NYSORA Hadzicʼs 超音波ガイド下末梢神経ブロックと解剖

神経ブロックのバイブル、待望の日本語版 登場!

超音波ガイド下神経ブロックの普及・教育を世界中で牽引してきたNYSORA(New York School of Regional Anesthesia)による、区域麻酔/神経ブロックの全体像が理解できる教科書。総論で基本をおさえた後に各論では多種多様なブロックを「概要」「解剖」「断面解剖と超音波画像」「麻酔・鎮痛効果範囲の分布」「ブロックの準備」「手技」「問題解決のヒント」と項目ごとに解説。最後の「フローチャート」で手順の振り返りができる。統一感のある秀逸なカラー解剖図、解剖学的構造物がわかりやすく描出された超音波画像とその画像をカラー化したイラスト(Reverse Ultrasound Anatomy)を随所に配置。麻酔科医・整形外科医等、区域麻酔/神経ブロックに関わる医師の拠り所となる書。

¥19,800 税込
原著タイトル
Hadzicʻs Peripheral Nerve Blocks and anatomy for ultrasound-guided regional anesthesia 3rd ed
監訳/訳:村田寛明(長崎大学大学院 麻酔集中治療医学)・森本康裕(医療法人社団 宇部興産中央病院 麻酔科)
ISBN
978-4-8157-3103-8
判型/ページ数/図・写真
A4変 頁424 図364
刊行年月
2024年4月
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第 1 部 基礎
第 1 章 区域麻酔に関する機能解剖学
第 2 章 局所麻酔薬:臨床薬理学と薬剤の選択
第 3 章 末梢神経ブロックに用いる器具
第 4 章 神経刺激
第 5 章 超音波画像の最適化
第 6 章 区域麻酔におけるモニタリングと記録
第 7 章 末梢神経ブロックの適応
第 8 章 持続末梢神経ブロック
第 9 章 局所麻酔薬中毒と局所麻酔薬アレルギー
第 10 章 末梢神経ブロックの神経学的合併症
第 11 章 区域麻酔の準備と周術期管理

第 2 部 頭頸部ブロック
第 12 章 頸神経叢ブロック

第 3 部 上肢ブロック
第 13 章 斜角筋間腕神経叢ブロック
第 14 章 鎖骨上腕神経叢ブロック
第 15 章 鎖骨下腕神経叢ブロック
第 16 章 肋鎖腕神経叢ブロック
第 17 章 腋窩腕神経叢ブロック
第 18 章 肩の鎮痛のためのブロック:横隔神経を温存するブロック
第 19 章 肘関節周辺のブロック
第 20 章 手関節ブロック

第 4 部 下肢ブロック
第 21 章 腰神経叢ブロック
第 22 章 腸骨筋膜下ブロック
第 23 章 股関節の鎮痛に使用するブロック( hipブロック)
第 24 章 大腿神経ブロック
第 25 章 縫 工筋下ブロック:縫工筋下伏在神経ブロック,内転筋管ブロック,大腿三角ブロック
第 26 章 外側大腿皮神経ブロック
第 27 章 閉鎖神経ブロック
第 28 章 近位坐骨神経ブロック
第 29 章 膝窩部坐骨神経ブロック
第 30 章 膝神経ブロック(genicular nerves block)
第 31 章 膝窩動脈関節包間(iPACK)ブロック
第 32 章 足関節ブロック

第 5 部 体幹ブロック
第 33 章 肋間神経ブロック .
第 34 章 胸筋神経ブロック(Pecs ブロック)
第 35 章 前鋸筋面ブロック
第 36 章 傍脊椎ブロック(PVB)
第 37 章 脊柱起立筋面ブロック(ESPB)
第 38 章 腹横筋膜面(TAP)ブロック
第 39 章 腹直筋鞘ブロック
第 40 章 腰方形筋(QL)ブロック
索引

