジメントの“枝”
4. 服薬管理:安全で効果的な管理のポイント:薬剤師の視点、医師の視点
  榎本 貴一 練馬光が丘病院 薬剤室
  原田 拓 練馬光が丘病院 総合救急診療科 総合診療部門
5. ケアのゴール設定:SDMに基づくGoals of Care Discussionsのガイド
  植村 健司 Brookdale Department of Geriatrics and Palliative Medicine, Icahn School of Medicine at Mount Sinai
[コラム①]コマネジメントをする内科医に知ってほしい 整形外科手術:大工の言葉を、大工の視点から、大工自ら説明する
  井上 三四郎 飯塚病院 総合診療科
[コラム②]コマネジメントをする内科医に知ってほしい 腹部手術:ドレーンやストーマの管理、術後合併症へのアプローチ
  小澤 尚弥 東京ベイ・浦安市川医療センター 外科
6. Frailtyの評価と臨床での活用:多様かつ複雑な高齢者の標準治療に組み込まれるべき概念
  百武 美沙 慶應義塾大学医学部 医学教育統轄センター
7. 術前心評価:非心臓手術における実践的な評価のステップとエビデンス
  杉崎 陽一郎 Cardiovascular Research Foundation/Columbia University Irving Medical Center
8. 術前肺評価:術後肺合併症を念頭においたリスク評価とマネジメント:アップデート版
  片岡 惇 練馬光が丘病院 総合救急診療科 集中治療部門/呼吸器内科
9. 周術期、侵襲的処置時の抗血小板薬、抗凝固薬:リスク評価、中止/再開のマネジメント:アップデート版
  野木 真将 The Queen’s Medical Center Hospitalist Group/亀田総合病院 総合内科
[コラム③]コマネジメントをする内科医に知ってほしい 麻酔管理と術後の注意点:麻酔科医が濃厚に関与している部分を中心に
  谷 真規子 岡山大学学術研究院医歯薬学域 麻酔・蘇生学
[コラム④]コマネジメントをする内科医に知ってほしい 周術期のデバイス管理:ペースメーカ、ICDなど:電磁干渉について把握し、デバイスごとの対応法を学ぼう
  松井 優子 横浜医療センター 循環器内科
10. せん妄:せん妄は内科疾患であり、予防には多職種協働・コマネジメントが鍵となる
  田川 哲也・関口 健二 市立大町総合病院 内科/信州大学医学部附属病院 総合診療科
11. 周術期VTE予防:外科領域では内科領域と異なる点も多い
  鈴木 康大・安部 涼平 埼玉医科大学病院 血液内科
12. 転倒患者の評価と介入:転倒した高齢者は、将来的に転倒を繰り返すリスクが高い
  世戸 博之 ひのでクリニック
13. コマネジメントにおけるケア移行:情報の継続性を保つアプローチとそのポイント
  本橋 健史 板橋中央総合病院 総合診療内科
[コラム⑤]コマネジメントをする内科医に知ってほしい 術後リハビリテーション:ケア移行の全体像のなかで内科医が実践できるポイント
  木村 泰 練馬光が丘病院 医療技術部 リハビリテーション室
[コラム⑥]コマネジメントをする内科医に知ってほしい 術後の嚥下機能評価:術後患者の予後を変えるインパクトがある
  松本 朋弘 練馬光が丘病院 総合救急診療科 総合診療部門
[コラム⑦]コマネジメントをする内科医に知ってほしい 術後の退院先:患者は不安のカタマリ:個々の患者に合わせた介入を
  若井 博之 練馬光が丘病院 地域連携相談センター
  松本 朋弘

【連載】
Clinician Update
  官澤 洋平・石丸 直人 愛仁会明石医療センター 総合内科
特別寄稿 急性期病院でのホスピスケア:すべての死にゆく人に考慮すべきである
  平岡 栄治 東京ベイ・浦安市川医療センター 総合内科
病棟医療革命
第8回①飯塚病院編|遠隔医療による情報共有:医療の質向上は医療者間での効率化から
  細川 旬・小杉 俊介 飯塚病院 総合診療科
第8回②松波総合病院編|イノベーション推進本部(MiP)からみたDXの中・長期的戦略
  草深 裕光 社会医療法人 蘇西厚生会 松波総合病院 内科
学会報告2023 第14回日本プライマリ・ケア連合学会学術大会「専攻医・病院総合医・診療所家庭医と共に考える総合診療研修における総合診療Ⅱ」:共催シンポジウムからの報告、そして提言
  合田 建 神戸大学医学部附属病院 総合内科
  日本プライマリ・ケア連合学会 専攻医部会・専門医部会若手医師部門 病院総合医チーム・病院総合医委員会

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