INTENSIVIST(インテンシヴィスト) 2025年4号

特集:非侵襲的呼吸管理:NPPV vs.HFNC論争 いま決着のとき



コロナ禍を経て超高齢社会を迎えた本邦において,さまざまな医療をいかに低侵襲,低負担に行うかという点が極めて重要となっています。急性期呼吸管理においても,気管挿管を回避し適切に呼吸管理を行うことができる可能性のある非侵襲的陽圧換気療法(NPPV)や高流量経鼻酸素療法(HFNC)は,なくてはならない医療の一つになりつつあります。しかし一方で,その適切な使用方法や使い分けについては十分な理解が得られていない点も多くなっています。これらの非侵襲的呼吸管理の不適切な使用により気管挿管のタイミングを逃すことは,予後を極めて悪化させることはよく知られています。また管理方法や設定方法についても,十分な急性呼吸不全の生理学的根拠やEBMに基づいて適切に行うことが重要でしょう。そして,その管理は経験値が豊富な施設と,そうではない施設とで成功率が大きく変わってくることもよく知られます。

 本特集では,NPPV,HFNCについてのこれまでのエビデンスのまとめや,生理学的根拠の理解を進めることで,よりよい急性期呼吸管理を深く探求したいと考えます。

INTENSIVIST0号(創刊当時の座談会の模様)はこちら




  • 「世界標準の集中治療を誰にでもわかりやすく」をコンセプトに、若手医師の育成や情報交換を目的として発足した「日本集中治療教育研究会」(Japanese Society of Education for Physicians and Trainees in Intensive Care=JSEPTIC)の活動をベースに、年4回発行。

  • 毎号1つのテーマを決め、最新のエビデンスに基づいて、現在わかっていること/わかっていないことを検証、徹底的に解説。施設ごとに異なる診療を見直し、これからの集中治療のスタンダードを提示する。

  • 重症患者の治療にあたる医師として最低限必要な知識を手中に収めるべく、テーマは集中治療にとどまらず、内科、呼吸器、救急、麻酔、循環器にまで及び、ジェネラリストとしてのインテンシヴィストを追求する。

  • 集中治療専門医、それを目指す若手医師をはじめ、専門ナース、臨床工学技士、さらには各科臨床医に対し、集中治療を体系的に語り、議論し、意見交換ができる共通の場(=アゴラ)を提供する。











JSEPTIC ホームページ

特定非営利法人 日本集中治療教育研究会




 

