EP道場 - アブレーションの考え方,心臓電気生理学の本質 -

手技と教科書の間に位置する、活きたロジックを学ぶ道場

カテーテルアブレーションのオピニオンリーダーが解説した、不整脈治療における活きたロジックを学べる一冊。慶應義塾大学病院の症例をもとに、不整脈の発生機序や、その本質、アブレーションの考え方や具体的なテクニックを含む最新知見を、初学者向けに対話形式で幅広く収載。豊富な図や補足で高難度な内容も理解しやすい。アブレーション初学者の循環器科医や不整脈専門医、循環器専門医を目指す専攻医に有用。

¥7,700 税込
髙月 誠司(慶應義塾大学医学部 不整脈先進治療学寄附研究講座 特任教授)
ISBN
978-4-8157-3133-5
判型/ページ数/図・写真
B5変 頁196 図118 4色
刊行年月
2025年9月
数量
カートに追加しました。
カートへ進む

Section 1 上室頻拍
 第1章 傍His束刺激法
 第2章 房室結節近傍の心房頻拍
 第3章 His束近傍のWPW症候群に対するアプローチ
 第4章 slow Kent束の1例
 第5章 Mahaim束を介する房室回帰頻拍
 第6章 concealed bystander nodoventricular fiberとは?

Section 2 心房細動と心房粗動
 第7章 高周波アブレーションによるBOX隔離術
 第8章 クライオバルーンによる肺静脈隔離術におけるピットフォール
 第9章 パルスフィールドアブレーションを用いた肺静脈隔離術
 第10章 上大静脈起源の心房細動
 第11章 マーシャル静脈を介する僧帽弁周囲心房粗動のアブレーション
 第12章 マーシャル静脈に対するエタノール注入療法
 第13章 難解な3次元マップを呈する心房頻拍

Section 3 心室頻拍
 第14章 右室流出路起源の難治性心室期外収縮
 第15章 左室後中隔起源特発性心室頻拍
 第16章 中隔起源の心室期外収縮
 第17章 器質的心疾患に伴う心室頻拍

私が臨床不整脈を学び始めたのが1995年頃で,ほぼ30年になります。心収縮の際にはそれに先立って必ず電気的な興奮があるという,より根源的な心臓の電気生理に興味をもちました。当初は虚血心や心房細動の動物モデルを作成し,小川 聡先生や三田村 秀雄先生から基礎的な電気生理学(electrophysiology:EP)を学びました。お二人は今でも私にとっての師匠です。
 臨床では当時,上室頻拍を中心にアブレーションしていましたので,心房細動がメインになった今よりも上室頻拍のアブレーションの件数は多かったかもしれません。アブレーションが終わったあとは,三田村先生が長い時間をかけて心内電位の見直し会をされるのが常でした。「なぜ,His束心電図は3つの成分の電位が記録されるか?」のような根本的な質問をよく出されましたが,正解は示さずにこちらに考えさせる方式でした。当時は3次元マッピング装置どころか,アブレーションカテーテルには温度コントロールやイリゲーション,コンタクトフォースもなく,今よりも想像力が必要とされる時代だったかもしれません。機器や技術の進歩に伴って,心房粗動,心房頻拍,心室期外収縮,心室頻拍,そして心房細動に対するアブレーションが行われるようになりましたが,それぞれの不整脈のアブレーション治療に,自分のなかでは感動的なbreakthroughがありました。今では私が後輩と症例の見直し会をしていますが,「業務」と「自己研鑽」の狭間でそれほど時間を割けないのがこの頃です。そこで自分の感じたものを何か形にして残せないか,本としてまとめられないかと考えていました。
 カテーテルアブレーションを始めたばかりのころ,副島 京子先生と2人で手洗いをして左室後壁の副伝導路のアブレーションをしたことがありました。経大動脈アプローチで行いましたが,カテーテルが副伝導路のほうに進まずに難渋しました。別階にいらっしゃった宮崎 利久先生をお呼びしてアドバイスをいただいたところ,あっという間に副伝導路が離断できたことがあります。その宮崎先生が1998年に『EPカンファレンス:症例から学ぶ不整脈・心臓電気生理』という本を執筆されました。症例からEPを学ぶ書籍で,本書はその本をオマージュしており,難治性不整脈の症例を題材に,カテーテルアブレーションのTipsを紹介しています。後輩と見直し会をしている雰囲気を出したかったということです。EPに興味をもたれるいろいろな読者の方々に楽しんでいただきたいと考えています。

2025年8月
慶應義塾大学医学部 不整脈先進治療学寄附研究講座 特任教授
髙月誠司

おすすめ商品

あたらしいCELL、7版。

脳科学を網羅する教科書

周術期管理を核とした総合誌[リサ]月刊/毎月1月発売

エビデンスの先のベストプラクティスを描くクオータリー・マガジン。季刊/年4回発行

患者全体を見すえた内科診療のスタンダードを創る!季刊/年4回発行

救急に関わるすべての医療者のための総合誌

際限なき医学欲を満たす、極上の教科書を召し上がれ。

カテゴリ一覧

ページトップへ