総合内科999の謎

良問満載! 肩の力を抜いて読む、999のQ&A
「感染症」、「集中治療」に次ぎ、大好評『999の謎』シリーズの第3弾が登場。臨床の場で遭遇する様々な「謎」に対し、各分野の専門家がエビデンスや臨床経験を踏まえて解説する。999の「謎」はA:基本、B:専門医向け、C:トリビアの3段階にレベル分けされ、気になった項目から読み進めることができる。季刊誌『Hospitalist』編集委員を務める2人の編者が贈る、若手からベテランまで、楽しみながら学べる一冊。
¥6,050 税込
編集: 清田雅智 飯塚病院総合診療科診療部長 八重樫牧人 亀田総合病院総合内科部長
ISBN
978-4-89592-821-2
判型/ページ数/図・写真
A5変 頁654 図35・写真7
刊行年月
2015/6/12
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1 総合診療
2 内分泌
3 循環器
4 感染症
5 消化器
6 腫瘍
7 腎
8 酸塩基電解質
9 血液
10 呼吸器
11 膠原病
12 アレルギー
13 HIV感染症
14 神経
15 内科コンサルト
16 健診
17 老年医学
18 精神科

医学・医療の知識は莫大かつ広大だ。進歩も早い。それらをどう生かして,患者に有益な臨床家となるかは臨床医の永遠の課題で,自己研鑽が常に必要だ。そのなかで,自分の知識がどの領域で不足しているかを認識していないと,よい結果が出ない状態になりうるが,その状態をどうしたら改善できるのかは,自分ではわからないであろう。一方で,知識の不足に「気づいて」いれば,そこを勉強すれば自分の知識・能力が向上する。「気づき」は自分の苦手分野を克服できる「宝物」となりうるのである。その「気づき」を増やす最良の方法の1つに,よい質問をすることがある。実際に,医師卒後教育の現場でも,質問は教育そのものとして用いられたり,教育の受け手の理解度を確認したり,さまざまな方法で用いられている。
 本書には多くのエキスパートが厳選した,総合内科医に知っておいてほしい良問が満載だ。その解答を読んでいるだけで自分の知識不足部分に気づき,知識を磨くことができる。日本独自の事情・診断法・治療法・予防法についての問いも多く,訳本では出せない,日本独自の本書ならではの味わいとなっている。誰もが知っていなければいけない問題をA,専門医向けの問題をB,トリビア的な問題をCとし,バランスよく構成したことで,初期研修医からベテランまで,広い範囲の読者にとって,それぞれの知識欲を満たしながら,さらに知識が増えるものとなるよう心掛けた。
 出版するなら,素晴らしい内容の本を出さなければ意味がない。そのために私だけでは力不足と考え,自分の弱点を補ってくれる強力なパートナーとして,「文献ソムリエ」とも称される清田先生に白羽の矢を立てた。魅力的かつ有益な出題の玉手箱となって活躍・貢献をしていただいたことに感謝したい。各章の執筆者も素晴らしい先生方に原稿を書いていただき光栄であるとともに,その原稿を読むのを楽しみにしていたが,予想を上回る原稿で,興味深いのでスラスラと読めて勉強になり,専門家の知識の懐の深さに改めて驚いた。感謝の意を表したい。また,仕事が亀のように遅い私に,適切な催促をして敏腕プロデューサーのように我々を動かしてくれた編集の佐々木さん,宗像さんなしでは本書が出版されることはなかった。感謝します。最後に,私が診療しながら本書の監修をするのを助けてくれた職場の皆様,そして,いつも支えてくれた妻,そして娘と息子に感謝したい。
 そのようにして生まれた本書を皆様が楽しみながら活用し,患者さんのニーズに応えることができる幅広い知識・技能をもった医師になる一助となれば幸いである。
2015年5月
八重樫 牧人