¥5,170 税込
責任編集:永田 一真(神戸市立医療センター中央市民病院 呼吸器内科)・横山 俊樹(公立陶生病院 呼吸器・アレルギー疾患内科)・櫻谷 正明(JA広島総合病院 救急・集中治療科)
ISBN
978-4-8157-2109-1
刊行年月
2025年10月
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1.NPPVとHFNCは何が異なるのか?:RENOVATE trialの知見をもとに,急性呼吸不全に対する使い分けを整理する
 櫻谷 正明 JA広島総合病院 救急・集中治療科
各病態におけるNPPVとHFNCのエビデンス,使い分け
2.COPD増悪:各医療機関の社会背景や習熟度もだいじ
 西村 直樹 国立健康危機管理研究機構 国立国際医療センター 呼吸器内科
3.うっ血性心不全:NPPVが適応,HFNCが代替手段となる場合
 坂口 輝洋 公立陶生病院 循環器内科
4.急性低酸素性呼吸不全(AHRF):HFNCもNPPVも選択肢の1つ,P−SILI予防,気管挿管への適切な移行も忘れない
 岡森 慧 済生会宇都宮病院 呼吸器内科
【コラム】免疫不全患者:免疫不全における急性呼吸不全を別個に扱う必要があるのか?
 内藤 恵仁 公立陶生病院 救急部集中治療室/岐阜大学医学部附属病院 高度救命救急センター
 横山 俊樹 公立陶生病院 救急部集中治療室/呼吸器・アレルギー疾患内科
5.抜管後の非侵襲的呼吸管理:再挿管リスクを抱えた患者にはNPPVやHFNCを使用すべき
 前澤 俊憲 JA広島総合病院 救急・集中治療科
【コラム】急性呼吸不全診療における睡眠関連呼吸障害の評価の重要性:まず疑い急性期を乗り切り,次の診断・治療が予後改善につながる
 村瀬 公彦 京都大学大学院医学研究科 呼吸不全先進医療講座
特殊病態におけるNPPVとHFNCの使い分け
6.間質性肺炎急性増悪:使用実態とエビデンス,当院の実際
 寺町 涼 公立陶生病院 呼吸器・アレルギー疾患内科/救急部集中治療室
7.気管支喘息急性増悪における非侵襲的呼吸管理:エビデンスと実践の乖離を俯瞰する
 新井 健史 公立陶生病院 救急部集中治療室
 横山 俊樹
【コラム】終末期におけるNPPV/HFNC:緩和ケアの視点から適応を考える
 三好 祐輔 神戸市立医療センター中央市民病院 緩和ケア内科
8.NPPVとHFNCの離脱方法:離脱基準と方法のエビデンスと実際,長期使用へのタイミング
 貴志 亮太 日本赤十字社大阪赤十字病院 救急科
 永田 一真 神戸市立医療センター中央市民病院 呼吸器内科
【コラム】NPPV,HFNCのインターフェイス:その効果を最大限発揮するための適切な選択と正しい装着法
 石橋 一馬 神戸市立医療センター中央市民病院 臨床工学技術部
【コラム】ICU人工呼吸器によるNPPVはあり? なし?:NIVモードのメリット・デメリット,専用機との違い
 開 正宏 日本赤十字社愛知医療センター名古屋第一病院 臨床工学科
9.NPPV,HFNC中の忍容性不良にどう対処するか?:その要因を見極め,まず非薬物的介入,鎮痛鎮静薬投与は最終手段
 伊藤 次郎 神戸市立医療センター中央市民病院 麻酔科 集中治療部
【コラム】本当にNPPV管理中に鎮静薬を使ってよいのだろうか?:現時点でルーチンに使用すべきでない
 小林 絵梨 済生会宇都宮病院 救急・集中治療科
 山本 良平 福島県立医科大学 臨床研究イノベーションセンター
10.NPPV,HFNC中のモニタリング :次世代の呼吸管理と遅延挿管の回避
 岡野 弘 聖路加国際病院 集中治療科
【座談会】NPPV/HFNCケアの看護師,PT,CEの目のつけどころ
 永田 一真
 横山 俊樹
 櫻谷 正明

連載
■え?知らないの? 酸素ボンベの使い方
〈シリーズ構成:上岡 晃一 東京医科大学病院 臨床工学部〉
 森下 世紀 福岡徳洲会病院 臨床工学科
■集中治療に関する最新厳選20論文
 田邊 翔太 松江赤十字病院 救急部  
 吉田 英樹 聖マリアンナ医科大学 救急医学

特別掲載
■ 他科多職種連携の極意とホンネ 第2回
③個人レベルの処方箋:他科コンサルトでの「戸惑い」「憂鬱」を減らすには
 東 秀律 日本赤十字社大阪赤十字病院 救急科
④組織レベルの処方箋:院内の患者たらい回しを避け,気持ちよく引き継ぐには
 大矢 あいみ 横浜南共済病院 救急科

2025-10-27

下記の箇所に誤りがございました。ここに訂正するとともに, 読者の方々に深くお詫びいたします。

518ページ 表1のコミュニケーションの説明文
(誤)
治療が患者の価値観に沿ったものになるよう,患者および代理意思決定者とケアのゴール(メモ1)を話し合う
(正)
治療が患者の価値観に沿ったものになるよう,患者および代理意思決定者とケアのゴールを話し合う


541ページ 文献9
(誤)
Navalesi P, Gregoretti C. Minerva Anestesiol 2014;80:706‒19.
(正)
Mojoli F, Iotti GA, Currò I, et al. An optimized set-up for helmet noninvasive ventilation improves pressure support delivery and patient-ventilator interaction. Intensive Care Med 2013;39:38-44. PMID:23011529

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