INTENSIVIST(インテンシヴィスト) 2023年4号

特集:ICUで遭遇する免疫異常





ICUでよく遭遇する敗血症や重症COVID-19,ARDS,外傷などでは,内的・外的要因がきっかけとなり宿主が過剰な免疫応答をきたし,臓器障害をきたします。また,ICUへ入室する患者の多くは,糖尿病や末期腎不全,肝硬変,低栄養などの慢性疾患を抱える高齢者で,免疫低下から日和見感染がよくみられます。造血器腫瘍に対する化学療法や造血幹細胞移植,リウマチ・膠原病疾患に対する免疫抑制剤治療においても,重症免疫不全から日和見感染症や多臓器不全を引き起こします。ここ数年,従来HIV/AIDSの治療開始後の合併症として知られていた免疫再構築症候群(IRIS)が,免疫療法においても免疫関連有害事象(irAE)として起こることがわかり,ICUで管理する機会も増えてきました。

集中治療では従来の疾患単位での診療だけではなく,患者の免疫状態に応じた個別化された診療も求められるようになりつつあります。本特集は,臨床免疫学に馴染みのない,あるいは苦手意識をもつICU医療者を対象に,ICUで遭遇する免疫異常の病態生理を理解してもらうことを目的に企画しました。



 



INTENSIVIST0号(創刊当時の座談会の模様)はこちら



 




  • 「世界標準の集中治療を誰にでもわかりやすく」をコンセプトに、若手医師の育成や情報交換を目的として発足した「日本集中治療教育研究会」(Japanese Society of Education for Physicians and Trainees in Intensive Care=JSEPTIC)の活動をベースに、年4回発行。

  • 毎号1つのテーマを決め、最新のエビデンスに基づいて、現在わかっていること/わかっていないことを検証、徹底的に解説。施設ごとに異なる診療を見直し、これからの集中治療のスタンダードを提示する。

  • 重症患者の治療にあたる医師として最低限必要な知識を手中に収めるべく、テーマは集中治療にとどまらず、内科、呼吸器、救急、麻酔、循環器にまで及び、ジェネラリストとしてのインテンシヴィストを追求する。

  • 集中治療専門医、それを目指す若手医師をはじめ、専門ナース、臨床工学技士、さらには各科臨床医に対し、集中治療を体系的に語り、議論し、意見交換ができる共通の場(=アゴラ)を提供する。



 











JSEPTIC ホームページ

特定非営利法人 日本集中治療教育研究会




 

¥5,060 税込
責任編集:大路 剛(神戸大学病院 感染症内科)・萩野 昇(帝京大学ちば総合医療センター 第三内科学講座(血液・リウマチ))・牧野 淳(東京都立墨東病院 集中治療科)
ISBN
978-4-8157-2054-4
刊行年月
2023年11月
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1.はじめに:免疫異常を理解し,今後の実臨床へつなげる
 牧野 淳 東京都立墨東病院 集中治療科

Part 1:総論 集中治療医が知っておきたい臨床免疫学

2.正常な免疫機能:自然免疫,獲得免疫の基本的な役割と機能
 小野 聡 新久喜総合病院 消化器センター/東京医科大学八王子医療センター 特定集中治療部

3.異常な免疫応答:SIRS,CARS,MASについて
 矢野 裕之・金城 光代 沖縄県立中部病院 リウマチ・膠原病科

4.persistent inflammation, immunosuppression, and catabolism syndromeの免疫学:PIICSの特徴と免疫療法,そして栄養療法について
 井上 茂亮 和歌山県立医科大学医学部 救急・集中治療医学講座

5.後天性免疫不全の分類と評価 ①集中治療医の視点:いつ疑い,どのように評価するか
 大野 博司 洛和会音羽病院 ICU/CCU

6.後天性免疫不全の分類と評価  ②感染症医の視点:薬物を知り,その特有の感染症リスクを考えよ
 本田 仁 藤田医科大学 微生物学講座・感染症科

Part 2:ICUで遭遇する免疫異常の代表的疾患

7.敗血症の免疫学:免疫麻痺の理解と免疫療法,今後の課題
 渡邉 栄三 愛知医科大学医学部 救急集中治療医学講座

【コラム】〔Pros/Cons〕敗血症に対するサイトカイン除去療法は有効か?:Pro:有効である
 服部 憲幸 千葉大学大学院医学研究院 救急集中治療医学

【コラム】〔Pros/Cons〕敗血症に対するサイトカイン除去療法は有効か?:Con:有効ではない
 岩崎 夢大 東北大学大学院医学系研究科 麻酔科学・周術期医学分野

8.COVID-19の免疫学:SARS-CoV-2と免疫に関して現時点でわかっていること
 古谷 賢人 静岡県立総合病院 臨床検査科/感染対策部感染対策室
 伊東 直哉 愛知県がんセンター 感染症内科部/感染対策部感染対策室

9.ARDSの免疫学:免疫学的な病態生理から考える今後の薬物治療
 片岡 惇 練馬光が丘病院 総合救急診療科 集中治療部門

【コラム】大動脈解離でみられるARDSの病態生理:低酸素血症でARDSと診断できるのか?
 八重樫 悠 東京ベイ・浦安市川医療センター 救急集中治療科
 則末 泰博 東京ベイ・浦安市川医療センター 救急集中治療科/呼吸器内科

10.外傷後の免疫学:SIRSとCARS,そしてPIICS
 大須賀 章倫 JCHO中京病院 救急科

11.HIV感染症でみられるIRIS:想定しておけば慌てずにすむ
 塚田 訓久 国立病院機構東埼玉病院 臨床研究部

12.免疫再構築症候群(IRIS)の免疫学:non-HIV患者でみられるIRIS:その多様な病態の臨床的特徴
 牧野 淳 

13.自己免疫疾患の免疫学:重症膠原病のマネジメントに必要な臨床免疫学
 鈴木 翔太郎 聖マリアンナ医科大学 リウマチ・膠原病・アレルギー内科
 萩野 昇 帝京大学ちば総合医療センター 第三内科学講座(リウマチ)

Part 3:免疫不全・過剰に対する治療戦略

14.免疫異常に対する治療戦略:免疫抑制治療の有害事象と使用時の注意点
 杉森 祐介 東京都立墨東病院 リウマチ膠原病科

【コラム】GBSに対するIVIg vs. 血漿浄化療法:GBSの機序とそれに対するIVIgや血漿浄化療法が有効である理由
 吉野 俊平 飯塚病院 集中治療科

15.免疫関連有害事象(irAE):新種のオンコロジック・エマージェンシーに,ICUで適切かつ果敢に立ち向かうために
 峯村 信嘉 三井記念病院 総合内科

16.免疫不全に対する予防的抗微生物薬:各疾患における投与の位置づけとその実践
 田中 健之 長崎大学病院 感染制御教育センター
 泉川 公一 長崎大学病院 感染制御教育センター/長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 臨床感染症学分野

連載
■え?知らないの?電気メスの使い方
〈シリーズ構成:上岡 晃一 東京医科大学病院 臨床工学部〉
 佐々木 慎理 川崎医科大学附属病院 MEセンター/川崎医療福祉大学医療技術学部 臨床工学科

■最新エビデンスを読む
第9回:ESICM ARDSガイドライン
 小中 理大・片岡 惇 練馬光が丘病院 総合救急診療科 集中治療部門

■集中治療に関する最新厳選20論文
 田邊 翔太 松江赤十字病院 救急部
 吉田 英樹 聖マリアンナ医科大学 救急医学

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