八重樫先生から「Hospitalist」の編集会議のなかで,この本の編集を手伝ってもらえないかという話が振られたとき,一瞬,戸惑ったのを覚えている。私に打診があった背景には,この書籍シリーズのコンセプトの原型である『感染症999の謎』(2010年,岩田健太郎編集)に執筆者として参加していた経験を買われてのことであった。当時の私はこの執筆に3か月くらいの時間を要し,締め切り前の数週間は,毎朝早起きしてモーツァルトのピアノ協奏曲23番を聞きながら,苦労してなんとか書き上げた。この苦しかった記憶がまだ鮮明に残っていたため,逡巡した次第である。
 とはいっても,飯塚病院の研修医の1つの文化である「迷ったらゴー」の精神から受けることを決めた。依頼原稿をこれまでいろいろと書いてきたが,本の編者の経験はなかったので,勉強にもなると考えた。
 今回,編者として大した提案をした記憶はないが,個人的な過去の執筆の記憶から,忙しくなるほど明確なゴール設定があることで仕事は進むものだと考えていたので,設問数をきっかり999にするという点にだけはこだわらせていただいた。
 実際に監修作業を通じて感じたことは,各執筆者のおのおのの分野での見識の高さである。専門的な領域については,やはり専門家に聞くのがいちばんであることを当たり前に実感し,総合内科というのは深みを求め出すとどこまでも深くなることに改めて気づかされた。特に気をつかったのは,内容に誤りがないか,参考文献にあたって確認する作業であり,これは予想以上にたいへんであった。適切な参考文献は書かれた内容の担保のために必須と考え,原稿の質を保つ努力を編者として行ったつもりである。この本に書かれている内容が普通に理解できている医師であれば,立派な総合内科医と名乗ってよいのではないかと密かに思っている。ぜひ,将来を背負う若い医師には,この内容を当然の知識として身につけていただくことを希望したい。そうすれば,日本の総合内科は安泰であろう。
 高齢化社会を迎えて,1人の患者さんが複数の疾病を罹患することが当たり前となり,さらに心理社会的問題もからまって,病態の理解にはさまざまな領域からのアプローチが必要な時代になった。専門家が複数かかわる従来型のケアでは,コーディネートの問題が困難になりがちであり,かといって総合内科医が1人で問題を解決できるほど問題は単純ではなくなりつつある。日々の診療に際しては,1つの領域だけにこだわらず,浅くてもよいので,隣の領域への関心を保つことが,あらゆる医師に求められるようになってきたと思える。
 ふと学生時代の記憶が蘇ってきた。ある病院を見学したときに,その図書室にあった分厚い本の一部を読んだことを思い出したのである。東京大学で内科の専門分化を主張して神経内科学や老年病学の設立に尽力し,1963年の大学退官時に教授在任中の誤診率が14.2%だったことを発表した冲中重雄先生が書かれた本である。専門医を提唱していた先生自身が,専門以外の広い領域の裾野のうえに専門性をもってこそ,初めて専門医であるということを主張されていたのが,当時学生だった私には驚きだったので深く記憶にとどまっていた。昔から医師として求められていることは,実は変わらないのかもしれない。このような専門医の感覚をもつことが,これからの医師の課題であろう。他の専門医と異なり,総合内科医の専門性というのは,専門医よりも非専門分野の裾野は広いが,専門領域は専門医ほど高くないというイメージであろう。裾野を広げるのには自学もよいが,専門医との連携はさらに必要になるであろう。
 専門医と総合内科医は本来,対立軸ではないはずで,患者ケアの観点からは同じ土俵に立っている。私事ではあるが,島根大学でがんのセミナーの講演をする機会があった。米国で准教授をしているがん専門医の昔の教え子と,全くがんに関しては素人に近い私と,大学の先生方とjoint sessionを行ったのだが,お互いによい刺激を与え,また,もらったと感じた。このような専門性の違う職種との連携が,さらにお互いを高みに導くのではないかと思った。これができたのも縁結びの神様がいる土地柄なのか。
 この本は各分野の専門医と総合内科医との連携の結晶であり,まさに総合内科医の醍醐味を示している本ともいえよう。読者にその一端を感じていただければ望外の喜びである。
2015年4月 新しい何かが起こりそうな出雲において
清田 雅智

2015-08-17

297ページの2問目の5行目

(誤)急性中
(正)急性中

2015-08-17

320ページの4問目の1行目

(誤)
(正)

2015-08-17

35ページの表1-7

(誤)penicillin G benzathine経口
(正)penicillin G benzathine
筋注

2015-07-03

439ページ2問目の下から1行目

(誤)常染色体劣勢遺伝
(正)常染色体劣性遺伝

2015-07-03

467ページの2問目の1行目

(誤)呼吸
(正)呼吸

2015-07-03

478ページの2問目の5行目

(誤)1991年の「NEJM」
(正)2001年の「NEJM」

2015-06-26

119ページの表4-4の抗菌薬

(誤)セフトリアキソン,アジスロマイシン,クリンダンマイシン,……
(正)セフトリアキソン,アジスロマイシン,クリンマイシン,……

2015-06-26

163ページの高橋康一先生のご所属

(誤)Department of Leukemia, UT MD Anderson Cancer
(正)Department of Leukemia, UT MD Anderson
Cancer Center

2015-06-26

472ページの2問目の10行目

(誤)もし患者が喫煙意志を示したならば,
(正)もし患者が禁煙意志を示したならば,

2015-06-25

20ページの1問目の2つ目の文献

(誤)Cunha BA. The clinical signifye of fever patterns. Infect Dis Clin North Am 199 ; 10 : 33-44.
(正)Cunha BA. The clinical significance of fever patterns. Infect Dis Clin North Am 1996 ; 10 : 33-44.

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