「運が良い」とか「運が悪い」とつい口にすることがあるが,私が本書の監訳に携わることができたのは「運が良い」ことが続いた結果,としか言いようがない。
今世紀の革新的な技術である超音波ガイド下神経ブロックと私が出会ったのは2007 年のことである。程なくしてNew York School of Regional Anesthesia(NYSORA)の存在を知ることとなったが,その運営者であるDr. Admir Hadzic は憧れであり非常に遠い存在であった。2011 年,まさに「運良く」Dr. Hadzic の元で2 か月間,超音波ガイド下神経ブロックについて研修する機会を得た。これをきっかけとして現在に至るまで続くDr. Hadzicとの繋がりのなかで,Admir Hadzicという偉大な人物が抱く“philosophy”とでもいうべき根底にある思考について,折に触れて私なりに感じ取ることができたことは,これもまたとてつもない「幸運」であった。
この度,メディカル・サイエンス・インターナショナル社より“Hadzic's Peripheral Nerve Blocks and Anatomy for Ultrasound-Guided Regional Anesthesia, 3rd edition” の監訳について依頼を受けた。原著は日本区域麻酔検定試験(J-RACE)の参考テキストとして,受験要領に掲げられている。現状ではここで挙げられている日本語のテキストは1 冊しかなく,J-RACE の試験対策には,language barrier が立ちはだかっている。この障壁がなくなり,超音波ガイド下神経ブロックに関する世界標準とも言える原著を日本語で読めることは,本邦における区域麻酔教育/ 学習において,非常に意義がある。大きな重圧でもあったが,私なりに感じ取ったDr. Hadzicのphilosophyを踏まえると,この依頼を引き受けない理由は見当たらなかった。「初めての試みとして,ベースの翻訳は人工知能(AI)による機械翻訳で行う」という出版社の要望にも挑戦した。
訳書出版の一形態として可能性を大いに秘めた手法で監訳者としての責務を果たせたことは,私にとって貴重な経験になった。
監訳では,①情報が正確であること,②日本語として読みやすい文章であること,③用語や表現を統一すること,に留意した。①については,翻訳以前に原著の内容を吟味し,誤りは適宜修正した。②については,英語の微妙なニュアンスを踏まえ,直訳ではなく極力自然な日本語となるよう意識した。③については,日本麻酔科学会,日本ペインクリニック学会,日本解剖学会の用語集,日本区域麻酔学会の用語一覧に準拠するよう努めた。以上のような点に留意して監訳作業を行ったが,お気づきの点は忌憚なくご指摘いただければ幸いである。
書籍出版に関して経験豊富な森本康裕先生とご一緒できたことも幸運であった。さりげないサポートに大いに助けられたことを,この場を借りて感謝申し上げる。また,メディカル・サイエンス・インターナショナル社の皆様のご尽力により,本書の上梓に至った。これは「運」ではなく彼らの実力の賜物である。この場をお借りして心より感謝申し上げる。
結びに,超音波ガイド下神経ブロックの標準的な手技と,それに関連した解剖や臨床使用の実際について教育/ 学習する皆様にとって,本書が座右の書となれば幸いである。
村田寛明


神経ブロックの本を作るときに1 番苦労するのは図や写真である。欲しいのは,一般的な解剖の教科書に描かれている表面からみたイメージではなく,超音波でみた横断面である。一方,実際の超音波画像ではいまひとつイメージが伝わりにくい。結局自分で図を描くしかないのだが,これは絵を描く能力が問題となる。以前,『麻酔科臨床SUM ノート』(MEDSi,改訂版が2024 年6 月発売予定)を作ったときに区域麻酔のパートの図は自分で描いたのだが,あくまでも自分のイメージを伝える線画で妥協せざるを得なかった。本書の特徴は非常に美しい図にある。各ブロックに必要な解剖の知識はこの図をみるだけで理解できるだろう。
個人的には海外の教科書を日本語に翻訳するのには反対である。英語で書かれた教科書は英語で読むべきだと思っている。日本の医学は江戸時代の『解体新書』以来,進んだ海外の知識を日本語に翻訳することで発展してきた面があり,それは素晴らしいことではあるのだが,国際化が進んだ現代では医学教育を英語ではなく日本語で行っていることが日本人医師の国際化の障害になっていると感じているからだ。神経ブロックの分野では当初,日本語のよい教科書がなかったことから,私の世代は本書の前の版を英語で読み,電子版で英語の説明を聞くことで用語の発音をチェックしながら海外の学会で知見を深めてきた。現在の麻酔科の先生方にもそのような学習はぜひ行ってもらいたいと考えている。しかし,本書に関しては医師のみでなく,医学部の学生や手術室看護師など幅広く読んでいただきたいと思い,今回翻訳することにした。貴重な機会をいただいたことに感謝している。
教科書の翻訳という作業は自分で文章を書くよりも難しい面が多い。そこで,国内の麻酔科医のなかでHadzic 先生と最も交流の深い長崎大学の村田先生に声をかけさせていただいた。機械翻訳でざっくりと日本語にしたものを参考に監訳作業をさせてもらえるということで,本書の翻訳は2 人のみで行うこととした。芥川賞の作品が一部AI を利用したということで話題になっているが,訳本の発行もAI の活用で大きく変わっていくのだろうと感じた。ただ,私も村田先生も本書の著者らとは学会やハンズオンセミナーはもちろん,飲み会も共にした仲である。その分,AI では表現しきれない原文の微妙なニュアンスをうまく日本語化できたのではないかと自負している。
最後に,本書の発行にあたり多大なご協力を賜ったメディカル・サイエンス・インターナショナル編集部の江田幸子氏をはじめとした各氏にこころから感謝します。
森本康裕

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